「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

イタリア語で歌われた童謡「てるてる坊主」のレコード

2013-06-10 05:40:54 | Weblog
先日小ブログで紹介させて貰った戦時中のブルネイの記録を駐日大使館に寄贈された亡き親友の夫人から手紙を頂き「断捨離」が昂じて”寄贈癖”も進んでいます、と最近、所有していたイタリア語版、童謡「てるてる坊主」のレコードを北海道の新冠町のレコード博物館に寄贈されたと連絡があった。親友はイタリア語の専門家で、死の病床にあってまで、ダンテの神曲を原語で読んでいた。

このレコードはサンレモの第18回童謡音楽祭で優勝したときの曲で、NHKのイタリア語講座のテキストにも紹介されていた。親友夫妻はこれに関心を持ち、1994年訪イしたさい、関係筋に当たって、やっとこの限定版のレコードを入手した。しかもレコードで「てるてる坊主」を歌っている少年は、ご夫妻の知り合いの息子さんだったという。

戦前から戦中にかけて育った夫人や僕らの世代にとって「てるてる坊主」の歌(作詞浅原鏡村 作曲中山晋平)は懐かしい。夕方、西の空に向かって、履いていた下駄を脱いで蹴り上げ、表裏によって明日の天気を占ったものだ。下駄が裏側に落ちると、家に帰り紙を丸めて「てるてる坊主」を作り、これを軒下に吊るし”あした天気にしておくれ”と祈りをこめて歌った。

今や日本人の社会から下駄は消えてなくなった。都会では集合住宅が増え、軒先のある家もない。外で遊ぶ子供たちの歓声もない。親友が亡くなって今年で13回忌である。若かった頃、僕らはよく渋谷の百軒店の一杯飲み屋に出かけ、酔ったあげく、二人して童謡を歌った。まだカラオケなどなかった時代のことである。