毎週月曜日の夜9時が楽しみである。KBS京都の人気番組で京都のスグレモノを紹介する「京都いっぴん物語」という25分番組がある。出演は羽田美智子さん(*)でナレーションは芦屋小雁師匠(*)である。京の街には町衆の知恵と工夫が創り上げた「いっぴん(逸品・一品)物が満ち溢れている。番組では毎週ひとつ、京都独自の「いっぴん」を掘り下げ、興味深く紹介しており、7月27日で148回を数える。
(*)羽田さんは千葉県出身であるが京都人よりも京都らしい。芦屋師匠は生粋の京都人。
全国の皆さんに是非とも「いっぴん(一品、逸品)」に込めた京都人の心を知って戴きたいと思って下記HPを紹介する。
http://www.kbs-kyoto.co.jp/tv/ippin/top.htm
第一回は「ニシンそば」に始まり、今回148回目で「借景」が取り上げられた。筆者はつねづね京都文化の神髄は「借景」にあり、と断言していたので、今回の放映を機に、上記HPを紹介し、京都の文化、延いては日本の文化を育んでいただきたいと思うのである。
さて、148回目の「京都いっぴん物語」が「借景」と聞いて、著者自身、「むべなるかな」と共感したのである。取り上げられた話題は1)嵯峨野の天竜寺、2)西賀茂の正伝寺、3)南禅寺の無鄰菴、そして4)植物園、それぞれ有名な借景の名勝地である。しかし、しかし、筆者はどうしても修学院離宮の上、中、下離宮をつなぐ松並木の周りに広がる田畑(図1参照)を紹介してほしかった。昭和39年、宮内庁は上・中・下の各離宮間に展開する8万㎡に及ぶ水田畑地を買い上げて付属農地とし、景観保持の備えにも万全を期している。調べていないが、他にも借景の対象となる景色の保全に細心の注意を払っているとの由。これぞ京都の神髄である。後水尾上皇はここの農作業風景を殊の外好まれたとか。京都人は借景・調和にうるさい!小は料理を盛る器にある。北大路魯山人ならずも、料理と器の調和により、料理の味を最高度に引き出し、賞味する。大はJR京都駅・京都タワーの設計である。東寺の五重塔と調和するか否かで長年論争があった。
図1 景観保持のために買い上げられた修学院離宮の周りに広がる水田風景(http://poron55.exblog.jp/11686669/より拝借。図のクリックで是非拡大してください)。