今日もArt & Science

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ちょっといっぷく14 メタミドホスとアセタミプリドー殺虫剤

2008-09-24 10:32:29 | 健康・病気

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図1 中国製餃子、事故米等に混入していたメタミドホス(methamidophos)の分子構造。脳内にあるシナプスで興奮を伝達する役目を果たす神経伝達物質アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼの活性阻害作用がある。人が摂取すると興奮が連続して伝えられ続け、神経生理機能に障害を与える。

 比較的強力な殺虫剤で、日本では使用禁止であるが、中国では2007年1月まで盛んに利用されていた。

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図2 事故米等に混入していたアセタミプリド (acetamiprid) 。当殺虫剤はネオニコチノイド系殺虫剤であり、昆虫神経のシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合し、神経の興奮とシナプス伝達の遮断を引き起こすことで殺虫活性を示す。主な商品名は「モスピラン」で、液剤、粒剤、粉剤などとして各農薬メーカーで製造されている。

 植物体への浸透移行性と残効性が高いため、葉を巻いて中に隠れてしまうような害虫(アブラムシや毛虫の一部など)にも効果が高い。また、広く使われている有機リン系殺虫剤とは作用機序が異なるため、有機リン系殺虫剤に抵抗性のある害虫にも効果が期待できる。


ちょっといっぷく13 メラミンと牛乳(一部追加)

2008-09-22 11:17:32 | 健康・病気

 筆者の実家は高槻市にある。阪急電車を利用して、丸大ハムの工場を窓外の添景として眺めながら、出勤・外出したものである。

  丸大食品(大阪府高槻市)が有害物質メラミン混入の恐れがある総菜や菓子の自主回収を始めた。同社は9月20日、対象商品を「抹茶あずきミルクまん」など5商品と明らかにした。メラミン混入の牛乳を製造し、死者を出した中国の大手乳製品メーカー「伊利集団」の牛乳を原料に使っており、メラミン混入事件は中国から日本へ波及してきたのである。丸大食品は「混入していたとしても微量で、健康に影響はない」としている。日中両国の検査機関で分析中で、日本は25日、中国では26日に結果が出る見通しだ。

 2007年メラミンが混入された中国企業製ペットフードがアメリカ等に輸出され、犬や猫が主に腎不全で死亡する事件が起きた。メラミンのラットでの経口投与による半数致死量(LD50)は 1-3g/kgで、メラミン自体の急性毒性は比較的低い。

 メラミンはホルムアルデヒドと反応し、メチロールメラミンを生成する。メチロールメラミンは熱硬化性樹脂(メラミン樹脂)の原料となり、生産されるメラミンのほとんどが合成樹脂用に利用される。 メラミン樹脂は耐熱、耐水、機械強度などの点で優れており、プラステイック食器などに利用されている。従って、ニュースを初め聞いたとき、メラミンと牛乳がどうしても結びつかなかった。

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 この事件ではメラミン(青)と、メラミンに含まれるメラミン合成時の副成品であるシアヌル酸(赤)が尿中で反応し、生成した結晶(シアヌル酸メラミン:メラミンシアヌレート:青がメラミン、赤がシアヌル酸、図参照)が、腎不全を引き起こしたものと考えられている。メラミンはペットフード中のタンパク含有量(窒素含有量)を多く見せかけるために混入されたのである。話はこれだけで収まらなかった。

 今年に入って、中国においてメラミンが混入した粉ミルクが原因で乳幼児に急性腎不全が多数発生した。通常メラミンは水にほとんど溶解しないが、溶解補助剤により人為的に溶解性を高めていたとされる。

 中国で汚染粉ミルクによる乳児の腎結石が最初に判明した乳製品メーカー「三鹿集団」の事件で、同省の楊崇勇副省長は17日、水で薄めた牛乳に有害物質メラミンを混ぜてたんぱく質含有量を高める不正が2005年4月から行われていたことを明らかにした。18日付の中国紙・21世紀経済報道が伝えた。 楊副省長は「不正の張本人は酪農家から牛乳を買い集めて、乳製品メーカーに売る業者。酪農家はむしろ被害者だ」と指摘。逮捕された容疑者の供述によると、メラミンは水に少ししか溶けないが、牛乳の温度を上げて、クエン酸ナトリウムや油などを加えることによって、メラミンを大量に混入していたという。 まさに開いた口が塞がらない!

 丸大ハムがこのような乳製品に手を付けたと言う事は何か流通機構における深い闇があるような気がする。


ちょっといっぷく12 アフラトキシン

2008-09-17 15:50:59 | 健康・病気

 事故米の不正流通に端を発して、アフラトキシンやメタミドホスといった化学専門用語がマスメデイアを撹乱している。

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図1 アフラトキシンB1の分子構造(クリックで拡大。)

 

 アフラトキシンはカビが生産する最も強力なカビ毒で、地上最強の天然発癌物質とされ、中でもアフラトキシンB1 は図1に示すような構造をしているが、その毒性はダイオキシンの10倍以上といわれる。Aspergillus flavus (アスペルギルス フラバス:図2)のトキシン(毒)という意味から、アフラトキシンと命名された。主に肝細胞癌を引き起こす原因物質として知られている。アフラトキシンは少なくとも13種類(代表的なものはB1,B2,G1,G2,M1の5種類)に分かれるが毒性はB1が最も強い。

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図2 Aspergillus flavus (アスペルギルス フラバス)。熱帯、亜熱帯地方で繁殖する(クリックで拡大図)。

 発癌機構としてアフラトキシンは肝臓の代謝酵素シトクロムP450によって活性化され、それがDNAと結合して付加体を形成する。このとき、塩基対の代わりにアフラトキシン部がそっくり塩基対の代わりに入り込む。付加体はDNAの変異や複製阻害を引き起こし、癌化のイニシエーターとなることが報告されている。動物実験では15μg/kgのアフラトキシンB1を含む飼料を与えたラットが全て肝臓癌の発生を示すなど、非常に発ガン性が強い事が分かっている。調理では分解せず食品中に残るので厄介である。

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  図3 アフラトキシンーDNA付加体の溶液構造(NMRデータ)。中央部に右隣のグアニン7位に付加したアフラトキシン分子が見える(PDB-ID:1MKLのファイルデータをCAChe Workspaceで画像化)(クリックで拡大図)。

 図3のように、塩基対の代わりにアフラトキシン骨格がすっぽりと入っているのであるから、当然複製阻害を引き起こし、癌化のイニシエーターとなる。ここで、注意すべきは、青酸カリや一酸化炭素のように即生命の危機に見舞われるのではなく、癌化というタイムラグがあるのが怖い。マスメデイアはこの点を誤解している。したがって毒性発生患者はないというニュースが流れているが、発生はこれからかもしれない!

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