売れない作家 高村裕樹の部屋

まだ駆け出しの作家ですが、作品の情報や、内容に関連する写真(作品の舞台)など、掲載していきたいと思います

『幻影2 荒原の墓標』第15回

2014-04-25 11:08:47 | 小説
 今朝、うちから最も近いガソリンスタンドの前を通ったら、レギュラーガソリン166円になっていました。消費税アップ、環境税導入で、ますます値上がりしています。
 もう徹底したエコ運転をするしかない、と思いましたが、他の車に迷惑をかけてまでのエコ運転は、エゴ運転になりそうです。
 今朝も、制限時速50km、片道1車線、追い越し禁止の道で、前のトラックが時速30kmでのんびり走っていたので、さすがにいらつきました。渋滞で前が詰まっているのなら仕方ないですが、そうでもありませんでした。

 今回は『幻影2 荒原の墓標』第15回目です。今回から第3章に入りました。今回は餅分総本店さんのことが書いてありますが、文中で名前を出すことは事前に了承をいただいています。餅分さんのういろは、私の彼女も大好物です


       第三章 兄の失踪


            1

 矢田川での事件が起こり、しばらくしてから、北村がオアシスにやってきた。
「いや、ひどい目に遭いましたよ。アリバイがあっても、何となく話しづらかったので、じきに真犯人が見つかり、無罪放免になるだろうと思っていましたが、まだ真犯人は捕まらないようですね。まあ、貴重な留置場体験ができたから、ぜひとも作品に活かしたいですよ」
「あのときは私も余計なことをして、すみませんでした。高村さんのプライバシーを暴いたみたいで。でも、新聞に、高村さんが重要参考人と出ていたので、びっくりして警察に電話したのです。新聞では匿名になっていましたが、高村さんだということがすぐわかりましたので」
「でも、結果的にミクさんが証言してくれて、助かりましたよ。約束通り、警察もプライバシーは守ってくれたようで、あれからマスコミの取材はあっても、変な噂は立ちませんでした」
「私は二月にあることないこと、派手に書き立てられてますし、そんな私が高村さんと一緒にいたことを嗅ぎつけられると、また何を書かれるかわかったもんじゃないですから。私は気にしませんが、高村さんには迷惑がかかります。だから、刑事さんには、秘密にしてくれるよう、よくお願いしておきました」
「ミクさんのその配慮、非常に嬉しかったですよ。しかし、こうまで僕の小説通りに殺人が起きるだなんて、どういうことでしょうね。書いた僕自身が気持ち悪いですよ。まさか、また事件が起こるんじゃないでしょうかね? あの作品にはあと二つ殺人がありますから」
「まさか、いくら何でも、そんなことは」
 美奈はそう言いながらも、しきりといやな予感がした。作品通りの殺人事件が起こりそうな予感だ。
『荒原の墓標』は、東京と奈良県橿原(かしはら)市、明日香村などの史跡を舞台とした、古代伝説にまつわる猟奇的な連続殺人事件を、北村が創作した名探偵榛名敏彦(はるなとしひこ)が鮮やかに解決する物語だ。恋人と古都の旅行を楽しんでいた榛名が、連続殺人事件に巻き込まれる、という設定である。
「以前、南木曽岳で守護霊の声を聞いたという話をしましたが、ひょっとしたら、それが関係しているのじゃないでしょうか? あれは守護霊ではなく、とんでもない悪霊の声だったんじゃないかという……」
 北村は恐ろしくて、最後まで言えなかった。そして美奈もそれに同感だった。美奈は心の中で、 「千尋さん、どうなんでしょうか? やはりあれは悪霊による事件なんでしょうか?」 と尋ねてみた。しかし、千尋からの反応はなかった。

 仕事を終えてから、美奈は恵、美貴、裕子のいつものメンバーで、なじみのファミレスで歓談の時間を持った。
 恵はさくらが描いた龍と牡丹の絵がとても気に入ったので、さっそく来週から背中に彫ってもらうことにした、と報告した。
「右肩のあたりに龍の頭を入れて、背中を龍の胴体がくねり、お尻の左側に尻尾が来るの。龍にはいくつも牡丹の花を重ねるわ。左肩の卑美子先生の蝶とも、ばっちりバランスを取ってもらうよ」
 恵はおおよその構図を説明した。
「わぁ、かっこいいですね。あたしはあと一つだけ、さくらに入れてもらって、それで終わりにするつもり。でも、今度は蓮より少し大きめの、きれいな絵を入れたいな」
「私はどうしようかな。最初に目立つ手首にやっちゃったんだから、もっと入れたってかまわないかな、なんて思ってますけど。どうせ手首は長袖着ても見えちゃって、私がタトゥーしたこと、友達にばれちゃったんだから。今度入れるとしたら、太股に少し大きめのにしようと思っています。またさくらさんと相談してみます。この前見せてもらった、鯉に牡丹を散らした絵、とてもきれいでした」
 美貴と裕子も自分たちの思いを口にした。無口でおとなしい裕子が手首まで入れることはどうかな、と美奈は最初心配していた。しかし、リストカットの忌まわしい呪縛から解放されたためか、タトゥーを入れてから明るく積極的になった裕子を見て、美奈はよかったと安心した。性格が積極的になったためか、それまで成績下位に甘んじていた裕子の指名客が、だんだん増えてきた。
 そのことを最も喜んだのは、彫った本人であるさくらだった。さくらも相談を受けたとき、美奈と同じ心配を抱いたが、 「リスカのいやな思い出を吹っ切って、自分自身を変えていきたい」 という裕子の強い決意を受け入れて、施術したのだった。
 裕子が明るくなったのは、もちろん本人の努力によるものであり、単にタトゥーを入れたおかげではない。ただ、大きな苦痛に耐えてタトゥーを入れたことが、裕子に自分の引っ込み思案の性格を変えるのだ、という強い決意をさせたことはいえるかもしれない。
 美奈は新しい友との歓談を楽しんだ。この時間も、あと半年と続かない。でも、たとえ私がオアシスを辞めても、この交友はずっと続けたいと思った。
 美奈が辞めるという決心は、恵のほか、アドバイザーの玲奈には伝えてあった。店のナンバーワンコンパニオンであるミクが辞めることは大きな痛手だが、玲奈は三浦との結婚を決意した美奈を祝福してくれた。たとえそれが内縁関係であって、正式な婚姻ではないとしても。玲奈は繁藤の事件を通じて、三浦のことを知っている。その上で、年内はよろしくお願いします、と玲奈は改めて美奈に依頼した。店長の田川には、玲奈を通して、美奈の意向は伝わっている。

