4月16日放送のTBS「ニュース23」で、座間味島の「集団自決」(強制集団死)に関する特集をやっていた。その中で宮平春子氏、宮城晴美氏、宮平秀幸氏のインタビューが行われていた。
宮平秀幸氏は、梅澤隊長が命令を出したということを否定し、前年に県が各役場の幹部を集めて「自決」の指示を出していたという旨の発言をやっていた。それは大江・岩波沖縄戦裁判で、梅澤裕氏が意見陳述書や本人尋問で展開していた主張である。意見陳述書で梅澤氏はこう主張している。
〈昭和一九年一一月三日に那覇の波の上宮で県知事以下各町村の幹部らが集結して県民決起大会が開かれ、男子は最後の一人まで戦い、老幼婦女子は軍に戦闘で迷惑をかけぬよう自決しようと決議したという経過があったのです〉
それをそっくりそのまま宮平秀幸氏は自説のように話していたのだが、いつからそのように考えるようになったのであろうか。そのような大会があったということをどのような資料で確認したのであろうか。仮にそのような県の大会があったとして、座間味村の幹部がそれに出席し、宮里盛秀氏が決議に影響を受けていたと証明できるのだろうか。そういう決議があったなら、沖縄県内の各町村で役場幹部が主導して「集団自決」が起こりそうなものだが、実際には慶良間諸島や伊江島、読谷村、中部や摩文仁海岸などの限られた地域でしか起こっていない。しかも、慶良間諸島以外では、必ずしも役場幹部が関わっているわけでもない。そのことをどう説明するのだろうか。
また、県の指示で「集団自決」が起こったというなら、それは座間味島だけでなく渡嘉敷島でもそうだったということだろうが、赤松嘉次氏も曾野綾子氏もそういう主張はしてこなかった。今回の裁判が起こってから梅澤氏が新しい資料を発見したということか。そのような梅澤氏による主張をそのまま口にすることで、宮平秀幸氏が梅澤氏や藤岡氏らの影響を受けながら証言をしていることが、端なくも浮き彫りになった。
梅澤氏は、「集団自決」は県の指示だという主張の他に、米軍の攻撃が原因だとも主張している。自らが島の最高指揮官であったことは認めながら、「集団自決」が起こったのは役場の幹部のせい、県のせい、米軍の攻撃のせいと責任をよそになすりつける梅澤氏の姿を見ていると、「無責任の体系」を自ら体現することによって、旧日本軍がどのような性質を持つ軍隊であったかを再認識させ、若い世代に教育しているかのようだ。
藤岡氏らが今、宮平秀幸氏の「新証言」を持ちだして宣伝しているのは、沖縄タイムスをはじめとした県内マスコミによる新証言の掘り起こしが裁判に影響を与えているのを見て、地元からの証言者の必要を痛感してのことだろう。
雑誌『WiLL』5月号に藤岡信勝・鴨野守〈沖縄タイムスの「不都合な真実」〉という評論が載っている。同評論で両氏は宮平秀幸氏の証言を紹介し、それを県内紙が報道しないのは「不都合な真実」だからだ、という勝手な思いこみを書き連ねている。県内紙は宮平氏の証言が他の住民証言と大きく食い違っていて、信憑性が薄いと判断したから報道しないだけだろう。藤岡氏や鴨野氏は最初から政治宣伝として県内紙を叩くことを目的としているのだろうが、それほど報道してほしいのなら、控訴審で宮平証言を新証拠として提出し、宮平氏にも証言台に立ってもらえばいい。否応なくマスコミも報道せざるを得ないはずだ。ただし、その時には被告側代理人から厳しい尋問が行われるだろう。宮平氏本人の過去の証言との矛盾、梅澤証言(陳述)との食い違い、それらにどのように整合性を持たせるか見てみたいものだ。
『WiLL』の評論を読むと、藤岡氏らは山崎行太郎氏の「毒蛇山荘日記」ブログを読んだようで、「宮平秀幸証言」の矛盾を突かれることを恐れているのが、末尾の「証言者の人権を守る戦い」という章からうかがえる。呆れたことに沖縄タイムスが宮平秀明氏や家族に嫌がらせをするかのように書いているが、宮平氏が自己の証言の矛盾を突かれて行き詰まったときに、嫌がらせ=人権侵害があったから証人にならなかった、とでもキャンペーンするつもりなのだろう。まったく、姑息な人たちだ。
