図1 京都の名水地図をコンパクトに編集して掲載。なお、枯れてしまった名水は省いた。
http://www.kyoto-meguri.com/kyounomeisui/meisuimap.html。
(空色をクリックすれば、各名水にリンク写真と解説が楽しめる)。
京都盆地全体が大きな扇状地で水盆の形をしており、琵琶湖の大きさにに匹敵する。市内のあちこちで名水が楽しめるので、代表的な湧き水を紹介する。
名 称: 下鴨神社 御手洗水
住 所:京都市左京区下鴨泉川町59 Tel.075-781-0010
賀茂川と高野川の合流地にある糺森に鎮座する世界遺産下鴨神社では、古来より糺の森から湧き出る神水御手洗が有名で、土用の丑の日には足をつけると無病息災が得られるといわれる「足つけ神事」も行われます。
手水鉢は船形盤座(いわくら)をかたどったもので、樋は糺の森の杉で復元されています。まろやかで冷たい水は地元の人たちがよく汲みにこられます。
名 称: 貴船神社 神水(きぶねじんじゃしんすい)
住 所:京都市左京区鞍馬貴船町180 Tel.075-741-2016
貴船川上流に鎮座する貴船神社は、賀茂川の水源に祀られていることから水の神様として醸造業、農漁業など幅広い信仰を集めてきました。本殿前には、貴船山からの御神水が湧き出ています。夏は冷たく冬は温かい水は涸れたこともなく、一年汲み置きしても変質しないとも言われています。古来より茶人が茶を点てるのに珍重したのも納得できます。この御神水、自由に飲めて、持ち帰りも出来ます。また、横には若い女性に人気がある水占い場があります。御神水にくじを浮かべると水の霊力によって文字が浮かんで吉凶を占います。
名 称: 千代乃井 西陣五名水
住 所:京都市上京区智恵光院通五辻上る紋屋町 Tel.075-441-5762
西陣にある本隆寺は法華宗(真門流)の総本山で、享保15年・天明8年の二度にわたる大火にも奇跡的に難を逃れたことから、不焼寺(やけずのてら)とも言います。本堂の前に井桁を残す「千代乃井」は、天明の大火から本堂を守ったと伝えられています。千代乃井の名は、無外如大尼(千代野姫)が満月の夜、この井戸で水を汲んでいたとき、桶の底が抜け水面に映っていた月影が水とともに消えたことをきっかけに仏道に入ったとの逸話から名づけられたといわれています。
名 称:北野天満宮の神水
住 所:京都市上京区馬喰町931 Tel.075-461-0005
学問の神様として有名な北野天満宮。その境内には数多くの井戸がある。大鳥居の左にある茶席「松向軒」の中にある「三斎井戸」は、天正15年(1587)、秀吉が大茶会を催したとき、細川三斎が使った井戸、千利休が掘ったのが「太閤井戸」。 楼門を入った右手には、「梅香水」。天満宮の神事に用いる水を汲む井戸が「御神用水」などがある。なかでも東門を入ったところの手水鉢は、涸れることもなく今なお涌き出ており、水を汲みに来る近隣の人は多い。手水舎の井筒には、寛文10年(1670年)と彫ってあり、古くから飲用されていたらしい。
名 称:平野神社 手水
住 所:京都市北区平野宮本町1 Tel:075-461-4450
桜の名所として有名な平野神社は、平安京遷都の折、奈良から遷座。当時は現在の京都御所ほどの敷地があり朝廷もしばしば参拝したという古社。社殿は平野造とよばれ本殿は重文。東門から入ると左手に手水鉢があり滾々と水が涌き出ている。地下約100メートル掘り下げて涌き出た水は、ほどよく冷たくてまろやか、手水だがおもわず飲み込んでしまう名水です。
名 称: 西陣五名水 染殿井
住 所:京都市上京区上立売通智恵光院西入聖天町