 三人と別れ、美奈は自宅でベッドに入った。眠りに入る前、うとうとしていると、千尋が現れた。
「美奈さん、さっきは北村先生本人がみえたので、返事をしなくてごめんなさい。最近北村先生は、霊的な感覚が鋭敏になっているので、私の声が聞こえてしまう恐れがあったのです。
 事件については、美奈さんが考えている通りです。北村先生には、よくない霊が憑いています。ただ、いつも憑いているわけではなく、ときどき作品を書いているときに、北村先生に影響を与え、登場人物の名前を使わせているようなんです」
「すると、まだこの先も物語の通りの殺人事件が起こるのですね?」
「はい、必ず起こります。しかし、強力な悪想念を持った霊が介在しているので、それを防ぐのは不可能です。たとえ私の力をもってしても。その霊は巧妙に自分の力をコントロールしているので、私にもいつ、どこで何をするのか、予想もつきません。今はこうして警告するのが精一杯です」
 美奈はこのことを三浦に報告しようと思ったが、やめておいた。今後、どういう展開になるか、守護霊の千尋にさえ、予想ができないのだ。
 作品にある佐藤義男、大岩康之が危ないので、今のうちから保護するように、といっても、警察は取り合ってくれないだろう。三浦は捜査本部でそのことに危惧を抱いている、と発言しているが、そんな雲をつかむような話で警察が動くわけにはいかないと、一蹴されたそうだ。その佐藤義男、大岩康之がどこの誰なのか、それを調べるのも大変だ。いらぬことを言って、捜査を混乱させることはできない。だが、予告通りの殺人が起こることだけは確かなのだ。わかっていて、それを防ぐ手立てがないことが、美奈は歯がゆかった。

