売れない作家 高村裕樹の部屋

まだ駆け出しの作家ですが、作品の情報や、内容に関連する写真(作品の舞台)など、掲載していきたいと思います

政権交代

2012-12-17 17:11:06 | 小説
 昨日の選挙では、民主党が大敗で、自民党が政権の座に返り咲きます。
 3年余も民主党政権の政権担当能力に鉄槌が下された感があります。
 尖閣諸島のトラブルや大震災、原発事故など、不運な面もありましたが、それを乗り切るのが政権党でしょう。もし自民党政権だったらどうだったろうか、とも考えます。

 大震災や原発事故が自民党政権時代に起こっていたら、果たしてうまく乗り切ったでしょうか?
 民主党とあまり大差がないように思います。
 ただ、普天間移転で沖縄の方やアメリカとの問題があれほど大きくなることはなかったでしょう。また、尖閣諸島の問題も、違っていたかと思います。

 このブログではあまり政治問題を取り上げるつもりはありませんが、原発だけはできるだけ早く廃炉にするべきだと思います。
 確かに経済面なども問題はあるでしょう。でも、去年の東日本大震災により、地震が非常に起こりやすい状況にあると思います。地震学者などは、東海地震もいつ起こっても不思議ではない状態だと言います。東海、東南海、南海連動の超巨大地震が起これば、原子力発電所は大丈夫でしょうか? 万一人口が多い浜岡や若狭湾で事故が起こったら、と思うと、ぞっとします。そうなれば、日本は壊滅です。経済効果がどうのと言っている場合ではないと思います。

