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携帯ESRの応用(10) 今話題のTEMPOの続きーパルプ業界が熱い!

2010-06-02 08:32:09 | ESR

1tempo_2

 

図1 TEMPOの分子図。N-Oの部分に不対電子分布が集中し、それを4個のメチル基が取り囲んでいる。

 今、パルプ業界が熱い!安定ラジカルTEMPOが革命を起こしている!TEMPOが次亜塩素酸と一体になって、糖の側鎖のメタノール骨格(一級アルコール)だけをカルボキシル基に酸化するのである。水素結合で余計な結合ができているのをバラバラにして、セルロース繊維を溶解させ、リグニンその他の繊維素といとも簡単に分離精製できるのである。反応のモニタリングには携帯ESRの出番である。

 TEMPO は1960年にLebelev と Kazarnowskii により開発された。彼らは 2,2,6,6-テトラメチルピペリジンを酸化し、TEMPO を得た。

TEMPO は有機合成において、1級アルコールをアルデヒドに変える酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムとともに用いられる。TEMPO酸化は 1級アルコールに特異的に作用する。基質が 2級アルコールの部位を持っていてもそこへは影響を与えないのが特徴である。

     R'CH2OH + NaClO + TEMPO → R'CHO

ヒドロキシ基を酸化する真の活性種は、TEMPO が次亜塩素酸で酸化されて発生する N-オキソアンモニウムカチオン (R2N+=O) である。触媒サイクルの中では、N-オキソアンモニウムカチオンがアルコールを酸化しながら自分は TEMPO に戻り、再び次亜塩素酸により N-オキソアンモニウムカチオンとされる。すなわちこのサイクルで、次亜塩素酸ナトリウムは再酸化剤としてはたらいている。

     R'CH2OH + NaClO + NaClO2 + TEMPO → R'OOH

 次亜塩素酸ナトリウムに加えて亜塩素酸ナトリウムも共存させ、1級アルコールをカルボン酸とする手法も知られる。

 因みに、この反応を利用して東大の磯貝教授らはセルロースナノファイバーの精製・単離に成功し、パルプ業界に一大革命(ラジカル)を起こしているのである。

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