 美奈は久しぶりに名古屋市天白区(てんぱくく)に住む姉を訪ねた。真美は天白区役所の近くの、同じ宗派の寺に嫁いでいる。美奈は姉の寺に行く前に、餅文(もちぶん)総本店という和菓子屋の元八事(もとやごと)店に寄った。美奈はここのういろが大好きで、姉のところに行くときは必ず立ち寄っていく。一六五九年創業という老舗だ。名古屋名物の外郎(ういろう)といえば、大手の青柳総本家、大須ういろなどがすぐに思い出されるが、美奈は餅文のういろが好きだった。姪の愛もういろには目がない。まだ幼く、喉に詰まらせるといけないので、真美は小さく切って与えているが、もっと大きいものを食べたがる。葵も餅文のういろが好きなので、静岡に発送を依頼した。ちょうどお中元のセール中で、送料を無料にしてくれた。
 美奈は以前、殺人事件に巻き込まれたため、実家の寺の住職をしている兄に、タトゥーをしていることや、ソープランドで働いていることを知られてしまった。烈火のごとく怒った兄の勝政は、 「おまえの汚らわしい顔など見たくはない。もう二度と帰ってくるな!!」 と美奈を罵倒し、勘当した。
 それでも真美は美奈のことをかばってくれた。真美は何か困ったことがあれば、いつでも連絡してほしい、と美奈に言ってくれた。
 先月下旬に、真美が二番目の子供を懐妊したという連絡を受け、美奈は真美に会いに行くことにした。電話ではよく話をするものの、兄に勘当されてから、真美に会うのは初めてだった。今妊娠一一週めだ。
「お姉ちゃん、こんにちは」
 美奈は姉の嫁ぎ先の清蓮寺(せいれんじ)の庭先にいた姉に声をかけた。二歳の愛も一緒だ。この前会ったときより、少し大きくなっている。
「あら、美奈、いらっしゃい。あんなことがあって心配してたけど、元気そうでよかった。髪、少し伸ばしたの。メガネも変えたのね。どちらも似合ってるよ」
 これまで美奈はシルバーのメタルフレームだったが、最近細身の、ピンクがかったパープルのセルフレームのメガネに変えた。服とのコーディネートにより、メガネも使い分けている。ショートカットだった髪も、肩の近くまで伸ばしている。髪は染めていない。
「愛ちゃん、これ、お土産よ。餅文さんのういろ」
「まあ、いつもわるいわね。あとで切ってあげるから、ちょっと待ってなさい」
 真美はういろを見つけて食べたがる愛に言い聞かせた。
 真美と美奈は寺の居住区のキッチンに入った。広い本堂では落ち着かない。愛は最近よくしゃべるようになり、新しく買ってもらった絵本を見ては、盛んに 「これ、なにい?」 と美奈に尋ねた。知識欲が旺盛のようだ。美奈は 「これはおうち、これは自動車、ブーブよ。これは犬、わんわんだよ。愛ちゃんのとこにも、わんわんいるでしょう」 などと愛に答えてやった。清蓮寺では茶色の雑種を飼っている。寺に迷い込んだ野良の子犬が居着いて、家族になついてしまったので、追い出すのも忍びないと、飼うことにしたのだった。ゴロという名前だ。ごろごろ寝てばかりいるからゴロなのだそうだ。
 愛の相手をしている間に、真美が冷たいお茶と一緒に、美奈の土産のういろを切って持ってきてくれた。愛には小さく切ってある。愛が手づかみで食べようとしたので、真美が 「そんな、手で。フォークで食べなさい」 と制した。ういろには黒文字や爪楊枝のほうが合っているが、愛には幼児用の安全なフォークを手渡し、真美が手を添えて食べさせた。
「お姉ちゃん、また赤ちゃんできたんだって」
「うん。今度は男の子がいいな」
「まだ性別はわからないんだね?」
「はっきり確定できるのはもう少し先になるそうだけど。旦那は次は男の子を欲しがっているけど、私はどっちでもいい。でも、どっちかといわれると、今度は男の子かな。生まれるのは、来年の二月ごろの予定よ」
 真美の夫は住職であると同時に、宗派が運営している私立高校の教師でもあった。教壇に立つので、真美の夫は蓄髪をしている。教師の仕事が多忙なため、寺の行事は近くに住んでいる弟に任せることが多い。
 しばらく姉の懐妊のことや体調の話をしていたが、切りがいいところで、美奈は話題を変えた。
「お姉ちゃん、実は私、今結婚を考えているの」
「え、美奈、そうなの? 全身にいれずみしててもいいと言ってくれる男(ひと)がいるの? 前みたいに、だまされたりしない?」
 真美は気のいい美奈が、またおかしな男にだまされるんじゃないかと心配だった。
「大丈夫よ。今度の人は、絶対間違いないから。だって、この前の事件のとき、お世話になった刑事さんなんだから。お姉ちゃんも会ったことあるでしょう、三浦さん」
 相手が刑事と聞いて、真美はまた別の面で心配になった。警察官は、結婚相手にも非常にやかましいということを、真美も知っていた。今では合法であり、何の問題もない政党である共産党関係者が相手である、というだけでも、なかなか認められない。本人が共産党員ではなく、家族に党員がいても難しいという。ましてや親族に過激な左翼や暴力団関係者がいれば、絶対無理である。真美はそう聞いていた。
 もちろん美奈は左翼でも暴力団関係者でもない、真面目な女性だ。しかし、全身にタトゥーを入れてしまい、今はソープランドで働いている。
 真美は、タトゥーはもう消せないとしても、風俗の店で働くことだけはやめてほしいと思っている。しかし、これだけ大きくタトゥーをしてしまったので、なかなか他の仕事に就けないと美奈が言うので、やむを得ないかと諦めていた。美奈はハローワークや就職情報誌などで職探しをしたことを話していた。
「三浦さんはタトゥーをしていても、一緒になってくれると言っているわ。もちろん私、結婚する前に、風俗の仕事は辞めます」
「でも、いくら本人がいいと言っても、周りが許さないでしょう? 警察の上司とか、家族の人が」
「三浦さんには反対する家族はいないし、たとえそのために昇進の望みが絶たれても、一生ヒラの刑事として、地道に犯罪を追いかけていくと言っているわ」
 美奈も家族が反対しないかを三浦に問い質していた。
 そのとき三浦が話したことは、三浦には今家族といえる人はいないとのことだった。
 父親は交番勤務の巡査だったが、三浦が中学生のころ、大勢のチンピラに絡まれていた人を助けようとして、殉職した。相手は殺意まではなかったとはいえ、殴られて転倒したとき、後頭部を地面に強打した。それが死につながった。父親のそんな生き様を見て、三浦は自分も父に負けない、立派な警察官になろうと決意したという。
 母親は三浦が高校卒業後、他の男と再婚して東京に行き、あまり会うことはない。父親が悲惨な最期を迎えたため、母親は一人息子が警察官になることには、猛反対だった。弁護士が巧妙で、あれは不幸な事故だったという主張が通ってしまった。そのとき襲われた被害者や目撃者が怖くなって逃げてしまい、加害者が暴力を揮っていたという証人がいなくなってしまったのだ。相手には殺人罪ではなく、過失致死罪が適用され、執行猶予までついた。相手が軽い処分ですんだため、母親の無念が大きく、なおさら反対が強かった。三浦はそれを無理やり押し切って、警察官となったので、母子の仲はこじれてしまった。だから今は三浦が誰と結婚しようが、母親が文句を言うこともない。
「そうなの? 三浦さんは本当に美奈でいいと言ってくれるの?」
「はい。タトゥーをしていても、全然卑下することはない、と言ってくれます。三浦さんは籍を入れようと言うけど、私はしばらくは籍を入れないで、内縁関係でいようと思うの。やっぱり、正式な結婚だと、三浦さん、警察で肩身が狭い思いをするといけないから」
「そう。三浦さんがそこまで言ってくれるのなら、私も嬉しいわ。美奈、世間様がどう言おうと、絶対負けないでがんばってね。私との約束だからね」
 真美はそう言って、涙を流した。美奈も目頭を熱くした。それを見ていた愛が、 「お母たん、泣かないで」 とべそをかいた。