宮平秀幸氏は、梅澤隊長が命令を出したということを否定し、前年に県が各役場の幹部を集めて「自決」の指示を出していたという旨の発言をやっていた。それは大江・岩波沖縄戦裁判で、梅澤裕氏が意見陳述書や本人尋問で展開していた主張である。意見陳述書で梅澤氏はこう主張している。
〈昭和一九年一一月三日に那覇の波の上宮で県知事以下各町村の幹部らが集結して県民決起大会が開かれ、男子は最後の一人まで戦い、老幼婦女子は軍に戦闘で迷惑をかけぬよう自決しようと決議したという経過があったのです〉
それをそっくりそのまま宮平秀幸氏は自説のように話していたのだが、いつからそのように考えるようになったのであろうか。そのような大会があったということをどのような資料で確認したのであろうか。仮にそのような県の大会があったとして、座間味村の幹部がそれに出席し、宮里盛秀氏が決議に影響を受けていたと証明できるのだろうか。そういう決議があったなら、沖縄県内の各町村で役場幹部が主導して「集団自決」が起こりそうなものだが、実際には慶良間諸島や伊江島、読谷村、中部や摩文仁海岸などの限られた地域でしか起こっていない。しかも、慶良間諸島以外では、必ずしも役場幹部が関わっているわけでもない。そのことをどう説明するのだろうか。
また、県の指示で「集団自決」が起こったというなら、それは座間味島だけでなく渡嘉敷島でもそうだったということだろうが、赤松嘉次氏も曾野綾子氏もそういう主張はしてこなかった。今回の裁判が起こってから梅澤氏が新しい資料を発見したということか。そのような梅澤氏による主張をそのまま口にすることで、宮平秀幸氏が梅澤氏や藤岡氏らの影響を受けながら証言をしていることが、端なくも浮き彫りになった。
梅澤氏は、「集団自決」は県の指示だという主張の他に、米軍の攻撃が原因だとも主張している。自らが島の最高指揮官であったことは認めながら、「集団自決」が起こったのは役場の幹部のせい、県のせい、米軍の攻撃のせいと責任をよそになすりつける梅澤氏の姿を見ていると、「無責任の体系」を自ら体現することによって、旧日本軍がどのような性質を持つ軍隊であったかを再認識させ、若い世代に教育しているかのようだ。
藤岡氏らが今、宮平秀幸氏の「新証言」を持ちだして宣伝しているのは、沖縄タイムスをはじめとした県内マスコミによる新証言の掘り起こしが裁判に影響を与えているのを見て、地元からの証言者の必要を痛感してのことだろう。
雑誌『WiLL』5月号に藤岡信勝・鴨野守〈沖縄タイムスの「不都合な真実」〉という評論が載っている。同評論で両氏は宮平秀幸氏の証言を紹介し、それを県内紙が報道しないのは「不都合な真実」だからだ、という勝手な思いこみを書き連ねている。県内紙は宮平氏の証言が他の住民証言と大きく食い違っていて、信憑性が薄いと判断したから報道しないだけだろう。藤岡氏や鴨野氏は最初から政治宣伝として県内紙を叩くことを目的としているのだろうが、それほど報道してほしいのなら、控訴審で宮平証言を新証拠として提出し、宮平氏にも証言台に立ってもらえばいい。否応なくマスコミも報道せざるを得ないはずだ。ただし、その時には被告側代理人から厳しい尋問が行われるだろう。宮平氏本人の過去の証言との矛盾、梅澤証言(陳述)との食い違い、それらにどのように整合性を持たせるか見てみたいものだ。
『WiLL』の評論を読むと、藤岡氏らは山崎行太郎氏の「毒蛇山荘日記」ブログを読んだようで、「宮平秀幸証言」の矛盾を突かれることを恐れているのが、末尾の「証言者の人権を守る戦い」という章からうかがえる。呆れたことに沖縄タイムスが宮平秀明氏や家族に嫌がらせをするかのように書いているが、宮平氏が自己の証言の矛盾を突かれて行き詰まったときに、嫌がらせ=人権侵害があったから証人にならなかった、とでもキャンペーンするつもりなのだろう。まったく、姑息な人たちだ。