雨宝院は、弘仁12年(821)嵯峨天皇の病気平癒を祈願し、弘法大師空海が歓喜天(聖天)を安置した大聖歓喜寺が始まりとされています。その後、広大な境内は荒廃して現在の雨宝院のみとなりました。「染殿井」は西陣の五名水に挙げられ、涸れることなく涌いている。この水を染色に使うとよく染まるとされ、以前は西陣の染物関係者が水を汲みに来ていましたが、現在は清めの手水に使われています。
名 称: 白峯神宮 飛鳥井・潜龍井
住 所:京都市上京区今出川通堀川東入飛鳥井町261 Tel.075-441-3810
白峯神社が建つ以前には、ここには蹴鞠で有名な飛鳥井家の屋敷があり、その屋敷内に「飛鳥井」と呼ばれる名水が湧き出ていました。清少納言も、『井は、ほりかねの井。走り井は逢坂なるがをかしき。山の井、さしも浅きためしになりはじめけむ。飛鳥井「みもひも寒し」とほめたるこそをかしけれ。玉の井、少将ノ井、櫻井、后町の井。千貫の井。』と九つの名水の中にあげています。現在手水舎から涌き出ている水は、近年に35メートルまで掘り下げた水脈ですが、味はまろやかで水を汲みに訪れる人も多い。飛鳥井から50mほど離れている潜龍大明神の前にある潜龍井は、同じ境内でも水脈の深さが違うので味も温度も異なっています。その違いを飲みわけるのもいいでしょう。
名 称:祇園神水・八坂神社
住 所:京都市東山区祇園町北側625 Tel.075-561-6155
八坂神社の本殿東にある祇園の涌き水・祇園神水は「力水」とも呼ばれ、水を飲んだ後、隣接する美御神社にお参りすると美人になるといわれている。祇園の芸妓さんや舞妓さん、化粧品業界人などが古くから熱い信仰を寄せている名水で、ペットボトルに入れて持ち帰る女性も多い。 本殿の下には龍穴と呼ばれる深い井戸があり、神泉苑と繋がっているといわれています。八坂神社のある東山は四神相応の土地で、東の青龍の地にあたり、この龍穴を青龍が守っているともいわれています。
名 称: 梨木神社境内 染井
住 所:京都市上京区寺町通広小路上ル殿町680-1 Tel.075-211-0885
京都御所の東側、梨木神社境内にある「染井」は、京都三名水の中で千年以上も沸き続けている唯一の井戸で、毎日多くの人々が水を汲みに訪れます。梨木神社は、三条実萬(さねつむ)、実美(さねとみ)父子を祭神として明治18年に建立された新しい神社だが、この地は九世紀後半に栄えた藤原良房の娘明子(清和天皇の御母染殿皇后)の里御所の跡で「染殿」といわれたところで、宮中の染所としてこの井戸の水が用いられていたようです。「染井」の西には御所三名水の「染殿井」の遺構があり、昔は同じ水脈の井戸だったのでしょうか。
名 称:晴明神社 晴明井
住 所:京都市上京区堀川通一条上ル晴明町806-1 Tel.075-441-6460
平安期の天文陰陽師で、六代の天皇の側近を務めた安倍晴明を祀る晴明神社。本殿の北にある晴明水は晴明の念力により湧きだしたとされ、難病平癒の水とされる。利休も湧き出る水を茶の湯に用いたとか。立春に神職が五芒星をかたどった井戸の上部を回転させて、取水口がその年の恵方を向くようになっています。
名 称:麩嘉の滋野井
住 所:京都市上京区西洞院通椹木町上ル
洛陽七名水の1つとして有名な滋野井は、京都府庁の近くにある。この地は平安時代には公卿の滋野貞主の邸地だった。その後、ここには蹴鞠の名人藤原成道が住み、滋野井のほとりに鞠の神・精大明神の社が建ったが、いまは白峯神社に祀られているという。滋野井は、明治時代に埋められてしまったそうだが、昭和55年に涸れかけていた古い井戸を掘りなおしたという。現在ここにある生麩の老舗・麩嘉では、麩作りに良質な井戸水を多量に必要とするそうで、ここの井戸は「滋野井」を更に40m掘り下げて地下60mの水脈より取水を行っているそうです。名 称:
下御霊神社の御香水
住 所:京都市中京区寺町通丸太町下ル下御霊前町634 Tel.:075-231-3530