牡丹

2014-04-24 18:27:13 | 日記
 最近、多忙でなかなか山歩きができませんでしたが、今日、久しぶりに弥勒山、大谷山に登りました。

 桜はもうほぼ散ってしまい、ツツジが咲き始めました。山や植物園は藤の花が咲いていました。
 前回つぼみが固かった植物園の牡丹も、見頃になっていました。

  
  
  
  
  
   
 植物園の動物ふれあい広場には、数は少ないですが、いろいろな動物や鳥がいます。

 弥勒山や大谷山の山頂ではギフチョウが舞っているかなと期待しましたが、今日は飛んでいませんでした

 

 気温は登山道で25℃あり、夏日でした。

『幻影2 荒原の墓標』第14回

2014-04-18 13:33:19 | 小説
 先日、読者の方と話す機会がありました。その方は私の作品を、『宇宙旅行』『幻影』『幻影2 荒原の墓標』の3冊を読んでくださいました。
 なかなかよく書けていると褒めていただきましたが、官能的な描写が少ないので、もう少しそんな場面を書くほうがいいのではないか、とアドバイスをいただきました。私が苦手にしていることなのですが……

 『幻影2 荒原の墓標』の第14回を掲載します。


            

 その日の夜遅く、というより、翌日の未明に、美奈は三浦の訪問を受けた。美奈は仕事が終わってから、恵、アイリ、リサとなじみのファミレスに寄り、自宅に帰ったのが午前三時近くだった。三浦も被害者の人間関係の聞き込みで、今回の相棒、小幡署の柳刑事と歩き回り、小幡署に戻ったのは、夜遅くなっていた。関係者の聞き込み等の捜査では、これといった進展はなかった。捜査はまだ始まったばかりなのだし、これからだと三浦は自分を鼓舞した。
 事件当時は、長雨が続き、川が増水していたから、遺体は上流から流れてきた可能性もある。殺人現場、もしくは遺体を遺棄した現場はもっと上流かもしれない。上流での目撃者捜査、痕跡捜査で、何か手がかりが見つかるかもしれない。幸い事件の翌日から、梅雨の中休みで、晴天が続いている。
 小幡署に戻り、捜査本部でその日の捜査の報告や打ち合わせなどが終わったら、もう日付が変わっていた。三浦は捜査で疲れていたので、捜査本部となっている部屋で少し仮眠を取った。目が覚めると、美奈から携帯電話にメールが届いていた。
「昨日は申し訳ありませんでしたm(_ _)m。北村先生が重要参考人、ということを新聞で知ったので、私としても、知らぬ顔はできませんでした。先生、大丈夫だったでしょうか? 今仕事を切り上げ、これから友達としばらくファミレスで歓談します」
「返信遅れました。捜査本部でしばらく仮眠を取り、今目を覚ましました。北村先生は無事に釈放しました」
 美奈からのメールを受信してから、一時間半ほど経ってから、三浦は返事を送った。美奈は自宅への帰路の途中だった。美奈は信号待ちの間に、「今、帰る途中です。あと一五分ほどで自宅に着きます」とメールを打った。三浦は 「もしご迷惑でなければ、これからお伺いしていいですか? 今守山区の小幡署なので、三〇分以上はかかりますが」 と返信した。美奈には何ら異存はなかった。すぐに返信したいが、こういうときに限って、なかなか信号が赤にならなかった。
 真夜中の三時ごろ、三浦が美奈の家を訪れた。
「すみません。こんな遅い時間だというのに。刑事が一般人を訪問する時間じゃないですね」
「いいえ、私だってさっき戻ったところなんです。一般人だなんて、そんな他人行儀なこと言わないで。ここは三浦さんの自宅だと思ってもらってかまいませんから。でも、やっぱり全身いれずみのソープレディーでは、三浦さんも迷惑かしら。近所の人は、みんな私の仕事やタトゥーのこと、知ってますから」
「世間の噂など、気にすることはありませんよ。全身にいれずみがあろうが、ソープレディーをやっていようが、美奈さんは美奈さんです。僕は美奈さんが、本当は優しい心を持った、すばらしい女性であることを知っていますから」
 三浦は美奈から出されたコーヒーをすすった。美奈も一緒にコーヒーカップを手にしていたが、三浦の言葉に、つい目頭が熱くなってしまった。
「美奈さんが淹れてくれたコーヒーは、うまいですね。署で飲むインスタントとは大違いです」 と三浦はまず美奈のコーヒーを褒めた。
「ただ、タトゥーはもう消せないので、僕も美奈さんの全身のタトゥーを受け入れますが、できれば、ソープの仕事だけは辞めてほしいなと考えています。以前、『鳳凰殺人事件』で、北村先生の作品と徳山久美の事件のことを聞いたとき、何となく北村先生は美奈さんのお客さんなのだな、と感じましたが、昨日、はっきりそう聞いたとき、僕もやはり穏やかではいられませんでしたから」
