ビター☆チョコ

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ウェディング・バンケット (ビデオ観賞)

2008-05-01 | 洋画【あ】行

アメリカに帰化した台湾人のウェイトンは、恋人のサイモンと仲良く暮らしている。
仕事はなんとか回ってるし、恋人との暮らしにはとても満足している。
ただ、そんなウェイトンにも大きな悩みがあった。
年頃になったのに、一向に結婚する気のない息子を心配した台湾の両親が、
しきりに見合いをすすめるのだ。
自分がゲイであることを打ち明けられないウェイトンには、両親の見合いの催促をうまくかわすいいわけがない。
困り果ててるウェイトンに、恋人のサイモンが偽装結婚をすすめる。

上海から来た売れない画家のウェイウェイは、グリーンカードを欲しがっている。
ウェイウェイは、二人がゲイだということも知っているので、間違っても三角関係になんかなるはずはないし、偽装結婚によってウェイウェイはグリーンカードが手に入るし
ウェイトンは両親にゲイであることを告げずに、結婚の催促から逃れることが出来る。
それは、素晴しい計画になるはずだった。
しかし、息子の結婚に喜んだ両親がNYにやってきたことで
素晴しい計画は、微妙な雲行きになってくるのだった。

嘘というのは
必ずしも相手に悪意があるからつくものではない。
家族の間で、嘘はあってはならないものだけれども、家族だからこそついてしまう嘘もある。
その嘘は相手を傷つけたくない一心でついたものだけれど
やはり嘘は嘘。
台本にないことが起こると、そこからほころびが生まれて大きな亀裂になっていく。

偽装結婚を企んだ3人の予定では、結婚式は市役所の結婚誓約所でさっさと済ませて
その簡単な式を見届けた両親は、早々に台湾に引き上げていくはずだった。
しかし、質素な息子の結婚式に、両親はどこか淋しげだ。
アメリカで暮らす息子は、結婚は個人と個人の結びつきだ、とドライに割り切るのだけど
両親の考えでは、結婚するということは、お互いの家や友人と新しい絆をつくっていくことなのだ。
そんな時、偶然出会った父の元部下の熱心なすすめで、
ウェイトンは親孝行のつもりで豪華な結婚式をあげることにする。

たくさんの招待客。
豪華な料理。
繰り広げられる祝宴は延々と続き、友人達は新婚夫婦のベッドルームにまで押しかけてくる。
行きがかり上、ベッドインしてしまった二人の間に
なんと!!赤ちゃんが出来てしまうのだ。

問題は3人だけのものにならなくなってしまった。
ベストパートナーだったウェイトンとサイモンの間に隙間風が流れ
ウェイウェイも自分の生き方を改めて考えなくてはならなくなる。

ぎくしゃくとした3人の関係を立て直すのは
ウェイトンの父なのだった。
一番、蚊帳の外に置かれていたはずの人が
ちゃんと物事を全てわかっていて、それでも静かに見守っていたのだった。

幼い頃から自慢の息子で
優秀なお子さん、と人に言われ
きっとこの先も、人のうらやむような結婚生活をして
可愛い孫が生まれて。。
思い描いていた息子への夢や希望を
全て捨ててしまわなければいけないような父の決断は、
全てを知りながら、静かに見守っていた期間の苦悩を伺わせる。

しあわせの形は
人それぞれかもしれないけど
親なら、きっと誰だって一番分かりやすい形のしあわせを子供に望むだろう。

でも、子供が望むものが人とは違った形のもので、
世間からも理解を得られにくい形のものだとしても
親は
やっぱり、子供が可愛いのだ。

あんなにせつないラストシーンを残した
「ブローク・バック・マウンテン」のアン・リー監督は
この作品では、ほのぼのと温かい思いを残してくれていた。




 


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