下御霊神社は仁明天皇の創建とされる。当初上京区の御霊神社の南にあったのでこの名前がついたという。社地は転々と移動したが1589年の秀吉の都市改造により現在地に遷座した。境内に湧き出る「香水」は、「染井」で有名な梨木神社より800mほど南にあり、こちらも人の絶え間がないくらいに水を求めて賑わっている
名 称:桃の井 キンシ正宗堀野記念館
住 所:京都市中京区堺町通二条上ル亀屋町172 Tel:075-223-2072
ここは、天明元年(1781)にキンシ正宗の創業者・初代松屋久兵衛が創業した地です。敷地内にある「桃の井」は、淡麗な切れ味を持つ数々の名酒を生み出してきた名水で、大きな桃の木の下にあったところから名づけられたという。桃の井は、いまなお水温16度、毎分3トンの水が涌き出ており、その味は、京の名水ならではのまろやかな口当たりです。堀野記念館では、この水から作った地ビールが飲めます。
名 称:柳の水
住 所:京都市中京区西洞院通三条下る東側
このあたりは、織田信長の三男信雄の屋敷跡で、江戸時代の貞亨年間以後は紀伊徳川家の京屋敷となり、現在は馬場染工場が建っています。
柳の水は、千利休(1522~91)も茶の湯に用いた名水として有名で、井戸のそばに直接陽が射すのを避けたりために柳を植えたためこの名で呼ばれるようになったそうです。現在、柳の水は、地下25メートルの位置からポンプで汲み上げられており、蛇口から柔らかい水が味わえる。
名 称:錦天満宮の神水
住 所:京都市中京区新京極通四条上る中之町537 Tel.075-231-5732
菅原道真を祀り、「錦の天神さん」として親しまれている錦天満宮は、繁華街の真中にある。境内に湧き出る「錦の水」は、真夏でも18度前後に保たれており、手水の周りには観光客や修学旅行生、外人さんなどでいつも賑わっています。立札には「この井戸は地下30数メートルより湧出、昼夜の別なくこんこんと湧き、霊験あらたかで、水温年中17.8度を保つ。検査の結果、無味、無臭、無菌。飲用に適する良質の御神水、お持帰り自由(無料)」とある。味わうと、京都の名水ならではのまろやかさと、ほどよい冷たさが喉を潤してくれる。
名 称:亀屋良長の井戸「醒ヶ井水」
住 所:京都市下京区四条堀川東入ル(醒ヶ井角) TEL.075-221-2005
四条堀川を東に入った醒ヶ井通にある京菓子店の店先には、地下80mから汲み上げた「醒ヶ井」の水があります。「左女牛井」とは少し離れたところにありますが、京の名水ならではの味わいがあります。この店の和菓子は、この水を使っているそうです。
名 称:祇園神水・八坂神社
住 所:京都市東山区祇園町北側625 Tel.075-561-6155
八坂神社の本殿東にある祇園の涌き水・祇園神水は「力水」とも呼ばれ、水を飲んだ後、隣接する美御神社にお参りすると美人になるといわれている。祇園の芸妓さんや舞妓さん、化粧品業界人などが古くから熱い信仰を寄せている名水で、ペットボトルに入れて持ち帰る女性も多い。 本殿の下には龍穴と呼ばれる深い井戸があり、神泉苑と繋がっているといわれています。八坂神社のある東山は四神相応の土地で、東の青龍の地にあたり、この龍穴を青龍が守っているともいわれています。名 称:
音羽の滝(おとわのたき)
住 所:京都市東山区清水一丁目(清水寺内) 075-551-1234
清水寺の寺号ともなった音羽の滝は、古来から「黄金水」「延命水」とよばれ、 ”清め”の水として尊ばれてきました。「洛中洛外図屏風」(上杉本)などには、現在と同じ3本の筧や、滝に打たれる行者が描かれています。近世にはお茶の水として重用され、界隈に住む人はいまなお飲用水として使用しています。観光客が絶えることのない音羽の滝の奥には、不動明王や行叡居士が祀られており、参詣者が行列をつくって柄杓に清水を汲み、六根清浄、諸願成就を祈願しています。1000年以上にわたって涌き続けている名水はいまなお衰えることはありません。