 三浦にそう言われると、美奈としても返す言葉がなかった。
 オアシスでは、貴重な戦力であったミドリとルミが退職し、残ったケイとミクにかかる期待は大きかった。最近オアシスに若い娘(こ)たちが入店し、新陳代謝が活発になっている。入れ替わりが激しい業界では、二年以上勤務しているミクは、もう古株ともいえる。新しい人材が次々と入り、ミクもいつまでもナンバーワンという名にあぐらをかいていられなかった。もちろんミクはあぐらなどかいているのではなく、客の接待には真心を尽くし、仕事に努力を惜しまないでいる。
「ごめんなさい。私もそう思って、最近、いろいろ会社の面接を受けたのですが、やっぱりタトゥーのことを言うと、すべて断られてしまいまして。よほどばれるまでは隠していようと思ったのですが、これだけ大きく彫っていると、黙って入社するのは気が引けますし。健康診断なんかで、すぐばれますからね。何とかタトゥーを受け入れてくれる勤め先を見つけられないかな、と思っているのですが、今のところ、全くだめです。いくら覚悟の上で入れたとはいえ、やっぱり厳しいです」
美奈は少し前まで、公休日にはハローワークなどに行って、仕事を探していたことを三浦に打ち明けた。
仕事を探しているのは、姉の真美が、美奈がソープランドに勤めていることにあまりいい感情を抱いていないので、姉への手前を繕うためもあった。それが仕事を探しているうちに、タトゥーを容認してくれる、いい仕事が見つかれば、実際に勤めてもいいと思うようになった。もし美奈を採用してくれる会社があれば、オアシスを辞めるのではなく、土日祝日や平日の夜七時以降はオアシスに勤めるという、両刀遣いでいくつもりだ。少し身体はきついが、以前マルニシ商会というOA機器や文具の販売会社に勤めていたときは、そうしていた。美奈としては、タトゥーがあっても、一般の会社で雇ってもらえるかを知りたいという気持ちもあった。
 ただ、今はコンパニオンとして高収入があるので、是が非でも職を得なければというような、切羽詰まったものではなかった。
ハローワークの受付の女性に、あとで会って話をしませんかと誘われ、喫茶店で待ち合わせたことがあった。就職に関して何かいい情報を持ってきてくれるのかなと期待していたら、妙法心霊会という宗教団体への入信の誘いだった。その教団の春日井道場は、ハローワークの近くにある。その人には、タトゥーがあることを受付のときに打ち明けていた。最初は世間話や、 「タトゥーがあると、やはり就職は難しいようですね。でも大丈夫。きっといい仕事が見つかりますよ」 などと、ハローワークの業務に関係しそうなことを話した。しかしそのあと、 「私はぜひとも木原さんに幸せになってもらいたいから、思い切ってお話しすることにしました」 と本来の目的を切り出した。そして教団の素晴らしさを長々と聞かされた。
「あなたもぜひとも絶大な力を持つ御守護霊をいただき、幸せをつかんでください。必ずいい仕事が見つかります」
 彼女は熱心に美奈を勧誘した。
「私、もう素晴らしい守護霊がいるので、その件でしたら、大丈夫です」
 美奈はやんわりと断った。
「もう心霊会に入信しているのですか? それならそうと、早く言ってくださいよ。どこの支部、法座会に所属しているのですか?」
 その女性は、こんなに延々と説明させておいて、と恨めしげに言った。そうはいっても、ほとんど美奈が口を挟む間がないほどに、彼女一人で教団、守護霊のことをしゃべりまくっていたのだが。
「いいえ、そうじゃないですが、私には千尋さん、多恵子さんという素晴らしい守護霊様が二人もいらっしゃるのです。だから、もう守護霊をいただく必要はないのです」
 美奈が重ねて断ると、その女性は 「そんないい加減な守護霊ではだめです。おかしな憑依霊を信じると、罰(ばち)が当たって、大変なことになりますよ」 と語気鋭く迫ってきた。美奈としてはあまりことを荒立てるつもりはなかったので、下手(したて)に対応したが、千尋や多恵子のことを 「おかしな憑依霊」 と言われ、内心おもしろくなかった。
「罰が当たってどうなっても知りませんからね。いれずみのように、自分の意志で身体を傷つけることは、魂を傷つけることと同じで、仏罰(ぶつばち)によって、死んでから無間(むげん)地獄に堕ちますよ」
結局相手は憤慨し、自分の分のコーヒー代をテーブルの上に置いて、その場から立ち去った。入信を拒まれて、手のひらを返すように態度を変化させたその女性に、美奈はあきれてしまった。その後、美奈はもうハローワークには行かなかった。
