盆休みも終わり、酷暑も一服といった感じです。
最近夜も少し涼しくなり、眠れるようになりました。
もうツクツクボウシが鳴き始め、秋の訪れも近いかな、という気がします。
私個人としては、今年は8月2日に初めてツクツクボウシの鳴き声を聞きました。
今回は『地球最後の男――永遠の命』第10回です。いよいよこの物語の中核の第3章に突入しました。
3 革命
目が覚めたとき、田上はみすぼらしい小屋に寝かされていた。
「ここはどこだ?」
気がついた田上は、呟いた。
「ここは私の家です。あなたは日本の方ですね」
田上の近くにいた若い女性が、帝国語で話しかけた。
(しまった)と田上は思った。大アジア帝国領内で、うっかり日本語を使ってしまった。女性は日本語は理解できなくても、話し方、イントネーションの感じで、日本語と判断したようだ。旧日本人が大陸に渡航することは、特別な許可がない限り、厳しく禁じられている。禁を破った者は、無慈悲に処刑された。これはめんどうなことになりそうだ、と田上は懸念した。
そんな田上の心配を感じ取ったのか、女性は「ご安心ください。私はあなたを人民警察に引き渡すようなことはしませんわ。あなたが私たちの敵ではない限り、危害は加えません」と応えた。女性は張紅蘭(ちょうこうらん)(ヂャン・ホンラン)だと名乗った。
「敵ではない限り、ということはどういうことですか?」
田上は帝国語で尋ねた。日本自治区では公用語が帝国語となり、田上も帝国語を学んだので、会話には不自由しない。高齢でなかなか帝国語を習得できなかった薮原に比べ、若いままの容姿を保っている田上は、記憶力なども劣化していなかった。
「あなた方の国は、私たちの政府に蹂躙され、ひどい目に遭っているのですね? 私は帝国の一国民として、大変申し訳なく思います。でも、そのことを話す前に、まずあなたのことを教えてください。そうでなくては、話せません」
「あ、これは失礼しました。私は田上雄一と申します。日本ではいくつもの企業を経営していましたが、帝国の人民解放軍により、財産はすべて没収され、日本自治区に強制移住させられました。そこで厳しい弾圧を受け、抵抗した仲間は多くが見せしめに殺されました。私も追い詰められ、死んでもかまわないというつもりで、日本海、いや、今は北シナ海でしたね、海に小舟で逃れたのです。途中、巡視船に見つかりそうになったり、鮫の群れに襲われたりしましたが、命からがら大陸に流れ着いたのです」
「そうだったのですか。本当に私たちの政府が、辛い思いをさせ、お詫びします」
「いや、紅蘭さんが謝ることはありませんよ。わるいのは政府権力者のほうだ。日本自治区にいるときに、解放軍の一人から聞きましたが、帝国でもいい生活ができるのは、政府や軍関係、富裕層のほんの一部の人だけで、一般の労働者や農民はひどく搾取され、虐げられているそうですね。その兵士も『俺は正直、こんなひどいことはしたくないんだが、政府に逆らっては生きていけない。わるく思わないでくれ。解放軍の兵士の多くは好きでやっているのではないのだ』と言っていました。失礼なことを言って申し訳ありませんが、この家もかなりみすぼらしいですね。あなたも帝国政府には虐げられているのではありませんか? 人民解放だなんて、とんでもないことですよ」
田上はこの人たちは、帝国では下層階級で、搾取される側の人々なのかと考えた。日本自治区で虐げられている人々よりは多少ましとはいえ、かなりひどいものだと思った。
「わかりました。あなたは私たちを人民警察に売るようなスパイではないと思います」
紅蘭がそう言いかけたところに、何人かの男たちが入ってきた。
「紅蘭、何をしているんだ。その男は誰だ?」
「この人は田上雄一さんといって、日本から来た人で、近くの浜辺で倒れていたのです」
