売れない作家 高村裕樹の部屋

まだ駆け出しの作家ですが、作品の情報や、内容に関連する写真(作品の舞台)など、掲載していきたいと思います

よいお年をお迎えください

2012-12-31 11:50:21 | 日記
 このブログも始めてから間もなく2年になります
 最初は「新人作家 高村裕樹の部屋」でスタートしましたが、翌年、デビューから1年が経ったということで、「新人作家」から「売れない作家」とタイトルを変更しました。

 2年間で25,000人を超える方が訪問してくださいました
 タイトルを早く「売れない作家」から「売れっ子作家」と変更したいと思います。もちろん自分から「売れっ子作家」などというつもりはありませんので、別のタイトルを考えますが。
 こんなことを書くのは、僭越なことだと十分自覚をしています。それでも、少しでも多くの方に読んでいただけるような作家を目指そうという志だけは持ち続けたいと考えています。
 
 それでは、来年もよろしくお願いします

瞑想 迷走?

2012-12-29 22:34:13 | 日記
 私は以前より瞑想、meditationに興味を持っています。TMなどの技法を学び、実践していましたが、あまり徹底していなかったためか、効果が今ひとつでした

 最近は経済的にも逼迫してきたので、少し身を入れて瞑想をやってみようかと思っています。

 アファメーション(affirmanion)として、本がよく売れる、いい仕事に就ける、などを入れてみようと思っています。

 かつて何人かの友人に、瞑想なんてくだらないことだ、そんな夢みたいなことばかりを追っていても意味がない、迷走するだけだ、もっと現実に目を向けろ、なんて言われたことがあります。私の友人には、唯物的な考えの人が多く、瞑想とか宗教的なことには無関心です。

 私は精神的なことは必要だと思っていますし、人間の柱として、宗教的なものの考え方も重要なのではないかと思っています。今の事態を打開するために、瞑想にももう少し前向きに取り組んでみようと思います。

 とはいっても、現実的な努力も必要なので、仕事探しなどもしっかりしていこうと思います。ただ、50台半ばだと、就職運動も厳しいです。今日、同じ年代の転職希望の人にも、「厳しいですね」と言われてしまいました。

 成果など出たら、このブログで発表します。

不祥事

2012-12-28 00:47:52 | 日記
 最近、公務員の不祥事の記事が多いようです。特に、教員の盗撮が目につきます。

 私もかつては学校に事務職員として勤めていましたが、さすがに児童を盗撮しようとか、痴漢行為をしようなどとは考えたことがありませんでした。

 もっとも自分もこのブログで、公務員は襟を正せ、なんて立派なことをいえるほどの者ではありませんが。

 私が学校を退職せざるをえなくなったのは、鬱病になり、仕事ができなくなってしまったからです。職場に行くのが怖くなり、よく年次休暇を取り、休みました。以前は年20日ある年次休暇の大部分は行使せずにいました。それが退職する3年ほど前から、ほとんど年次休暇を使い切ってしまうという状態でした。

 鬱病になった原因のひとつは、目を傷め(緑内障、網膜剥離、網膜格子状変性)、パソコンで仕事をすることが困難になったことです。細かい数字を見間違え、しばしば大きなミスを犯してしまいました。
 組合の仲間からは、辞めなくても、休職すればよかったのに、と言われましたが、自分としては、税金から給料をもらいながら、満足に仕事ができなくては、税金泥棒とののしられてしまう、というように自分を追い詰めてしまいました。また、上司の信頼を失ってしまったのも辛く思われました
 
 結局退職してから2年ほど休養し、鬱病も軽減し、何かやらなければと思い、20代、30代の夢だった作家になりたい、という希望を思い出し、『幻影』 と『宇宙旅行』 を書きました。最初に書いたのは『幻影』ですが、『宇宙旅行』を先に出版しました。

 その2作が本として出版でき、さらに『ミッキ』 と『幻影2 荒原の墓標』 も上梓できました。今はパソコンで原稿を書いていますが、目が疲れたら、しばらく休憩して、目を休ませています。

 退職金や貯金も底をつき、生活がちょっと苦しくはなってきましたが、これからも頑張りたいと思います。

 最近完成した『地球最後の男―永遠の命』を友人に読んでもらいましたが、けっこう評価してくれました。次は『ミッキ それから』の執筆に頑張ろうと思っています。

野鳥

2012-12-25 18:25:11 | 旅行
 ずっと風邪で体調を崩していたので、久しぶりに弥勒山に登りました。今日はこの冬一番の寒さだったそうですが、3枚しか服を着ていなかったにもかかわらず、歩いていれば寒くありませんでした。上着はフリースのジャケットです。
 山頂にはヤマガラ、メジロ、シジュウカラなどの野鳥がいました。ヤマガラやシジュウカラはよく見かけます。今月初め、カメラを向けていたら、いきなり指にヤマガラが留まったので、びっくりしました
 写真を写そうとしても、元気に飛び回り、じっとしていないので、なかなかうまく撮れません。