名 称:「亀の井」・松尾大社
住 所:京都市西京区嵐山宮町3 Tel.075-871-5016
秦氏が創建したとされる。賀茂社と並び京都最古の神社。中世よりは特に酒の神として名高く、現在も醸造関係者に厚く信仰されている。亀の井は、涸れることのない霊亀の滝の手前にある霊泉で、酒造家はこの水を酒の元水として造り水に混ぜて使ったといわれています。また延命長寿・蘇りの水としても有名で、いまなお、近隣の人たちが汲みに訪れています。
名 称:市比賣神社「天之真名井」
住 所:京都市下京区河原町通五条下ル一筋目西入ル本塩竈町593 Tel.075-361-2775
市比売神社は、平安京の左右両市場の守護神として、桓武天皇の勅命により延暦十四年(795年)に創建。その後、天正九年(1591年)に太閤豊臣秀吉によって、現在の地に移転された由緒ある神社。祭神がすべて女神様であることから、女性の守り神とされ、女人厄除けの神社として有名です。境内にある井戸「天之真名井(あめのまない)」は、古来皇室において皇子・皇女誕生の折には、この水が産湯に用いられたという。絵馬を掛け、「天之真名井」のご神水を飲んで手を合わせると、一つの願い事が叶うと伝えられる一願成就の井戸として信仰されている。
名 称:「神供水」 若一神社
住 所:京都市下京区七条御所ノ内本町98番地 Tel.075-313-8928
平安時代末期に平清盛がここに別邸を造営し「西八条殿」と称し、仁安元年(1886)に紀州熊野詣りの折りの御告げにより土中より若一王子が現れ、その御霊を祀ったのが始まりとされている。境内にある「神供水」(じんぐすい)は、近隣の人たちが絶えず訪れる名水、夏に訪れいただいたが、冷たくてまろやか、期待以上の水でした。以前の井戸を、20メートルほど掘り下げると一日中水が出るようになったそうです。
名 称:「満仲誕生水」 六孫王神社
住 所:京都市南区壬生通八条角八条町509 Tel.075-691-0310
六孫王神社が鎮座するこの地は、源経基(つねもと)の邸宅「八条亭」の跡地。経基は清和天皇の第六皇子貞純(さだずみ)親王の子であり、天皇の孫であることから「六孫王(ろくそんのう)」と呼ばれたが、臣籍に下って源姓を賜った。境内には神龍池があり、その側に源満仲誕生のおり井戸の上に弁財天を勧請し、安産を祈願し産湯に使ったといわれる誕生水弁財天社がある。
井戸は、古くから京都名水の一つとされているが、初代の井戸は新幹線の高架橋の下になってしまい現在は2代目ですが同じ水脈から汲み上げています。
名 称: 城南宮 「菊水若水」
住 所:京都市伏見区中島鳥羽離宮町7 Tel.075-623-0846
平安時代末、白河上皇により鳥羽に壮大な離宮が造営され、その鎮守として社が祀られ、古くから方除け・交通安全の神として信仰されている神社。伏見八名水の一つ『菊水若水』が湧き出る手水鉢の水を飲むとあらゆる病が治るといわれ、そのご利益を授かるために水を持ち帰る参拝者も多い。
名 称:藤森神社「不二の水」
住 所:京都市伏見区深草鳥居崎町609 Tel.075-641-1045
社伝によると、神功皇后によって創建されたともいわれる古い神社です。また、菖蒲の節句発祥の神社としても知られ、今では勝運と馬の神様として、競馬関係者(馬主・騎手等)の参拝者でにぎわっています。境内東側にある「不二の水」は、「2つとないおいしい水」という意味。ここには昔から井戸があったが何度か枯れてしまい、地下90mから湧き出るいまの神水は3代目だという。氏子はもとより、遠方より水を汲みに来られる人々が後を絶たない。地元の人たちに人気の水汲み場として守られている。