埠頭で車でぐるぐる回って遊んでいた若者が海に落ちた。
人間はなぜ回るのが好きなのか。
オリンピックの本番で初成功したムーンサルト。
行き詰って偶然にできた背面跳び。
いざとなれば、回ることに打開策を求める。
そこで偶然を捉え錯覚を生かすことができたとき、達成感を味わう。
回るのを見て喜び、回り方に採点までして競い合う。
だが、こうした回転競争のおかげで、踊りの美しさもだんだん失われてきた。
パソコンもデジタル機器といいながら回転部品をなかなか捨てきれないでいる。
いちばん危なそうでもあり、動きの遅いのが回転部品であるのに。
ハードディスクはもう古いのではないか。
回り続けるのは天体だけでよさそうだ。
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ねじの回転 (光文社古典新訳文庫) |
Henry James,土屋 政雄 | |
光文社 |