 また、液化天然ガス(LNG)を使った優れたガスコンバインドサイクル発電などもあるので、それをもっと普及させるべきでしょう。

 今回は『幻影』第35章です。


             35

「これで千尋さんも救われましたね。本当によかった」
 美奈から報告を受けた卑美子が、感情を込めて言った。
 葵、恵、さくら、美奈の四人は卑美子のスタジオに集まった。トヨもいる。
 その日は葵、恵、美奈は出勤日だし、卑美子のスタジオも午後から営業なので、午前中に集まった。みんな夜更かしの朝寝坊なのだが、その日は全員遅刻なく集まった。
 ミドリ、ルミがまもなくオアシスを退職するので、店以外ではみんな、本名で呼び合うことにした。恵については、中学、高校時代の愛称の「メグ」を使っている。それでも以前の癖で、つい店での源氏名が出てしまう。
「今回の事件、美奈ちゃんのお手柄だったそうですね。鳥居さんが言ってましたよ」
 卑美子が美奈のことを誉めた。
「鳥居さん、見えたのですね」
「ええ、さっそく報告に来てくれましたよ。千尋さんのこと、私が背中を彫っていたお客さんだから、って」
「そのとき私もいたけど、あのデカさん、私のこと、ちゃんと覚えてくれてて、おみゃーもここでやることになったんか、頑張れよ、おみゃーさんの似顔絵で、事件が解決したがや、って声をかけてくれたの。今度会ったらぶっ飛ばしてやるつもりだったけど、それで許しちゃった」
 さくらが持ち前のひょうきんさで言ったので、みんなが大笑いした。
「鳥居さんって、見かけによらず、ほんとに親切な人ですね。初めて事件のことで、うちのスタジオに来たとき、私、正直言って、ほんと、怖かったんです。先生も見えないし、あのときはどうしようかとビビッてました。そのときの美奈さんの堂々とした対応、すごいと思いました」
 トヨはほんの二ヶ月前のその出来事が、もうずいぶん以前のことのように感じられた。最初は刑事というより、やくざかと思ったくらいだった。しかし、そのあと卑美子から、実は二〇年近く前、非常にお世話になった刑事さんだと聞かされ、信じられない思いだった。
「いえ、私だって、そのときはすごく怖くて、どきどきしてたんです。でも、三浦さんとはその二日前、私が好奇心で、遺体が埋められていた現場を見に行ったとき、出会っていたんで、その分気が楽でした」
 美奈は雪が降る日に、千尋の霊のことが気になり、遺体が埋められていた現場を見に行って、三浦に咎められたことを話した。
「そうか。美奈はもうそのときに、愛しの君に会っていたのか。それで卑美子先生のスタジオで会ったときには、もうぞっこんだったわけね」と恵が横から口を出した。
「でも、事件も終わり、もう三浦さんとは会う機会もなくなりました。私の恋は、もう終わりました」
 美奈はしんみりとした口調で言った。美奈のそのしょげ方を見て、恵は悪いことを言ってしまったと反省した。
「ごめん、美奈。私、つい調子に乗って、悪いこと言っちゃった。美奈の辛い気持ちも考えないで。本当にごめんね」
「いえ、いいんです。いつまでも叶わぬ思いに尾を引いていてはいけないし。また新しい恋を探しますよ。ところで、さくらさんに描いてもらった似顔絵が、とてもよく似ていたので、五藤逮捕のきっかけになりました。ありがとうございました。さすがですね、さくらさん」
 美奈は話題を変え、改めてさくらに礼を言った。
「私も犯人逮捕に協力できて、よかった。嬉しいです。先生の大事なお客さんを殺しただなんて、私だって許せない。あの名古屋弁のデカさん、私が犯人の似顔絵を描いたこと、お手柄だった、と言ってくれて、嬉しかったな」
 陽気だが、感情の起伏がやや激しいところがあるさくらが、喜びと怒りを同時に表した。
「千尋さん、本当に真面目な人でしたからね。いくら悪い男にだまされていたとはいえ、会社のお金を黙って流用する、なんてこと、とても信じられない。よほどその男を愛していたのでしょうね。本当に恋は盲目ですね」
 卑美子は、かつての千尋のおとなしく、生真面目そうな面影を思い出した。
「そういう美奈もその男にだまされ、危ういところだったんだってね」と葵が訊いた。
「はい、一千万円取られそうになったり、首を絞められて殺されそうになったり。でも、そのとき、千尋さんが助けてくれたんです」
