香港メディアの大公網は17日付の記事で、「日本人はアジアの国々のなかで最も自然と融合している民族の1つである」と称賛する記事を掲載、その根拠のいくつかを紹介している。
融合という言葉には基本的に、別々のものが融け合って1つになるという意味があり、例えばポップスと漢詩の融合、わさびとチーズの融合、車とAIの融合などの事例がある。これらの事例からわかるのは、融合には1つに融け合うことによって新しい何かが生まれるという意味が含まれていることだ。

 記事は日本人は自然と融合していると指摘、その一例として刺身と寿司(すし)を取り上げている。刺身と寿司について、料理人の仕事は大自然が持つ最高レベルの美味しさを「失わないようにすることだ」と説明。つまりできるだけ人の手を加えず、自然そのものの美味を味わう刺身と寿司に、日本人と自然の融合の一面を見出したようだ。

 日本人と自然の融合が生み出したのは、日本が世界に誇る食文化だ。記事はこの点について「日本旅行で最も人をわくわくさせるのは美食を味わうこと」と説明しており、新鮮な魚介類の持ち味を生かした日本料理が中国人旅行客にとって日本の大きな魅力の1つになっているという見方を示した。

 続いて記事は日本の寺院の庭園を紹介している。記者は日本留学の経験があるようで、実際に京都の大小の寺院を訪れた経験を紹介し、「中国の庭園と雰囲気は異なるが、心を安らかにする点で日本のほうが優れている」と日本の庭園を称賛。さらに「何時間も眺めていることができる」と感想を紹介した。

 世界各地には様々な庭園がある。フランスのヴェルサイユ宮殿庭園、オーストリアのベルヴェデーレ宮殿庭園、イギリスのウィスリーガーデン、イランのフィン庭園など数え上げればきりがない。しかし龍安寺石庭などの枯山水の庭園は自然そのものを楽しむのではなく自然の中に宿る魅力を芸術的に表現したものだ。記事は日本人と自然との融合が生み出した「心の安らかさの表現」に引き付けられたようだ。

 さらに記事は1973に公開された映画「日本沈没」に登場する人物が、避難せずに沈没する日本と運命をともにする選択をしたことに言及。この博士の選択は「自然と融合しようとする日本人の考え方を代表している」と指摘。この指摘は本当に自然と共に死んでもよいということではなく、日本人が抱く自然に対する深い愛や崇敬に言及したものだと言える。こうした崇敬の念が「日本人はアジアの国々のなかで最も自然と融合している民族の1つである」という評価につながっているのだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:(C)Chan Jui-Chi/123RF.COM)