「軽々しく他人を入れるんじゃない。もし帝国の回し者だったらどうするんだ? 日本人だからといって、帝国側の人間じゃないとは言い切れんぞ。牢に引っ立てろ」
「この人はそんな人ではありません、やめてください、お父さん」
紅蘭は田上をかばったが、家に入ってきた男たちに、田上は牢に閉じ込められた。半壊したコンクリート造りの建物の中に設けられた牢だった。
しばらくして、紅蘭が牢に水と食べ物を運んでくれた。
「ごめんなさい。私たち、実は反帝国レジスタンスの一員なの。何度も人民警察のスパイに騙され、多くの地区で仲間が連行されているので、父も過敏になっているんです」
「わかっていますよ。俺たちも祖国では解放軍に抵抗していましたからね。そのおかげで、多くの人たちが殺されましたよ。やつらは俺たち日本人を人間だとは思っていないんだ。もちろん、さっき言ったように、心の中では泣きながらやっている兵士もいましたけどね」
「でも、きっとみんなは田上さんのことをわかってくれると思います」
紅蘭は申し訳なさそうに言った。
それから何日田上は閉じ込められていただろうか。ある日、外が騒がしくなった。紅蘭が牢を解錠してくれ、「田上さん、逃げて。ここにいては殺されます」と叫んだ。
「何があったんですか?」
「人民警察がやってきて、村人たちが連行されているんです。警察といっても、軍隊みたいなもので、いろいろな武器を持っていて、レジスタンス組織の者には、女子供でも容赦なく襲いかかります。父は田上さんがスパイで、私たちのことを通報したんだと思って、あなたを殺そうとしています。でも、田上さんはずっとこの牢に閉じ込められ、外部と連絡のしようなどないのに。それより早く逃げて!!」
田上は紅蘭に導かれ、建物の裏口から脱出した。しかし、途中で人民警察に見つかってしまった。何人もの人民警察官が二人に襲いかかった。田上は紅蘭をかばい、警察官に戦いを挑んだ。実戦に備え、体術の訓練を受けている警察官も、やくざ相手に獅子奮迅の活躍をした田上の敵ではなかった。田上は三人の警察官を叩きのめした。四人目が銃を抜こうとしたが、素早くその手をつかみ、投げ飛ばした。銃を抜こうとした警察官は気絶した。
「紅蘭さん、安全なところで隠れていてください」
田上は紅蘭にそう言い残して、騒ぎがある方角に駆けていった。
村の中心部では、人民警察と村人との銃撃戦が行われていたが、人数や技量に勝る人民警察側が押していた。村民は何人もが銃弾に倒れ、戦意を喪失した。そんな折、人民警察が村民たちの間になだれ込んできた。格闘になれば、体術に優れる人民警察がはるかに有利だった。多くの村民が打ちのめされ、逮捕された。村民たちはちりぢりに逃げ惑った。
そこへ田上が飛び込んだ。田上は一瞬にして何人もの警察官を倒した。十数年にわたり、柔道、空手、合気道、レスリングなどの鍛練を積んできた田上にとって、訓練された警察官といえども敵ではなかった。田上は絶対に死なないと確信していたので、文字通り死にものぐるいの鍛練、稽古を続けてきたのだ。いまや人間の限界を超えた、超人的な強さを誇っている。
警察官たちは素手ではかなわぬと、田上に対し、一斉に発砲した。田上は倒れた。しかしすぐに立ち上がり、警察官たちに襲いかかった。また一斉射撃する。倒れても田上は立ち上がる。人民警察官たちは、そんな田上に恐れをなして、逮捕した村人たちを残したまま、全員が退却した。
村人たちは驚嘆の目で田上を見つめた。
「大丈夫か? わしはあんたを誤解していたようだ。確かに紅蘭が言うように、あんたをすぐに牢にぶち込み、厳重に監視をしていたので、人民警察どもに通報することはできなかったはずだ。帝国のイヌだと疑って、すまなかった」
