今日もArt & Science

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エバネッセント波を用いたESR測定法

2007-07-31 11:15:09 | ESR

 エヴァネッセント波とは近接場波とも呼ばれ、通常の電磁波が境界面で全反射しても、境界面の近傍で滲み出し、距離に指数関数的に減衰する電磁波のことを言う。米国Case Western Reserve 大学のTabib-Azarグループが新規顕微鏡用プローブとして開発してきた近接場波プローブを用いて、ルビーのESR観測に応用し、検出限界を10E+4まで下げることに成功した。ESRの解説書を紐解けば電磁波の伝播が示されているが、反射面で指数関数的に減衰する電磁界の存在は全く示されていない。実は日本ではあまり注目されていなかったが、近接場波研究も既に20世紀末に伏線が敷かれており、Tabib-Azarも主要メンバーの一人であった。昨年6月J. Opticsに彼の一連の研究のESR版としてルビーのESR信号観測例が発表された。注目される一因は局所観測とその感度にある。通常のCW-ESRではその検出限界は10E+10スピン程度で、片やSTM-ESR、AFM-EPRではスピン1個(10E0)の観測に成功している。しかし、単一スピンの観測に成功しても計測対象が理解されたことにはならない。近接場波ESRは1個から10E+10個までをつなぐ有力な手段となりうるからである。

 

図1左に近接場波を発生させたプローブを示す。興味あるのは共振器で、ストリップラインの先端λg/4手前に隙間を設けて先端を腹とする共振器(Q=5000)とし、半円チップに近接場波を発生させている。ルビー結晶を当半円の内外に設置してESRの変化を観測している。検出限界が2×10E+4と見積もられている。磁場変調周波数その他、まだ改良の余地があり、10E+3程度まで計測できそうな気配である。因みに、図1右は近接場波の電場を選択的に取り出すプローブで誘電体顕微鏡などに利用されている。キーコム(株)目玉商品のひとつである。

 

Emmprobe_2

 

 

 このようなESRプローブはピンポイント計測と掃引機能を組み合わせたイメージ観測法と直結し、さらに現場計測を可能にする。そのひとつが歯や爪などをそのまま計測するBiodocimetryに繋がる。電子スピン共鳴(ESR)のルネッサンスが始まった。 

 

 さらに、もう一言付け加えると、エバネッセント波は表面より指数関数的に減衰するといったが、表面に限りなく近づくと電波はどうなるか?そう!指数関数的に増加するのである。これを用いたパルスESR装置では、高価なマイクロ波電力増幅器など不要になる!

 

 

 

 

 

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水素ガスが細胞内OHラジカルを消去

2007-07-30 11:27:02 | 健康・病気

 先日、5月8日のことである。主要新聞が挙って「水素が活性酸素を除去する」と報じた。マスコミ報道の熱気が冷めた今、ゆっくりと、ことの重要性を考えてみたい。

 

  水素を使って体に有害な活性酸素を効率よく除去することに大田成男、日本医大教授(細胞生物学)らが成功し、米医学誌「ネイチャーメディシン」 (電子版)に5月8日発表した。これは抗酸化物質の歴史に名を留める画期的な発見である。理由の第一は、OH・ラジカルは生体外部から制御できないと考えられていた。反応性が高く、無差別に生体物質と反応する。しかし、水素ガスの重要性はこの活性酸素と選択的に反応し、無害のH2Oにすることにある。第二はガス状態でしかも電荷を持たない点に注目したい。恰も麻酔ガスのように雰囲気に少量溶け込ませることにより、発生するOH・ラジカルを無害にすることができるのである。

 

 大田らは培養した細胞を用いて、水素ガスによる・OHの消去効果を、DMPOを用いたスピントラップ法で確認している(図1参照、装置はキーコム社製ESRX10を使用)。

 

 

 

Oh_1

 

図1aは銅イオンを用いたFenton反応系(Cu2+ + H2O2)をテストしたもので、4本線の出現は明らかにOH・が発生していることを示している。図1bは培養細胞存在下での結果で明らかに細胞存在下でもOH・が発生し、DMPOでトラップされていることを物語る。ところが、水素存在下では4本線強度が明らかに50%以下に低下したのである。水素ガスは、O2-・、NO・、H2O2発生系では効果がなかった。

 

 

 また、水素は活性酸素が持つ酸化とは逆の作用をする。ラットの細胞に薬剤を加えて 活性酸素を作ったあとに 水素を加えると活性酸素の中でも 悪質なヒドロキシラジカルがほぼ半減し 死滅する細胞もほぼ半分になった。また、脳の血流を一時的にとめて 活性酸素を発生させたラットに2%の水素を含んだ麻酔ガスを吸わせると 脳の炎症が収まり、6匹中4匹は 両足を動かせるまでに回復した。水素を与えないラットは 足が動かなくなるなどの症状が悪化した。

 

 臨床応用のためには超えなければならないいくつかのハードルがある。太田先生に期待して已まない。

 

 

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カテーテル型ESRプローブ

2007-07-28 09:41:38 | ESR

 中越地震で刈羽原発は大打撃を被った。作業員、所員が放射線を浴びていないという保証はない。何らかの形で現場で迅速に被爆量を測れないか?