 ①はメジロです。名前のとおり、目の周りが白くなっています。みかんをついばんでいたので、たくさん撮影できました。
 ②はヤマガラ、③はシジュウカラです。ヤマガラ、シジュウカラは飛び回って、カメラを向けピントを合わせるまでじっとしていてくれないので、なかなかうまく写せません。
 ④は、下山して帰宅する途中、ちょうど日の入りだったので、写してみました。午後4時40分ころです。

 12月13日より、みろくの森の山道の一部(大谷小屋の辺り一帯)が工事で通行止めとなっており、あとわずかで県道に出るというところだったのに、かなり回り道をしました。一本道なので、もっと上の方で通行止めの表示をしてあれば、別のルートを通り、大きく回り道をすることがなかったのですが。みろくの森を歩くときには、ご注意ください。

 『幻影』 が書店にないから取り寄せてもらった、という人から聞きましたが、注文して4日で書店に入荷したそうです。

地球滅亡?

2012-12-21 11:57:42 | 小説
 今日は地球滅亡の日だといいます。マヤの暦が今日で終わり、それで人類が滅亡するのだとか?
 また、フォトンベルトに地球が突入し、人類に大きな進化が始まるのだという説もあります。そのとき、悪人は生き残れないという話も読みました。私は生き残れないでしょうか(笑)

 しかしマヤの暦は今日で終わるのではなく、新たな暦があるといいます。フォトンベルトに関しても、私は多少天文学に興味を抱いていますが、それはあり得ないと思っています。
 今のところ、特に滅亡の兆しはありません。以前にもノストラダムスの大預言などありましたが、人類滅亡はありませんでした

 ただ、日本は近い将来、東海、東南海、南海巨大地震や、首都直下地震に見舞われる可能性がないとはいえないので、その備えはしておかなければならないと思います。前にも書きましたが、危険な活断層が近くにある原子力発電所は言うまでもなく、原発の再稼働は控えるべきでしょう。