紅蘭の父、張秀英(ちょうしゅうえい)(ヂャン・シュウイン)が、田上に不明を詫びた。
「ところであんた、あれだけ弾(たま)を浴びたのに、大丈夫なのか? 防弾チョッキなども着ていないのに」
村人の一人が尋ねた。
「ええ、大丈夫です。俺は神より、不思議な力を授かりましたから。その力で、帝国の大高祖を倒すために大陸に渡ってきたのです」
村人たちは田上の言葉にあ然とした。そして誰もがバカバカしいと笑った。たった一人の力で、そんなことができるわけがない。まさに巨大な恐竜に対し、蟻が一匹で挑むようなものだ。踏みつぶされて、それで終わりだ。
「いや、巨大な恐竜にとって、小さな蟻は目に入ることもなく、かえって盲点になるかもしれん。じっくり計画を練れば、案外うまくいくかもしれないぞ。他の仲間たちとも相談してみよう」
秀英が提案した。
「それよりここも見つかってしまった。いつまた人民警察、いや、今度は解放軍が襲ってこないとも限らない。全員、速やかにこの村から脱出しなければ」
村民は一〇人以上の犠牲者を出した。犠牲者を埋葬した後、残った村民は、女性や子供、負傷者も含め、三艘の漁船を使い、村をあとにした。
田上たちはレジスタンス組織の本部に合流した。田上の活躍はすでに報告され、幹部たちに歓迎されたが、中にはまだ田上に疑いを抱いている者もいた。しかし他に帝国側の諜報者がいることが判明し、その諜報者は処刑された。田上は青天白日の身となった。
何ヶ月、何年も行動を共にし、田上はレジスタンス組織の者たちの信頼を勝ち得た。田上は日本自治区より、旧日本の人たちを帝国の支配から救済するために大陸にやってきた、という目的は、大陸で抑圧されている多くの民族を解放するというレジスタンス組織の目的と合致した。それで、田上の不死の身体を使っての帝国打倒の計画が何年にもわたって練られ、実行するチャンスを窺っていた。
最近夜も少し涼しくなり、眠れるようになりました。
もうツクツクボウシが鳴き始め、秋の訪れも近いかな、という気がします。
私個人としては、今年は8月2日に初めてツクツクボウシの鳴き声を聞きました。
今回は『地球最後の男――永遠の命』第10回です。いよいよこの物語の中核の第3章に突入しました。
3 革命
目が覚めたとき、田上はみすぼらしい小屋に寝かされていた。
「ここはどこだ?」
気がついた田上は、呟いた。
「ここは私の家です。あなたは日本の方ですね」
田上の近くにいた若い女性が、帝国語で話しかけた。
(しまった)と田上は思った。大アジア帝国領内で、うっかり日本語を使ってしまった。女性は日本語は理解できなくても、話し方、イントネーションの感じで、日本語と判断したようだ。旧日本人が大陸に渡航することは、特別な許可がない限り、厳しく禁じられている。禁を破った者は、無慈悲に処刑された。これはめんどうなことになりそうだ、と田上は懸念した。
そんな田上の心配を感じ取ったのか、女性は「ご安心ください。私はあなたを人民警察に引き渡すようなことはしませんわ。あなたが私たちの敵ではない限り、危害は加えません」と応えた。女性は張紅蘭(ちょうこうらん)(ヂャン・ホンラン)だと名乗った。
「敵ではない限り、ということはどういうことですか?」
田上は帝国語で尋ねた。日本自治区では公用語が帝国語となり、田上も帝国語を学んだので、会話には不自由しない。高齢でなかなか帝国語を習得できなかった薮原に比べ、若いままの容姿を保っている田上は、記憶力なども劣化していなかった。
「あなた方の国は、私たちの政府に蹂躙され、ひどい目に遭っているのですね? 私は帝国の一国民として、大変申し訳なく思います。でも、そのことを話す前に、まずあなたのことを教えてください。そうでなくては、話せません」