千尋は 「心霊会の守護霊は、まだ十分浄化されていない低級霊が多いようです。さっきの女性の守護霊というのは、彼女の先祖霊ですが、まだ彼女を守護できるだけの力を持っていませんでした。それを知らずに、教団に一生懸命奉仕や金銭の供養をしている彼女も、導かれて入信する人も気の毒です。タトゥーをすると魂を傷つけるというのも、間違いです。肉体はあくまで魂の入れ物でしかありません。それより、魂に悪想念をこびりつかせることのほうが、はるかに大きな罪悪です。美奈さんは将来、ぜひとも作品の中で、霊界の真実などを紹介してください。私も正しい霊界の真相を美奈さんに教えますから」 と美奈に語りかけた。
 美奈はそんなハローワークでの出来事も三浦に話した。
「そうですか。やはり大きなタトゥーがあると、就職も厳しいのですね」
 最近、タトゥーを入れているタレント等も増えてきたとはいえ、一般にはまだタトゥーが受け入れられていないことを、いやが上にも感じずにはいられなかった。憧れのスターが入れているからといって、同じように軽い気持ちでタトゥーを入れてしまった女の子が、後々彫ったことを後悔する、ということも多い。
 かくいう三浦自身も、大きなタトゥーを入れた女性と結婚を前提として付き合っていることが上層部に知られれば、刑事としての将来に大きな支障が出るだろう。けれども、三浦はそれでもよいと思っている。
「たとえなかなか就職先が見つからなくても、僕が美奈さんの生活を支えてあげますよ。これからの人生、共にしませんか? 美奈さんさえいやでなければの話ですが。もちろん刑事の安月給では、今の美奈さんの収入の半分にもなりませんけど」
 三浦は照れながら思い切ったことを言った。美奈はプロポーズともとれるこの三浦の言葉が、最初は信じられなかった。それが空耳でも聞き違いでもなく、現実に三浦の口から発せられた言葉なのだと理解できると、美奈は天にも昇るように嬉しかった。
「いやだなんて……。嬉しい。でも、本当に私なんかでいいんですか?」
「もちろんです。その場の雰囲気で口から出た言葉なんかじゃ、決してありません。昨日、美奈さんから電話があってから、ずっと考えていたことなんです。いくら仕事とはいえ、美奈さんをいつまでも今の状態にしておいてはいけないと。もちろん美奈さんの都合もあるでしょうから、今すぐ仕事を辞めるというわけにはいかないでしょうが。でも、ある程度の区切りがついたら、今の仕事を辞めてもらいたい。そして、一緒になってほしいんです」
「私みたいな女と一緒になると、警察でまずいんじゃないですか?」
「僕は警察幹部になるより、鳥居さんのように、一生ヒラの刑事で、事件を追い回すほうが性に合っていますから、上の忠告など、聞くつもりはありません。事件で疲れ、傷ついたときには、いつも美奈さんにそばにいてほしい。最悪の場合は、仕事を変わってもいいと考えています」
 ヒラの刑事といっても、鳥居は正確にいえば階級は巡査部長で、刑事としては部長刑事である。だから若い刑事たちから、 「デカ長さん」 と呼ばれることもある。鳥居は現場畑で徹底的に鍛え上げられており、今さら昇進試験を受けて、警部補、警部に昇進しようという気持ちはなかった。三浦は巡査長だ。
「嬉しい。私、俊文さんのこと、心から愛してます」
 美奈は三浦さんではなく、俊文さんと呼んで、三浦の胸の中に飛び込んだ。三浦は美奈の身体と心をしっかり受け止めた。美奈は三浦の胸の中で、しばらく泣いていた。そして、幸福感に酔いしれていた。
「ただ、お店を辞めるのは、もう少し待ってください。葵さんとさくらさんが辞めてまだ三ヶ月なので、あとしばらく続けていたいんです。店長さんから期待されていますから。別にそんな義務はないんですが、もう少し店長さんの気持ちに報いたいんです」
「美奈さんは義理堅いんですね。そこがいいところでもあるんですが。ところで美奈さん、作家目指して作品書いているのですね。あれから進みましたか?」
三浦は話題を美奈が書いているミステリーのことに移した。
「はい、あと少しで完成です。事件の謎に迫るクライマックスで、四〇〇字詰め原稿用紙に換算して、五〇〇枚を超えました。北村先生が完成したら見せてくれ、と言われるんですが、やっぱり私の拙(つたな)い作品をプロの先生に見せるのはちょっと気後れします」
「五〇〇枚か。すごい大作ですね。でも、北村先生の推薦を得られれば、デビューできるかもしれませんよ。僕が読ませてもらった分は、なかなかよくできてると思います」
「だけど、万一何かの拍子に、先生が私のお客さんだったなんて知られたら、またゴシップ週刊誌に何を書き立てられるかわかりませんし。先生には迷惑かけられません」
 二人はしばらく美奈の作品の話などをしていた。警察でのやりとりの描写などは、三浦のアドバイスを受けている。そうこうしているうちに夜明けが早い七月上旬の空は、東の方がわずかに青みがかってきた。三浦はざっとシャワーで汗を流して、少し眠ることにした。