 

 歯には放射線被爆によって格子欠陥由来のラジカルが蓄積するので、それのESRは地質年代測定などに利用されており、被爆線量計測にも利用される可能性を秘めている。問題はESR装置そのもので、石英試料管内に試料を詰め、空洞共振器に設置してマイクロ波を照射し、しかも0.3T程度の磁場を掛ける必要がある。

 

 

Esr

 

 

 

図1 ESR法を基礎とするカテーテル型ESRプローブの提案図。

 

 従来、.05t~3tもの電磁石を用いて均一な磁場を試料に掛けていた。思い切って、直径0.5mm、長さ10mm程度の希土類磁石にし、不均一磁場を採用する。共鳴条件を満たす、表面近くの試料部分にマイクロ波を照射すれば、信号が観測される筈である。本提案の骨子はまさにこのマイクロ波の照射方法にある。用いる材料の基本はマイクロ波用のセミリジッド同軸ケーブルである。直径約0.9mmの中心導体を4/λgの長さに切り、同軸共振器とする。さらに、この中心導体の軸に沿って0.5mmの穴を開け、上に述べた希土類磁石を図のように充填すると、左端はいわゆるマイクロ波チップを構成して、エバネッセント波(近接場波)の磁波のみが滲み出て共鳴を励起する。右端は誘電体ネジを介して、マイクロ波回路に繋がっている。同軸共振器のアース側には磁場変調用コイルが巻かれている。このようなプローブを歯や爪に接すれば無浸襲で被爆線量が見積もられる(図参照)。

 

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爪(ツメ)のESR信号

2007-07-26 09:40:17 | ESR

 たかがツメと思われる読者がほとんどであろう。しかし、事の重要性が分かると、されどツメ、と認識を新たにするのではないか?!

 

 ヒトの爪を20mg程度切り取り、試料管に詰めてESR測定を行うと、構造のない一本線がg=2.005~2.007に観測される。試料をγ線照射すると線量に比例して当信号が増強され、半減期300hで減衰する。昨年、欧米の研究者が中心になり、Biodosimetry 2006という国際シンポジウムが米国USUHS(Uniformed Services University of Health Science)で開催され、原子炉事故などで被曝したヒトの迅速測定(判定)に爪のESR信号測定が提案された。問題になるのは現場でのESR装置である。可搬型で高感度の装置が望まれていた。キーコム(株)のX10Sはぴったりではないか!

 

 

Fingernailesr

 

 因みに、表1に爪のESR信号データを集めた。この中でメラニン由来の信号がg=2.005で目下注目の信号である。当信号計測を契機に感度向上と計測技術の向上等が図れるものと期待される。

 

 

 

 

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マイクロバブル

2007-07-25 09:59:28 | マイクロバブル

 京都の賀茂川(鴨川)には堰堤が多く、梅雨時になると水量が増して、殊更白く泡立つ。これが京都のイメージにマッチして、度々、テレビサスペンス等の背景に採用される。しかし、これだけでは京都人の知恵を十分理解していない。実はこの白い泡立ちにこそ意味がある。

 古来、滝の水は身体に良いと言われてきた。いま、その意味が科学的に明らかになりつつある。水を機械的に泡立たせて直径が数十ミクロン以下の泡(マイクロナノバブル)を発生させると、表面張力が強く働いて次第に小さくなり、2~3分後には圧縮されてなくなる。このなくなる瞬間に、数千度の高温が発生し、水(H2O)や空気(O2+4N2)が分解してラジカルが多量に水中に放出される。これらのことはスピントラップ法という方法で調べられた(図1参照)。水道水でも、超純水でも4種のラジカルが観測された。水(H2O)が分解してできるH・とHO・ラジカル、時間とともに蓄積する炭酸ガス由来のCOOX・ラジカル、それにDMPO試薬が分解してできるラジカルY・が見える。どのようにバブルを作るか、どのような水かによってこれら4種の信号強度が変動する。

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 図1 DMPOでトラップされたマイクロバブル水のESRスペクトル。水道水でも、超純水でも4種のラジカルが観測された。水(H2O)が分解してできるH・とHO・ラジカル、時間とともに蓄積する炭酸ガス由来のCOOX・ラジカル、それにDMPO試薬が分解してできるラジカルY・が見える。

 しかし、生成したラジカルがどのように身体に効くのかはまだあまり研究されていないのが現状である。マイクロバブル水の中では牡蠣でも人の指でも血流が良くなるというデータも出始めている。NO・が生成している可能性もある。詳細な研究が望まれる。ポータブルESR装置を持った老人が賀茂川で見られるかもしれない。

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