「あ、これは失礼しました。私は田上雄一と申します。日本ではいくつもの企業を経営していましたが、帝国の人民解放軍により、財産はすべて没収され、日本自治区に強制移住させられました。そこで厳しい弾圧を受け、抵抗した仲間は多くが見せしめに殺されました。私も追い詰められ、死んでもかまわないというつもりで、日本海、いや、今は北シナ海でしたね、海に小舟で逃れたのです。途中、巡視船に見つかりそうになったり、鮫の群れに襲われたりしましたが、命からがら大陸に流れ着いたのです」
「そうだったのですか。本当に私たちの政府が、辛い思いをさせ、お詫びします」
「いや、紅蘭さんが謝ることはありませんよ。わるいのは政府権力者のほうだ。日本自治区にいるときに、解放軍の一人から聞きましたが、帝国でもいい生活ができるのは、政府や軍関係、富裕層のほんの一部の人だけで、一般の労働者や農民はひどく搾取され、虐げられているそうですね。その兵士も『俺は正直、こんなひどいことはしたくないんだが、政府に逆らっては生きていけない。わるく思わないでくれ。解放軍の兵士の多くは好きでやっているのではないのだ』と言っていました。失礼なことを言って申し訳ありませんが、この家もかなりみすぼらしいですね。あなたも帝国政府には虐げられているのではありませんか? 人民解放だなんて、とんでもないことですよ」
田上はこの人たちは、帝国では下層階級で、搾取される側の人々なのかと考えた。日本自治区で虐げられている人々よりは多少ましとはいえ、かなりひどいものだと思った。
「わかりました。あなたは私たちを人民警察に売るようなスパイではないと思います」
紅蘭がそう言いかけたところに、何人かの男たちが入ってきた。
「紅蘭、何をしているんだ。その男は誰だ?」
「この人は田上雄一さんといって、日本から来た人で、近くの浜辺で倒れていたのです」
「軽々しく他人を入れるんじゃない。もし帝国の回し者だったらどうするんだ? 日本人だからといって、帝国側の人間じゃないとは言い切れんぞ。牢に引っ立てろ」
「この人はそんな人ではありません、やめてください、お父さん」
紅蘭は田上をかばったが、家に入ってきた男たちに、田上は牢に閉じ込められた。半壊したコンクリート造りの建物の中に設けられた牢だった。
しばらくして、紅蘭が牢に水と食べ物を運んでくれた。
「ごめんなさい。私たち、実は反帝国レジスタンスの一員なの。何度も人民警察のスパイに騙され、多くの地区で仲間が連行されているので、父も過敏になっているんです」
「わかっていますよ。俺たちも祖国では解放軍に抵抗していましたからね。そのおかげで、多くの人たちが殺されましたよ。やつらは俺たち日本人を人間だとは思っていないんだ。もちろん、さっき言ったように、心の中では泣きながらやっている兵士もいましたけどね」
「でも、きっとみんなは田上さんのことをわかってくれると思います」
紅蘭は申し訳なさそうに言った。
それから何日田上は閉じ込められていただろうか。ある日、外が騒がしくなった。紅蘭が牢を解錠してくれ、「田上さん、逃げて。ここにいては殺されます」と叫んだ。
「何があったんですか?」
「人民警察がやってきて、村人たちが連行されているんです。警察といっても、軍隊みたいなもので、いろいろな武器を持っていて、レジスタンス組織の者には、女子供でも容赦なく襲いかかります。父は田上さんがスパイで、私たちのことを通報したんだと思って、あなたを殺そうとしています。でも、田上さんはずっとこの牢に閉じ込められ、外部と連絡のしようなどないのに。それより早く逃げて!!」
