海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

辺野古ゲート前抗議/大型排水管の搬入/ヘリ基地反対協の沖縄防衛局への要請

2021-02-03 23:28:52 | 米軍・自衛隊・基地問題

 3日(水)は午前8時54分頃、キャンプ・シュワブの工事用ゲート前に行き、この日1回目の資材搬入に対する有志の抗議行動に参加した。

 昨日、日本政府は10都府県の緊急事態宣言を延長すると発表した。沖縄県も独自の緊急事態宣言を延長する方向で動いている。ゲート前の抗議行動も通常の体制に戻れるのがいつになるかはっきりしないが、市民有志による抗議行動は毎日続けられている。

 この日も朝の1回目にもかかわらず、全体で20数名の市民が抗議行動に参加した。座り込みでは機動隊との接触を避けて自ら立ち上がり、ゲート前のデモも静かに行われた。

 

 いつものミキサー車や生コンプラントの原料、ショベルカーやクレーン車などのほかに、大型の排水管らしき物が大量に入った。排水管はこのあと辺野古側埋め立て②工区に運ばれていた。

 午前9時49分頃、豊原の高台から辺野古側埋め立て工区の様子を見た。K8護岸にはランプウェイ台船・屋部7号が接岸し、土砂の陸揚げを行っていた。

 工事用ゲートから搬入された大型の排水管らしき物が、辺野古側埋め立て工区の仮設道路を通って②工区に運ばれてきた。

 すでに搬入されていたと思われる同じ管が、K4護岸内側に並べられているのも確認できた。掘削した溝に防砂シートと砕石を二重に敷いている場所の近くだ。これからそこに設置する作業が行われそうだ。

 掘削場所では引き続き防砂シートの上に砕石を敷く作業が行われているようだった。

 近くのK3護岸側では土砂の投入も進められていた。

 K4護岸とK3護岸では嵩上げ工事が続けられ、護岸の内側にミキサー車が並んで生コンの打設を行っていた。

 辺野古から嘉手納町の沖縄防衛局に移動し、午前11時から行われたヘリ基地反対協議会による〈県民の基地負担を倍増する辺野古新基地建設の即時中止を求める要請〉行動に参加した。辺野古新基地に陸上自衛隊水陸機動団を常駐する極秘合意があった、という新聞報道や、キャンプ・シュワブの米兵43人が集団感染したことなどを受け、ヘリ基地反対協は以下の3点を沖縄防衛局に要請した。

①辺野古新基地建設を直ちに中止すること。

②県内米軍基地の閉鎖を米軍に要請すること。

③岸防衛大臣が「合意はない」とした根拠を明らかにすること。

※ヘリ基地反対協議会の要請文については、「辺野古ぶるーのブログ」を見てほしい。

 これに対し、沖縄防衛局が答えとして用意していた文書の一部を以下に引用する。

〈1月20日(水)キャンプ・シュワブで43名のコロナ陽性者が確認されたことについて、米側からは、22日の時点で、

・本土における訓練終了後に帰沖した部隊の中から、症状を呈した者が数日後に確認されたため、直ちに同日(13日)から当該部隊の他の隊員らを移動制限措置の管理下に置き、PCR検査を行った。

・その後、これまでの間に9日間経過しているが、在沖米軍の他部隊への感染の拡がりは確認されていない。また、基地従業員について、当該部隊への接触は、適切に配慮しており、これまでのところ感染者は確認されていない。

 ※26日現在、14日間経過しているが、引き続き感染の拡がりは確認されていない。

・基地の外の行動履歴は現在確認を続けているが、これまでのところ、コロナ陽性者と濃厚接触者に該当する一般市民は確認されていない。

・このような状況から、今回のキャンプ・シュワブのコロナ発生に伴う市中への感染拡大の可能性は低いものと考える。

・いずれにせよ、在沖米軍としては、引き続き感染防止対策に万全を期していく考えである。

 との説明を受けております。

 現在、在沖海兵隊では健康保護態勢がB(ブラボー)となっており、基地の外での行動については、(1月22日から)

 ・生活上やむを得ない外出(食品の買い出し、通院など)

 ・通学や屋外での運動

 以外は禁止されているものと承知しています。

 いずれにせよ、引き続き、在日米軍と連携し、沖縄防衛局としても米側措置の厳格な実施を求めるとともに、適正な管理がなされるよう適切に対応してまいります〉

 以上、引用終わり。

 この文書は、1月27日に行われた「オール沖縄会議」の要請に対して、沖縄防衛局の連絡調整室が用意したもののようだ。市民団体が要請や抗議に来た時のマニュアルとして利用されているのだろう。

 米国の属国である日本の防衛局の役割は、市民ではなく米軍に奉仕するものとなっているのが実態だ。基地の外の行動履歴について、米兵と市民の濃厚接触の有無を、沖縄防衛局がどうやって確認したというのか。沖縄の保健所が調査することはできないのだから、しょせんは米軍の報告を鵜吞みにしているだけだ。

 沖縄防衛局の前では 、抗議のシュプレヒコールと同時に、悪い鬼たちを退治する豆まきもあった。怒りとともに笑いもあり、いい抗議集会だった。ちなみに、投げた豆はあとでちゃんと拾いました。

 陸上自衛隊の水陸機動団の沖縄配備については、辺野古新基地が完成するまで10数年も待つとは思えない。まずはキャンプ・ハンセンに配備し、新基地完成後にキャンプ・シュワブに移すという二段構えではないのか。

 いずれにしろ鹿児島県の馬毛島や奄美大島から沖縄島、宮古島、石垣島、与那国島にいたる列島が、中国に対抗する日米の軍事拠点として強化されていくのは、陸自の南西方面重視としてすでに2004年頃から始まっていた動きだ。それがミサイル防衛や陸自に海兵部隊を創設する構想と相まって現実化している。

 沖縄までは戦場にしていい、という76年前の日本人の発想は変わっていない。日本「本土」の平和と安全のために沖縄を犠牲にする。日米安保条約に基づく米軍基地の負担を集中させる。もしもの時には、沖縄までは戦場にして切り抜ける。日本にとって沖縄は近代に入って獲得した領土であり、いざとなれば切り捨てられるトカゲのしっぽだ。それが沖縄差別の実態である。

 沖縄人が自らの力でそれをはねのけ、克服しない限り、これから先もいいように利用され、犠牲に供される。それが冷酷な現実だ。泣き言は通用しない。


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