美奈は殺されかけたときのことを思い出し、鳥肌が立った。あのとき、男の強力な腕力で首を絞められ、なすすべもなかった。首の骨がへし折られそうだった。苦しさのあまり、顔が歪み、恐怖も加わり、失禁した。気を失う寸前、もうだめだ、殺される、と覚悟した。
 美奈が死なずに済んだのは、すんでのところで千尋の霊に救われたからだった。
「あれから千尋さんの霊は現れないのですか?」と卑美子が美奈に問いかけた。
「はい。私もどうしちゃったのかな、って思うんですけど。以前は何かあると、いつも現れて、何か言いたそうなもの悲しい顔をしていたのです。事件が解決して、成仏してくれていればいいと思ってます」
 美奈は千尋がどうなったかを気遣った。美奈が傾倒している根本仏教の教団では、釈尊直説の成仏法を修することができなければ、成仏することは難しい、と説かれている。もし千尋が成仏できず、霊界で苦しんでいるなら、もう実家のお寺からは縁を切られてしまったことだし、一度その教団の道場に、相談に行ってみようかとも考えている。名古屋にも最近鶴舞公園の近くに、新しい道場ができたと聞いている。
「美奈、その千尋さんとかいう人の幽霊が出てくるんだって?」
 恵が興味深げに尋ねた。
「はい、私の背中のいれずみが完成して、しばらくしてから、現れたんです。たぶん私が、同じ図柄を彫っている千尋さんに会ってみたい、と思ったから、その思いに感応したのだろうと思います」
「怖くなかった? 私、幽霊とかにはからきし弱いから、そんなの出たら、どうかなっちゃう。夜だったら、トイレにも行けず、漏らしちゃいそう。でも、美奈はお寺の子だから大丈夫かな?」とさくらが身体をすくめた。
「私だって最初は怖かったけど、交通事故に遭いそうになったとき、とっさにスピードを落としなさい、って言われて、速度を落としたんです。それで危ういところで難を救われました。それ以来、千尋さんの霊は怖くなくなりました。私の命の恩人ですから」
「ある意味、守護霊ですね」とトヨが言った。
「はい、千尋さん、守護霊となって、ずっと私と一緒にいてくれると、心強いです。千尋さん、業務上横領とか背任とか、いけないことをしてしまいましたが、そのあとすごく後悔して、自首して罪を償おうとしていたんです。お金も一生かけてでも返済するつもりだったそうです。罪をきれいに清算して、繁藤と赤ちゃんと三人で幸せな家庭を築きたかったそうです。そんな心がきれいな人ですから、地獄に堕ちては、かわいそうです。何とか救われて成仏してほしいと思ってます」
 美奈は三浦から聞いた話を思い出し、目を潤ませて、千尋のことを思いやった。
「事件は解決しても、千尋さんのことがちょっと気にかかりますね。成仏してくれるといいんですが」
 卑美子が締めくくり、ひとまず千尋の話題は終わった。
「葵さんもさくらも、いよいよあとわずかだね。結婚式には、ぜひみんなを呼んでね」
 恵が話題を変えた。恵は同時期に入店した葵のことを、いつもミドリと呼んでいたが、本名で呼ぶときは、二歳近く年上の彼女に敬意を表して、「葵さん」とさん付けで呼んでいる。
 敬称を付けたり付けなかったりで違和感があり、「葵と呼ぶときも、呼び捨てでいいよ」と葵は言うのだが、恵は律儀に自分の方針を守っている。
「さくらのことは、うちで責任を持って預かりますからね」と卑美子がまるで保護者に告げるように言った。
「ビシバシしごいちゃうからね。その代わり、早くプロになってね、さくら」
 トヨが少し顔を右に向けて、さくらをメガネ越しに、横目で見た。最近は黒縁メガネがトヨのトレードマークになっている。
「はい、お手柔らかに、先輩」
 さくらが柄になく九〇度の最敬礼をしたので、一同大笑いをした。
「さくら、ほんとによくやってますよ。トヨに負けないぐらいに筋がいいんです。さくらが来て、トヨも追い抜かれては大変とばかりに、目の色を変えてますからね。二人で切磋琢磨して、私以上のアーティストになってほしいですよ。皆さんの大事な仲間を奪ってしまったことは申し訳なかったけど、うちにとってはさくらをスカウトしたことは、とてもよかったですよ。前々から絵を見せてもらっていたんで、注目はしていたんですけどね。でもトヨが先に実力行使で押しかけてきたから」
 卑美子はみんなにお詫びしながらも、さくらを褒めた。卑美子は弟子に対して、けっこう厳しく仕込んでいる。一生消えない絵を人様の肌に刻むのだから、いい加減な気持ちではだめだと、常々トヨやさくらにやかましく忠言していた。