田上は紅蘭に導かれ、建物の裏口から脱出した。しかし、途中で人民警察に見つかってしまった。何人もの人民警察官が二人に襲いかかった。田上は紅蘭をかばい、警察官に戦いを挑んだ。実戦に備え、体術の訓練を受けている警察官も、やくざ相手に獅子奮迅の活躍をした田上の敵ではなかった。田上は三人の警察官を叩きのめした。四人目が銃を抜こうとしたが、素早くその手をつかみ、投げ飛ばした。銃を抜こうとした警察官は気絶した。
「紅蘭さん、安全なところで隠れていてください」
田上は紅蘭にそう言い残して、騒ぎがある方角に駆けていった。
村の中心部では、人民警察と村人との銃撃戦が行われていたが、人数や技量に勝る人民警察側が押していた。村民は何人もが銃弾に倒れ、戦意を喪失した。そんな折、人民警察が村民たちの間になだれ込んできた。格闘になれば、体術に優れる人民警察がはるかに有利だった。多くの村民が打ちのめされ、逮捕された。村民たちはちりぢりに逃げ惑った。
そこへ田上が飛び込んだ。田上は一瞬にして何人もの警察官を倒した。十数年にわたり、柔道、空手、合気道、レスリングなどの鍛練を積んできた田上にとって、訓練された警察官といえども敵ではなかった。田上は絶対に死なないと確信していたので、文字通り死にものぐるいの鍛練、稽古を続けてきたのだ。いまや人間の限界を超えた、超人的な強さを誇っている。
警察官たちは素手ではかなわぬと、田上に対し、一斉に発砲した。田上は倒れた。しかしすぐに立ち上がり、警察官たちに襲いかかった。また一斉射撃する。倒れても田上は立ち上がる。人民警察官たちは、そんな田上に恐れをなして、逮捕した村人たちを残したまま、全員が退却した。
村人たちは驚嘆の目で田上を見つめた。
「大丈夫か? わしはあんたを誤解していたようだ。確かに紅蘭が言うように、あんたをすぐに牢にぶち込み、厳重に監視をしていたので、人民警察どもに通報することはできなかったはずだ。帝国のイヌだと疑って、すまなかった」
紅蘭の父、張秀英(ちょうしゅうえい)(ヂャン・シュウイン)が、田上に不明を詫びた。
「ところであんた、あれだけ弾(たま)を浴びたのに、大丈夫なのか? 防弾チョッキなども着ていないのに」
村人の一人が尋ねた。
「ええ、大丈夫です。俺は神より、不思議な力を授かりましたから。その力で、帝国の大高祖を倒すために大陸に渡ってきたのです」
村人たちは田上の言葉にあ然とした。そして誰もがバカバカしいと笑った。たった一人の力で、そんなことができるわけがない。まさに巨大な恐竜に対し、蟻が一匹で挑むようなものだ。踏みつぶされて、それで終わりだ。
「いや、巨大な恐竜にとって、小さな蟻は目に入ることもなく、かえって盲点になるかもしれん。じっくり計画を練れば、案外うまくいくかもしれないぞ。他の仲間たちとも相談してみよう」
秀英が提案した。
「それよりここも見つかってしまった。いつまた人民警察、いや、今度は解放軍が襲ってこないとも限らない。全員、速やかにこの村から脱出しなければ」
村民は一〇人以上の犠牲者を出した。犠牲者を埋葬した後、残った村民は、女性や子供、負傷者も含め、三艘の漁船を使い、村をあとにした。
田上たちはレジスタンス組織の本部に合流した。田上の活躍はすでに報告され、幹部たちに歓迎されたが、中にはまだ田上に疑いを抱いている者もいた。しかし他に帝国側の諜報者がいることが判明し、その諜報者は処刑された。田上は青天白日の身となった。
何ヶ月、何年も行動を共にし、田上はレジスタンス組織の者たちの信頼を勝ち得た。田上は日本自治区より、旧日本の人たちを帝国の支配から救済するために大陸にやってきた、という目的は、大陸で抑圧されている多くの民族を解放するというレジスタンス組織の目的と合致した。それで、田上の不死の身体を使っての帝国打倒の計画が何年にもわたって練られ、実行するチャンスを窺っていた。