美奈は葵とさくら、トヨに、近いうちにオアシスを辞めると三浦と約束したことをメールした。恵にはオアシスで会えるので、直接話すつもりだった。
 葵もさくらも美奈の知らせに驚いた。以前、美奈は繁藤に結婚をエサに一〇〇〇万円をだまし取られそうになったことがある。しかし今度はまじめな刑事である三浦が相手なので、繁藤のときのような、金目当ての詐欺である心配はなかった。ただ、刑事と全身いれずみのソープレディーで、うまくいくかどうかを心配した。
 日本国憲法第二十四条では、 「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」 とある。しかし警察官の場合は、結婚相手に対しての身元調査などがある。そしてふさわしくない相手ならば、上司などから忠告を受ける。これは実質的な制約ともいえる。もっとも国の最高法規である憲法の規定があるので、結婚自体を阻止されることはない。それでも警察という組織にそぐわない結婚を強行した場合は、以後の昇進などは絶望的となるかもしれない。
 それでもかまわないと三浦が断言してくれたと伝えると、葵もさくらも美奈のことを祝福してくれた。

オアシスでの仕事が終わり、美奈は 「今日は二人だけで話がしたいから」 と恵をなじみのファミレスに誘った。今日はアイリは公休日だった。
「三浦さんのことね」
 ファミレスに着いたら、恵が口火を切った。
「もう知ってるんですね」
「うん。葵さんからもさくらからも、電話をもらったから。あの二人に話せば、何でも筒抜けよ。私には会って直接話すつもりで、メールをくれなかったんだと思ってた」
「ごめんなさい。メグさんだけ報告遅くなっちゃって。今日会えるから、会って直接話すほうがいいと思って」
「気にすることないよ。やっぱりこういうことは、直接会って話したほうがいいもんね。でも、おめでとう。とうとう美奈の念願かなったのね」
「ただ、今の仕事、続けることができなくなって」
「そりゃあ当然でしょう。結婚してもこの仕事を続けることを許すような旦那なら、私がぶん殴ってやるわ。で、いつごろの予定?」
「まだ時期なんかは話し合っていないんです。私もあと少しだけこの仕事続けたいと思うから。せめて年内はやろうと思います。葵さんやさくらさんが辞めて、すぐに私まで辞めては、お店にも申し訳ないし。それにせっかく美貴(みき)(アイリ)さんや裕子(ゆうこ)(リサ)さんとも親しくなれたんだし」
「私たちのことより、彼氏のほうが大事だよ。私はもちろん、美貴や裕子だって、仕事辞めても、これからもずっと友達として付き合っていけるんだし。お店に対しても、美奈は十分尽くしているんで、そんな義理立てすることない。でも、三浦さんと結婚するのなら、絶対この仕事続けることは無理なんだから」
「それから、私、ずっと考えていたんだけど、三浦さんとはしばらく籍は入れないでおこうと思ってるんです」
「何で?」
「だって、私と正式な夫婦になれば、三浦さん、警察ではもう昇進の望みがなくなっちゃうんだし。私は内縁でもかまわない。彼の愛情さえしっかりつかんでいれば」
「その古風なところ、何となく美奈らしいわね。でも、そんな悠長なこと言ってたら、三浦さん、逃がしちゃうかもしれないよ」
「大丈夫です。私、彼のこと、信じてますから」
 以前、美奈は守護霊となった千尋から、将来必ず三浦とは幸せな家庭を築くことができるという予言をもらっている。ただ、紆余曲折も多々あるので、どんなことがあっても三浦を信じなさいとのことだった。やはり警察官である三浦と幸せな家庭を築くためには、いろいろな障害が待っているのだろう。しかしハッピーエンドが約束されているので、美奈はどんなことがあっても負けないぞ、と決意している。
「ああ、いいなあ。私も早くいい男(ひと)探さなくっちゃあ。この仕事、もう五年もやってるし。オアシスでは最古参の部類だもんね。やっぱり仕事と恋愛は別だから」
 恵はそう言いながらも、仕事も楽しんでいた。もちろん客の接待には、真剣に取り組んでいる。
 美奈は昨日の出来事を、北村弘樹のプライバシーに関わることを除いて、恵に話した。三浦も仕事とはいえ、美奈が他の男とベッドに入っていることに、穏やかならぬ気持ちを抱いていることを言うと、 「そりゃあ当然よ。そうじゃなかったらおかしいわ。三浦さんもそこまで言ってくれるなら、私のことなんか気にしないで、この仕事、辞めるべきよ。私は寂しいけど、やっぱり美奈のためだもん」と、恵は珍しく涙を流した。そんな親友の涙を見て、美奈は我慢できなくなり、泣き出した。
「ごめんなさい、メグさん。葵さん、さくらさんに続いて、私まで辞めちゃったら、メグさんひとりになっちゃう。だから私……」
「相変わらず優しいのね、美奈は。でも、私は大丈夫。今は美貴や裕子とも親しくなれたし。それ以外にも、たくさん友達がいるから。それより、美奈は三浦さんを大切にしなくちゃあ。美奈が辞めても、私たちはずっと親友よ。一生ね。葵さんも、さくらも。それに美貴も裕子も」
「メグさん、ありがとうございます。私、本当にすばらしい親友と出会えました。でも、私、もうしばらく、今年いっぱいぐらいはオアシスで働きます。三浦さんも待ってくれると言ってましたから。このこと、まだ美貴さんや裕子さんには内緒にしておいてください。美貴さんや裕子さんとも、私がオアシスにいるうちに、もっと友情を深めたいです」
「そうね。私だっていつまでもこの仕事、続けられないから。私もせいぜいあと二年、ってとこね。それまでに次の就職先を見つけなきゃ。永久就職ができれば、一番いいんだけど。将来オアシスの同期会作ろうよ。葵さん、さくら、美貴、裕子はもちろん、ほかにも誘って、賑やかにやろうよ。玲奈さんにも声をかけて。美奈と私が発起人ね」
「同期会、いいですね。ぜひ作りましょう」
二人は同期会のことで盛り上がった。そして、美奈の小説が今クライマックスで、間もなく完成する、ということを話した。
「オアシス辞めたら、今度は作家としてがんばってね。本が出たら、私もオアシスの従業員みんなに紹介するから。店長にオアシスの人数分買ってもらって、全員に配ってもらおうかな」
 恵はそう言って美奈を激励した。

