大恐慌時代のNY。喜劇女優のアン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)も職を失い途方にくれている。
そんな時,今まで誰も足を踏み入れたことのない髑髏島での映画撮影を企むカール・デナム(ジャック・ブラック)と知り合い,映画出演を持ちかけられる。
はじめは乗り気になれないアンだったが,憧れの脚本家のジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)が台本を執筆すると知って,映画出演を承諾する
一方ドリスコルもデナムにだまされ,強引に船に乗せられ撮影に加わることになる。
乗組員にすら行き先を知らせないまま危険な航海が始まった。
たどり着いた髑髏島では,想像を遥かに超えた世界が一行を待っていた。
絶対に映画館で観るべき映画だと思う。
子供の頃から胸の中で暖めていたキング・コングへの思いを,素晴らしい形でスクリーンに再現させたピーター・ジャクソン監督に心から拍手。
あまり多くは語りたくない。
とにかく観て!
3時間強の時間をけっして長いとは感じさせない展開。
髑髏島に上陸してからは,スピードとスリルと恐怖で体中がぞわぞわした。
虫嫌いの人には耐えられないかも。。。
キング・コングに生贄として捧げられたはずのアンが,キング・コングと心を通わせてからは,
私の目に映るキング・コングは恐ろしい怪物ではなくただの恋する男だった。
体を張ってアンを守り,美しい夕焼けを眺めながら眠りにつく幸福。
キング・コングがひたすら求めたのは,ただ愛しいアンの姿だけなのだ。
欲に駆られた人間の浅ましさ,身勝手さが,すべてラストシーンに表されていたような気がする。
キング・コングにとってはどうだったのだろう。
髑髏島で孤独に生きていた怪物が,たぶん初めて愛することを知って,もしかしたら幸せだったのかもしれない。
エンパイアステートビルのてっぺんで,アンをかばいながら戦う姿は誇らしくさえ見えた。
戦うキング・コングがせつなくて,涙が止まらなかった。
たぶん今年最後に映画館で観る映画。
とてもいい映画で締めくくれたと思う。
ぜひ,大きなスクリーンで観てほしい。