図1 アマゴのイラスト。解禁になって初めて釣り上げたアマゴはことのほか愛おしい。
アマゴは魅力的な魚である。どの角度からでも「絵になる魚」である。昔、留学先のスイスから帰国して2年間ほど住んだのが京都の奥座敷 -岩倉で、渓流竿一本持参、高野川沿いの八瀬、鞍馬、貴船は叡電に乗ればすぐに行ける。 京都の奥座敷といえばアマゴの生息地で、いい思いを何回かしたことがある。 でも、土地の人は畑を耕しながら、 私を見て一言、「根絶やしをせんといてや!」といった。これには参った!
叡電に貴船口という駅があり、高架になっていて駅プラットフォームの下で鞍馬川と貴船川が合流する。言わば、自然の地形と人工の地形が複雑に入り組んでアマゴの格好の棲み家になっていた。
駅の出入り口に食堂兼土産物屋があって、腰の曲がったおばあさんが店を管理していた。一渉り、ポイントに竿を入れて試し釣りしたのちに,大抵、釣れないと納得して、店のおばあさんを冷やかしに行ったものである。岩倉出身だから世間話が尽きない。中身はすべて忘れたが、どこの息子・嫁がどうした、といった他愛もない話である。30年以上も前の話だから、今どうしているかなあ。