           7

「おい、久美に続いて、山下まで殺されてしまったぞ」
「いったいこれはどういうことだ」
「ひょっとしたら、俺たちのことをかぎつけ、復讐しようとしているやつがいるんじゃないのか?」
「でも、久美を殺(や)ったやつは、もう捕まったんじゃなかったのか? 確か山岡とかいうやつだった。行きずりの殺しだったそうだが」
「もし警察が山下と俺たちの関係に気づくと、やばいことになるかもしれないぞ。今回の事件には俺たちは無関係でも、以前のことがある。久美の件は解決したようだが、もし久美とのことも気づかれると、さらにやばい」
「俺たちとの関係は知られないように隠してきたつもりだが、万一気づかれたらまずいな」
「まあ、そんなに簡単に山下との関係がわかることはないと思うが。しかし、こうして俺たちが集まっていることがわかるだけでもやばい。これからはなるべく電話やメールですませ、顔を合わさんようにしたほうがいいんじゃないのか?」
「携帯電話やメールだと、通信記録が残ってしまうんじゃないか?」
「単なる偶然ならいいが、もし俺たちが知らない敵がおり、一人ひとり復讐しているのなら、危険だ」
「でも、久美の件については、もう犯人は捕まっている。やはり、偶然が重なっただけじゃないのか」
「だが、ちょっと聞いた話では、北村何とかという小説家が書いた本に、俺たちの名前が出とるということが話題になっているそうだが、どういうことなんだ? そんな作家は全然知らんがや。だが、殺された山下は、そのことを気にして怯えとったぞ。あいつはけっこう本読むの好きだったからな。俺もあんまり山下が言うんで、ちょっと読んでみたが、そんなもん偶然だで、気にするなとは言っておいたんだけどな。しかしやっぱり俺たち四人のうち、三人の名前が出とるんで、ちょっと気持ち悪いがや」
「俺も小説なんか趣味じゃないから、あんまり読む気にはならんかったけどな。久美は推理物とか好きで、よく読んどったみたいだな。今朝聞いたニュースでは、その作家は事件には全く関係がなく、偶然の一致だということだ」
「その作家がどうのこうの、そんなもん、関係ない。もし犯人が俺を襲ったら、誰であろうと、逆に返り討ちにしたるぜ。この無敵の拳でよ」
「そうはやるな。相手の正体がわからんうちは、うかつに動かんほうがいい。とにかく、当分の間は十分注意しないとな。夜の一人歩きなどは、極力避けるようにしよう。もし何か情報がわかったら、また集まろう」


修理したパソコン

2014-04-17 02:42:06 | 日記
 2月下旬に起動しなくなったデスクトップパソコンを修理して、1ヶ月余が経過しました。
 パソコンが壊れ、執筆やイラストを描けなくなってしまい、修理せざるを得なくなりました。
 ノート型パソコンが1台ありますが、画面が狭いのがネックで、快適に作業するためには、デスクトップパソコンがほしくなります。
 資金に余裕がなかったので、やむを得ず、最も安いCPUとマザーボードを購入しました。
 マザーボードなどの取り替え作業は、2時間ほどで完了しました。
 電源ユニットは、壊れている別のパソコンのものを外して、取り付けました。電源ユニットは異常なかったので、使い回しは可能です。修理したパソコンのケースに元から付属していた電源ユニットは、容量が小さなものだったので、取り替えました。
 修理はさほど困難なく終えましたが、Windows7のインストールやMS Office2007などのインストール、及びそれらのアップデートに非常に時間がかかりました
 あれから1ヶ月ちょっと経ちましたが、パソコンは快調に動作しています
 ノートパソコンはCore i3、デスクトップはCeleronで、デスクトップのほうが下位のCPUですが、周波数が高く、メモリーも倍(8GB)ということも影響しているのか、ノートパソコンよりもさくさくと動作します
 私は3Dゲームや動画は扱わないので、Celeronでも十分でした。

大阪に行きました

2014-04-14 20:51:25 | 日記
 昨日、所用で大阪まで行きました。阪神高速道路にもすっかり慣れました。
 ガソリン代値上げもきついですが、ETCの割引が減ったこともつらいです
 新名神より安いので、昨日は東名阪、名阪国道(25号線)、西名阪を走りました。
 帰りは東名阪を通らずに、国道1号、23号線で名古屋まで走り、高速道路代を浮かせました。四日市市街でかなり渋滞しましたが、それ以外はスムーズに流れていました。
 少しでもガソリン消費量を減らそうと、我がパッソをエコ運転して、2人乗車で、リッター22kmを達成しました。カタログ値の、10.15モード(旧基準)の21.5kmは超えました。私のパッソは19年式を中古で購入したものです。
 本日発売の、マイナーチェンジしたパッソは、軽を除くガソリン車では燃費ナンバーワンになったそうですが。
 しかしパワーが小さいので、上り坂や加速がけっこう大変です
 往復運転したら疲れ、風呂の中でうとうとして、あわや溺死するところでした。朝4時半に起きたので、睡眠不足もありました。でも、居眠り運転はしませんでした。