「いえ、卑美子先生のおかげで、さくらは自分が進むべき道を見つけられたんだから、かえってよかったと思います。私たちも、さくらを応援していますから」
 恵が代表して卑美子に感謝した。
「両親ももう諦めて、私の好きな道を進みなさい、と言ってくれてるよ」
 さくらはタトゥーアーティストになるにあたり、両親の許可も得たことを報告した。
 さくらの両親も同じ名古屋市内に住んでおり、ときどきさくらは両親の家に帰っている。
 胸に蝶のタトゥーを彫ってしまったことに関しては、両親は苦々しく思いながらも、許容していたが、もうそれ以上はタトゥーを増やさないでくれと、さくらに哀願していた。だから、腰の右側に蘭の花を入れたことは、両親には、ずっと内緒にしていた。また、美奈が背中に騎龍観音を彫るのを見て、さくらも背中に大きく天女を入れたいという思いに駆られながらも、両親のことを考慮して、踏みとどまった。
 しかし、さくらは意を決して背中に彫り、まだ完成前の天女を両親に見せた。そして、タトゥーアーティストとしてやっていきたいという決意を示した。さくらの両親は、娘の背中一面を彩った天女の絵を見て驚愕し、心が張り裂けんばかりに嘆いた。母親は泣き出してしまった。
 最初はいれずみを彫るという仕事に難色を示していた両親も、一度卑美子に会って、話だけは聞いてみることにした。卑美子のスタジオは、暴力団関係者は対象にせず、芸術、ファッションとしてのタトゥーを手がけている、という説明に、両親はどうにかこうにか納得してくれた。卑美子と話しているうちに、この人になら娘を託しても大丈夫だと思えるようになった。これほど大きないれずみを背負ってしまった以上、もうまともな職業には就けそうにない。それならタトゥーアーティストという選択もわるくはないか、と父親は諦観し、娘が選んだ道を進ませてやろう、と母親を説得した。両親は卑美子の人柄を信頼し、娘を預けることにした。
 美奈ももし両親が健在なら、これほど大きくタトゥーを彫らなかっただろう。子供のころからの憧れだったので、彫らずにはいられないまでも、小さなタトゥーで我慢していたと思われる。せいぜい最初に彫った下腹部のバラと蝶、あとは家族にもめったに見せることがない部位で、お尻に色違いの牡丹の花を二、三輪彫る程度で思いとどまっていたかもしれない。
 両親が生きていれば、美奈は大学に進学し、卒業後は一般の会社に勤めることになるだろう。タトゥーも何とか隠せる範囲にとどめておき、風俗の仕事とは無縁の、まったく違った人生を歩んでいたはずだ。
 しかし、その場合は、美奈はさくらたち素晴らしい仲間と出会うことは決してなかった。葵、恵、さくらの三人も、単に仲がいい職場の同僚といった関係で、店を辞めれば、もう二度と会うこともない程度の間柄で終わってしまっただろう。四人は美奈を中心として結束した仲間だったから。
 美奈は、自分の人生はこれでよかったのだと思う。他の人では、決して経験できない、自分だけの人生。もちろんまだまだ自分の人生は長いのだし、これから先、どんなことが起こるかわからないが。
「さくらにはもう自分の肌に彫って練習させていますけど、もう少し上達したら、練習台になってくれる人を探して、彫らせようと思っています」
 卑美子がさくらはもう肌に彫る練習をしていることを紹介した。
「へえー、もうさくらは自分に彫ってるんだ。ね、見せて見せて。ついでに背中の天女も。最近なかなかオアシスでも会えなくなっているから」
 葵がさくらにせっついた。こうなるともう裸にされると観念し、さくらは服を脱いだ。
 さくらの背中の天女はもう完成していた。彫り始めて、まだ二ヶ月も経っていなかった。時間が空いていれば、トヨが彫ってくれるので、短期間で仕上がった。その分、痛い思いも多かったが。
 背中一面、臀部まで、軽やかに宙を飛翔している、極彩色の天女が描かれていた。お尻のあたりには五彩の雲が浮かび、天女の周りには桜の花や花びらがたくさん散っていた。左肩には、他のものより大きめの桜の花びらの中に、「台与」と銘が彫られている。
 その見事な出来栄えに、皆は感嘆した。
「だめだわ、こんなの見ると、私も背中に行きたくなっちゃう」
 恵がおどけて、「私に悪の誘惑はしないでちょうだい」と懇願した。
