ウィンドウズ起動直後に、ねずみ色の何も書いてない額縁が現れることがあった。
別の窓を重ねると、重ねた部分だけ消え去る。
何かを全画面で開けば、その後には残っていない。
気味は悪いが、さほどきついいたずらをするでもなく、放っておいたらいつの間にか出なくなった。
何がきっかけだったかはわからないが、あの不思議な額縁の正体がわかった。
Microsoft Security Essentials という名のウイルス対策ソフトの壁紙だった。
出てくるのは、本体の起動が遅れたときなのか、起動直後の作業が終わらないうちなのか、よくわからないが額縁だけが先に出てしまったらしい。
テーブルクロスだけが敷かれた、何も出てこない宴席のように。
いつかは消えてゆく・・・・・・、と歌の文句もあったが、わかってみれば、儚くもどうでもよいものだった。