2015-04-13 17:18「サーチナ」より抜粋
中国の企業管理の専門家、王育〓氏は11日、「日本の“百年企業”はいかにして醤油を極限にまで引き上げたか」と題する文章を発表した。日本の“老舗企業”のあり方を知れば、中国人として「痛いところを突かれた」と思わざるをえない点もあると主張した。(〓は王へんに「昆」) 中国語で、日本語の「老舗企業」に近いニュアンスで使われる言葉が「百年企業(バイニェン・チーイエ)」だ。同文章はまず、麩の製造・販売を行う半兵衛麩を例として取り上げた。ただし、半兵衛麩の創業は1689年で、その歴史は300年をゆうに超えている。100年を大きく超えて存続する企業の存在は、中国人にとって「ほとんど想定外」であることが、言葉づかいに現れているとも言える。 王氏は、老舗企業は古き伝統を守るだけの企業ではないと指摘。半兵衛麩当主の11代玉置半兵衛氏の言葉を引用し、「実際には老舗というものはありません。新しい麩を作っても、多くの者がすぐに同じようなものを作る。同じ場所にいたのでは、すぐに追い越される」と、常に進化してきたからこそ、老舗企業という存在になったと指摘した。
王氏は次に、キッコーマンに注目。創業は1917年で、本社は千葉県野田市、主力商品には醤油以外に各種調味料や酒類、飲料、医薬品で、醤油博物館の運営も行っていると紹介した。 同社の毎年の社員採用は35人程度だが、ハーバード、オックスフォード、ケンブリッジなど海外の名門大学出身者も含めて、2万人もの若者が同社への就職を希望するという。王氏は「極めて実直に、醤油を1つの『文化商品』にしてきた。多くの人が共有できる味覚にした。(同社は)文化的な誘因力に満ちることになった」と分析した。 王氏はさらに、キッコーマンが日本内外で農地改良事業を進めていることを紹介。日本の農村部では土地が極めて良好な状態を維持していると指摘し、「中国人は実に痛いところを突かれたことになる。われわれは土地を焦土にしてしまった(中略)われわれはいまだに、土地から搾取することをしている」などと論じた。 キッコーマンについて改めて「会社は社会の公器」、「社会貢献は必須」、「先義後利」との経営理念が定着していると評価。 王氏は中国企業について「まずは手段を選ばず生き残ろうとする。慈善による貢献はその後」と、日本の老舗企業とは発想が全く異なると指摘。企業の性格により「その製品が人々の健康や安らぎに役立つかどうかが決定する」と主張し、日本の企業が消費者に役立つ製品を生み出す大きな理由が「企業精神のあり方」に大きく関係しているとの見方を示した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)