 今回は『幻影』最終回です。もし本の形で読んでいただければ、とてもうれしく思います。
 要望があれば、『宇宙旅行』や『ミッキ』も掲載していきたいと考えています。


       エピローグ

             1

 卑美子のスタジオに集まった日の夜、久しぶりに千尋が現れた。千尋の霊は今までとは違い、顔には晴れ晴れとした笑みを浮かべていた。そして、全体が輝いて見えた。
「千尋さん、成仏できたのですね」
 その様子を見て、美奈が喜んだ。
「ありがとう、美奈さん。成仏、というと、ちょっと違うかも知れませんが、私は救われました。暗い、じめじめした地獄のようなところから、救われました。美奈さんのおかげです」
 千尋は美奈の問いに、すらすら答えた。今まで、こんなことはなかった。
「私は、五藤に殺されてから、ずっと真っ暗な霊界で、独りぼっちでした。会社のお金を横領した罪もあったのでしょうね。いくら泣きわめこうが、両親や恋人の名前を呼ぼうが、誰も応えてくれませんでした。ただ真っ暗で寒い、物音一つない霊界に、独り置き去りにされていました。そんなある日、微かに私の名前を呼ぶ声が聞こえたのです。それが美奈さんでした。私は美奈さんの声がする方に、一目散に飛びました。そしたら、目の前に、なんと私の背中に彫ったのと同じ観音様が輝いて見えました。私はその観音様にすがりつきました」
 やはり千尋に会ってみたい、という美奈の思いが、千尋との間に、心の架け橋を作ってしまったようだ。そして、美奈が千尋と同じ図柄の観音様を彫っていたことにより、千尋はその観音様にすがりついてしまった。まさに千尋は美奈に憑依した形となった。
「最初のうちは、私は苦しいばかりの存在で、なかなか美奈さんの問いかけに答える余裕などありませんでした。ときどき美奈さんに私の存在を知らせるだけで精一杯でした。もし美奈さんがもっと霊に取り憑かれやすい霊媒(れいばい)体質なら、もっと簡単に話しかけることができたのですが、美奈さんは登山などで心身を鍛えているので、私程度の霊力では、影響を与えることがほとんどできませんでした」
「そうなんですか。それで、私がいろいろ問いかけても、答えをいただけなかったのですね。でも、車の事故から助けてくれたときは……」
「あのときは私も必死でした。このままでは、美奈さんが事故で死んでしまう、と思ったら、火事場の馬鹿力、というのでしょうか、必死になって話しかけたので、美奈さんに通じたのです。本当によかった。幽霊が必死、なんて、変かもしれませんが。でも、幽霊にも火事場の馬鹿力って、あるのですね」
 千尋はおかしそうに笑った。
「あのときはありがとうございました。もし千尋さんの声が聞こえなかったら、私、間違いなく猛スピードで右折車とぶつかって、死んでいました」
 美奈は心からこのことには感謝した。
 美奈の両親も交通事故で亡くなっている。あわや両親と同じことをしてしまうところだった。まさに親子間による運命の反復だった。
「でも、美奈さんが暴走した原因を作ったのは、私ですから。私を怖がって、早く帰りたいという一心で、スピードを出し過ぎたのですから。もし美奈さんがあれで亡くなったりしたら、私、もう悔悟の念に駆られて、永遠に地獄に堕ちていたかもしれません」
「いいえ、私がスピードを出し過ぎたからいけなかったんです。車に慣れて、運転が楽しくなり、ちょっと横着になっていたから、あれで反省しました。それから、繁藤に殺されそうになったときも助けられました。私は気を失っていたので、気づかなかったけど、でも千尋さんが助けてくれたことはわかります」
「あのときは繁藤の目の前に、顔中血だらけにして、恨めしそうな顔をして出てやったのです。繁藤はびっくりして後ずさり、勝手に足を絡ませて、壁に後頭部を打ち付けて気絶しました。五藤のときも同じです。ただ、美奈さんには私のそんな恐ろしい姿を見せたくなかったので、繁藤のときは、申し訳なかったけど、気を失うのを待っていました。五藤のときには、私の力が増していたので、五藤だけにしか見えないようにすることが可能でした」
「そうだったんですか。でも、本当にありがとうございました。千尋さんには二度も命を助けられました。繁藤にも、大事な一千万を取られずに済みましたし。私、つい繁藤に同情し、渡すつもりでしたから」
 いくら今は稼ぎがよくても、この先どうなるかわからない。だからお金は大切にしたかった。
「繁藤は気の毒でした。五藤が私を殺さなければ、私は繁藤に殺されていたでしょう。私だけでなく、自分の赤ちゃんまで道連れにして。五藤も繁藤も許せませんでした。でも、美奈さんとの交流を通じ、美奈さんの素晴らしい仲間たちのことも知り、私の心は少しずつ和んでいきました。そして、五藤も繁藤も許せるようになったのです。繁藤には生きて罪を償ってほしいと思いました。しかし、これも自業自得なのでしょうね。五藤に殺されてしまったのですから」
 やはり千尋も繁藤のことを許していたのだ。繁藤が五藤に殺されてしまったのは、千尋の祟り、恨みによるものではなかった。その事を確認し、美奈は心に温かいものを感じた。
 しかし、一緒に死んでしまった赤ちゃんはどうなったのだろうか? 赤ちゃんも霊界で迷っているのではないだろうか。美奈は賽(さい)の河原の子供たちの説話を思い出した。
 親より先に死んだ子供たちが、親不孝の罪を償うために、賽の河原で石を積み、塔を作ろうとするが、完成間近になると、鬼が来て壊してしまう、という言い伝えだ。最終的には子供たちは、地蔵菩薩により救われるというが、美奈はその話を聞くと、子供たちの不憫を思って、心が張り裂けそうになる。
「大丈夫ですよ。私のおなかの赤ちゃんは、まだ人間の魂が宿る前だったので、魂が霊界でさまよっているとか、鬼にいじめられているようなことはありません。私の赤ちゃんに宿るはずだった魂は、今は別の子供となって、優しいご両親のもとで、幸せに暮らしています」
 美奈の心を読んだ千尋は、自分の子供となるべき魂の行方を美奈に告げた。
「そうなんですか。魂って、受精のときに宿るんじゃないのですね」
「はい、魂は赤ちゃんが生まれて、ある程度成長してから宿ります。だから、水子の祟りというのはありません。生まれたばかりの赤ちゃんが死んで、成仏できずに、さまよっている、ということもないのです。ただ、いくらまだ魂が宿る前だといっても、胎児はこれから成長していく、大切な魂の原型をすでに持っているので、やはり人間として尊重しなければなりません」
「よかったです」
 涙もろい美奈は、それを聞いて、目にいっぱい涙を溜めた。
「私は美奈さんとの魂の交流により、救われました。そして、霊として多少の通力(つうりき)を得ることができました。でも、まだまだ私は境界を高めるために、修行しなくてはなりません。それで、お願いですが、私に美奈さんの守護霊になることを許してもらえないでしょうか? 美奈さんを守護しつつ、修行を重ね、より高い神霊として成長したいのです」
 千尋は自ら美奈の守護霊になりたいと申し出た。
「え、千尋さんが私の守護霊に、ですか?」
 美奈はびっくりした。千尋が守護霊になってくれるだなんて。美奈としては、自分からお願いしたいぐらいだった。
「はい、まだ神霊としては十分な力はありませんが、美奈さんを陰からそっと見守ってあげたいと思います。ただ、あまり美奈さんに干渉すると、私に頼ってしまい、美奈さんの自主的な判断力や、行動力をだめにしてしまうので、どうしても私の力が必要になる場合以外は、ただ見守っているだけですが」
「それでもいいです。千尋さんがいつも一緒だと思うだけで、私は心強いです。どうか、よろしくお願いします」
 それで、千尋は美奈の守護霊となり、ずっと美奈を見守ることになった。
「ちょっと変なことを訊いちゃっていいですか? トイレのときなんかもやはり見守られているのですか? 大きいのしてるとき、見られてると思うと、守護霊様といえども、やっぱり恥ずかしいです。それに仕事とはいえ、接客ではエッチなこといっぱいしてるし」
 トイレやセックスのことなどを守護霊に尋ねるのはおかしいかな、と思いながらも、美奈としては、ちょっとそれが気になった。さすがに千尋はすぐには答えられなかったが、「気にしなくていいですよ。未浄化な低級霊はともかく、ある程度浄化された霊は、そんな人間の生理的なこと、全然関心ないですから」と答えた。
「あと、一つだけ教えてあげます。三浦俊文さん、心配いりません。紆余曲折はありますが、いつかは美奈さんと結ばれます。子供も授かり、一家揃って、幸せになれますよ。すぐには夫婦という形はとれないし、一見困難や破局と思われることも起こります。でも、彼を信じ続けてください。そうすれば、必ず報われます」
それを聞いた美奈は嬉しくて目にいっぱい涙を溜めた。