 さくらの左足の甲いっぱいに、自分で彫った赤やピンクの五輪の桜の花が、きれいに描かれていた。これがさくらが初めて人の肌に彫った作品だった。右の太股には、龍が彫られていた。龍は大部分が筋彫りで、一部龍の本体に赤色が入っていた。まだトヨに比べれば、見劣りはするものの、初めて肌に彫ったにしては、なかなかいい出来栄えだった。線もきれいに引けているし、色を塗った部分も、むらなく色が入っていた。
「これ、さくらさんが彫ったんですね。赤い龍、とてもかっこいいですよ。足の桜もかわいいです」と美奈がお世辞でなく、さくらを褒めた。
「私が初めて自分の身体に彫ったときより、ずっといい出来栄えなんですよ。先輩としての面目丸つぶれです。うかうかしてたら、追い抜かれちゃう。まさに尻に火がついた、って感じ」
 トヨがわざと憎らしげに言って、さくらの脇腹を軽く小突いた。
「龍はまだ未完成だけど。美奈の右脚に龍を頼まれているんで、龍を練習してるんだ。龍の絵だって、かなりたくさん描いたよ。自分で自分に彫るって、ほんと痛い。人に彫ってもらうときは、歯を食いしばって痛みに耐えてればいいけど、自分で彫るのはまるで地獄の責め苦みたい。いくら痛くても、しっかり意志を強く持って彫らなきゃいけないから」
 さくらはその辛さを仲間に聞いてほしかった。
「卑美子先生の許可が出たら、さっそく私に彫ってくださいね。公休日なら、いつでも来ますから」
 美奈はさくらの練習台になることを申し出た。
「背中一面は考えちゃうけど、太股や腰になら、バラか菊の花、オーケーだからね。それとも人魚とか天使みたいな、ちょっとセクシーな女性の絵もいいかな。私も練習台になるよ。腕とか膝から下みたいに、見つかり易いところは、家族にばれるとやばいけど」と恵も続いて言った。
「でも、結局私もどんどんタトゥーを増やしちゃいそう。タトゥーの魅力ね。全身いっちゃった美奈やさくらの気持ち、今ならわかるような気がする」
「私はもし旦那が許してくれたら、一個だけ友情のマーガレット、入れるね。タトゥーも小さいのなら、たぶん許してくれると思うけど。彼、タトゥーが入っている友だちが何人かいる、って言うと、すごいね、って感心してるから」と葵も言った。
「葵さんは無理しないほうがいいよ。一つで済まなくなるといけないから。私がそのいい例。まだまだいくつか増えそうよ。もっとも、さくらや美奈みたいに、全身染めるとこまではたぶん行かないけど」と恵が忠告した。
まもなく葵とさくらの送別会で、高山や白川郷などの飛騨への一泊旅行だ。葵の送別会が、思いもかけずさくらの送別会にもなってしまった。
「みんなは名古屋に残るけど、私は静岡に行っちゃうので、ちょっと寂しいよ。でも、みんな、遊びに来てね。いつでも静岡案内するから。静岡は山も海も、自然が豊かだから、遊びに行くところはいっぱいあるよ」
 一人みんなと離れてしまう葵が、遊びに来るように誘った。
「私、南アルプスに登りたいな」
 美奈は北アルプスと中央アルプスはいくつかの山に登っているが、南アルプスはまだ登ったことがなかった。南アルプスは美奈の憧れの山域だった。
「だめよ。そんな南アルプスなんて、私たちとてもついて行けないじゃないの。久能山にしよう」と恵が異議を唱えた。
 猿投山に初めて登って以来、四人はときどき一緒に低山ハイクを楽しんでいる。最近ではトヨが加わることもある。みんなで登ったいちばん高い山は、鈴鹿山脈の御在所岳(ございしょだけ)で、一二一二メートルだった。紅葉がきれいな時季、往路は最も安全なルートといわれる裏道を登り、下山はロープウェイを利用した。
「南アルプスでも、寸又峡(すまたきょう)温泉や梅ヶ島温泉の方なら、誰でも行けるから、大丈夫よ。秘境の雰囲気もバッチリよ。でも温泉はタトゥーがあると、ちょっとやばいかな」
「私、寸又峡に行って、SL乗りたいな」とさくらが言った。
「私も一緒についてっていいかしら」とトヨが尋ねた。
「もちろん、トヨさんも私たちの仲間ですもの。ぜひ一緒にいらしてください」
 葵はトヨも仲間として歓迎した。
 みんな、それぞれの目標に向かって、旅立っていくんだ。私も事件が解決し、三浦さんとは決別したけど、また新しい目標を作ろう。
「別々の道に別れても、私たち、ずっと親友だからね。一生、ずっと仲間だからね。どんなことがあっても。ちょっと寂しくなるけど、みんな頑張ろうね」と恵が音頭を取って、友情を誓い合った。

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