安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

椎名 豊 BALLAD IMAGINATIONS

2018-05-23 20:00:37 | ピアノ

セブンイレブンに立ち寄った際に、雑誌「PEN」を買いました。この2018年6月号は、「軽井沢の森へ。」というテーマで、軽井沢に関する多彩な記事が載っていました。最も印象に残ったのは、木々をわたる風を聴きながら文人たちの足跡をたどるという見出しで、堀辰雄、立原道造、北原白秋、室生犀星の詩とその内容に相応しい景色の写真を掲載したページです。言葉の豊かさと軽井沢の美しさが感じられて感心しました。豊かな音楽性が感じられるアルバム。

YUTAKA SHIINA (椎名 豊)
BALLAD IMAGINATIONS (Scene-a Music 2017年録音)

   

ピアニストの椎名豊の最新作です。今回は、ピエリック・ぺドロン(as)を迎えたカルテット編成による演奏で、アルトサックスのワンホーンアルバムでもあります。東京TUCにおけるライブの際に購入したものですが、その時に椎名さんは「今回は落ち着いたしっとりしたものを作ったからきいてみてください」と話していました。そのとおりで、バラードがほとんどのアルバムです。

メンバーは、椎名 豊(p)、ピエリック・ぺドロン(as)、本川悠平(b)、広瀬潤次(ds)。2017年12月にぺドロンをフランスから迎えて日本でツァーを行った際に録音されたアルバムです。椎名さんは、ぺドロンとは2013年から度々共演をしていて、今年(2018年)も日本に呼んでツァーを行っていて、先日聴いた東京TUCにおける椎名豊スペシャルクインテットの公演にも参加していました。

曲は、スタンダードの「I Love You Porgy」、「Change Partners」、「Smoke Gets In Your Eyes」(煙が目にしみる)、「Stardust」(スターダスト)、「Broadway」、「Ruby, My Dear」、「Everything Happens to Me」、ピエリック・ぺドロン作「Waltz For A King」椎名豊作「Walkin' In The Clouds」の全9曲、10トラックで、「Waltz For A King」は2回演奏されています。「Ruby, My Dear」はセロニアス・モンク作ですが、ほとんどスタンダード化しています。

ミュージシャンの自主的な制作で、スタンダードを内容とするバラード主体のアルバムがリリースされたことを大歓迎しました。ピエリック・ぺドロン(as)という実力者を得たことと、椎名豊(p)自身の音楽的な成熟がそうさせたのでしょうか。白眉は、まるで一編のストーリーを観たり、聞いたりしているような「Change Partners」ですが、「I Love You Porgy」、「Stardust」、大好きな曲「Everything Happens to Me」と至福の時間を味わうことができました。また、椎名豊作「Walkin' In The Clouds」では、軽快なメロディがよく練られたソロとともに印象に残ります。

【「PEN」2018年6月号から】

   

「PEN」の表紙

   

堀辰雄の詩

   

立原道造の詩集は、若かりし時によく読みました。『夢はいつもかへって行った。山のふもとのさびしい村に~』というこの詩も暗誦していましたが、今は最初が出てくるくらいです(笑)。浅間山を撮ったこの写真も素晴らしい。

   

北原白秋のこの詩も有名ですね。仙台には、「邪宗門」という名前の喫茶店がかつてあり、たまに寄っていましたが、北原白秋の詩集から名前をとったのではないかと思っていました。

   

室生犀星の詩