今日もArt & Science

写真付きで日記や趣味を勝手気ままに書くつもり!
徒然草や方丈記の様に!
あるいは寺田寅彦の様に!

携帯型ESRの応用(11)  TEMPOラジカル蓄電池の充放電特性

2010-08-24 08:38:09 | うんちく・小ネタ
「有機ラジカル二次電池」

 

 

130201

 

図1 有機ラジカル電池

 

 2009年2月13日、NECは薄型フレキシブルな特長を持つ「有機ラジカル電池」の出力特性を向上させるととともに、1万回以上のパルス繰り返し充放電が可能になったと発表した。

 すでに,2001年に、これまでに比べて格段に大きな電流で充放電が可能な有機ラジカル電池を開発した。現在使われているLiイオン2次電池に比べて10倍以上の電流密度で充放電できる。試作した電池の大きさは45mm×57mm×4mm程度で,電流容量は100mAh,エネルギー容量は360mWhである。 有機ラジカル電池は安定ラジカルの酸化還元反応を利用して電気を蓄える新しい原理の2次電池である。活物質であるラジカルの性質を反映して高出力で充放電サイクル寿命の長い電池であることが確認されている。この電池はLiイオン2次電池とほぼ同じプロセスで製造することができるため,既存の設備を利用でき,価格競争力にも優れている。 有機ラジカル電池の活物質として検討している材料は,TEMPOに似た2,2,6,6―テトラメチルピペリジノキシメタクリレート(PTMA)である。質量当たりの容量密度が111Ah/kgで,Liイオン2次電池の150Ah/kg~170Ah/kgよりも小さいことが難点となっている。密度の大きな材料を開発して高容量電池を作ることが今後の課題の1つだが,有機化合物は多様なので高エネルギー密度の材料を必ず見つけることができるだろう。携帯ESRを使ったインビボ測定が成功を左右するだろう

 これらの電池性能の向上により、例えば、厚さ1mm以下のコインサイズの薄型フレキシブルな有機ラジカル二次電池で、1Aの高電流放電や2Wの高出力特性、100mA放電の1万回繰り返し充放電が可能になった。そして、薄型・省スペース性が求められる将来ユビキタス端末において、高出力が必要なデバイス、例えばLEDフラッシュ、などの電源として搭載できる見通しが得られたのである。