             2

「ミクちゃん、ご指名ですよ。杉浦さん」
 フロントの沢村から連絡があった。
「杉浦さん。誰だろう?」
 ソープランドに来る客はたいてい偽名を使うが、指名してくれる客の多くは、一度名乗った名前を、ずっと使う。しかし杉浦という名前には記憶がなかった。
 モニターを見ても、知らない顔だ。もっとも帽子とサングラスで、ほとんど素顔はわからないが。オアシスのホームページを見て指名してくれたお客さんだろう、とミクは考えた。
 ミクは長身のその客を個室に案内した。いつもミクが使用している部屋だ。
 部屋に入った杉浦は、帽子とサングラスを外し、付けひげを取った。
「美奈さん、僕だよ」
「け、刑事さん」
 思いもかけない客に、美奈は驚いた。まさか三浦が来てくれるだなんて、まったく考えてもみなかった。
「いや、どうしても美奈さんに会いたくて、来てしまいました。刑事の安月給じゃ、こういうところに来るのは辛いですが。ここでは面が割れてるので、変装してきました」
「刑事さんがこんなところに来て、いいんですか?」
「あまりよくないけどね。でも、君に会いたい気持ちのほうが、ずっと強かった」
「嬉しい」と美奈は三浦に抱きついた。
「うんとサービスしちゃいます。商売抜きで」
 三浦は初めて美しい美奈の裸体を見た。
「すごい、こんな大きないれずみだったなんて。例の雑誌に載っていた写真より、ずっと立派に見える。でも、きれいだよ」
「だけど、刑事さんの恋人にはふさわしくないでしょう? こんないれずみ女。私、正式な恋人になれなくてもいい。ときどき会ってくれるだけで」
「でも、僕はもう二度とここには来ない。やはり刑事としてはまずいから。もちろん、刑事だって、ときには息抜きが必要だ。所轄の地域以外で、こういう場所に遊びに行く人も、何人もいます。でも、やはり僕にはだめなんだ」
「三浦さん、真面目な刑事さんですものね。それに、三浦さんには、やっぱりこんなところに来てほしくない。自分自身、こんな仕事していて、こんなこと言うのはおこがましいけど。俊文さんを、私の心の祭壇に、理想の男性像としてずっと祀っておきたいもの」
「おいおい、そんなご本尊にされては、僕も窮屈ですよ。美奈さん、山が趣味でしたね。僕も登山、大好きなんです。これから、ときどき二人で山に行ってくれませんか?」
「本当ですか? 一緒に山に連れてってくれるのですか?」
「山だけじゃなく、これから、ずっと一緒にいてほしい。もちろん僕は刑事だから、すぐには君と結婚できないけど。でも、そんなことは問題じゃない。愛の前ではね」
「嬉しい。俊文さん、大好きです」
 美奈は長身でひょろっとしている外見の割には、意外と分厚い三浦の胸に飛び込んでいった。
「ごめんなさい。私、泣き虫で、最近泣いてばかりいて……」
 美奈は三浦の胸の中でずっと泣いていた。コンパニオンとしてするべきサービスを、まったくすることもなく……。

                                                 (完)