海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

キャンプ・シュワブ内で進む工事

2010-06-04 19:58:36 | 米軍・自衛隊・基地問題
 5月29日(土)、30日(日)にキャンプ・シュワブ・フェストが開かれた。







 普段、辺野古の浜や道路沿いから金網越しに大規模な工事が進んでいるのを眺めているのだが、一般市民が基地内に入れる限られた機会なので中の様子を見に行った。





 去年は正面ゲートから入ったのだが、今年は工事用車両の出入り口として新しく設けられたゲートが出入り口に指定されていた。入り口で運転免許証のチェックがあった。
 工事用ゲートからフェスト会場まではほとんどまっすぐなので見られる範囲は限られていたが、去年の5月には更地になっていた場所に、新しい兵舎が建築されていた。





 外からも兵舎建設や道路建設などが進められているのは見えるが、中では沈砂池も設けられて大規模な工事が進んでいる(どれだけの効果があるか疑問だが)。
 前にも書いたが、政権交代によって環境アセスや埋め立て工事が止まったといっても、シュワブ内では建設工事が進められてきた。それを見れば、防衛省は鳩山政権の9ヶ月の間も、辺野古「移設」=新基地建設ありきで計画を進めてきたのが分かる。









 出店が並ぶそばで水陸両用車とハンビーを見学させていた。
 出店やステージでお祭り気分を盛り上げる一方で、市民向けに兵器の展示を行うのは、米軍や自衛隊のどこのフェスティバルも一緒。
キャンプ・シュワブ・フェストでは部隊対抗のバスケットボールやアメリカンフットボールの大会、沖縄の選手も参加するウェイト・リフティングの大会なども行われている。









 ステージでタヒチアンダンスのショーが始まると、若い兵隊たちが集まって歓声を上げていた。
 時折小雨が落ちる天気で、最前列で傘をさしていた兵士に後ろの兵士が、見えないから傘をたため、と何度か注意していたが無視され、この糞野郎、と切れて傘を奪い取ると地面に叩きつけ、踏みつぶしていた。基地の外なら殴り合いになっていただろうが、周りにはMPもいるので、踏みつぶした兵士が立ち去って収まった。



 会場の近くには軍用犬を連れた女性兵士が立ち、腰に拳銃を提げた兵士が会場内を巡回し警戒に当たっていた。





 午後6時に国旗降納を知らせる放送が流れると、兵士と家族は瞬時に掲揚台に向かって直立不動の姿勢となり、終了と同時に一気に賑わいが戻った。





 フェスト会場は辺野古崎の海岸近くにあり、映画館やボウリング場、プールなど娯楽施設が並ぶ区域となっている。映画館の窓に張られた5月のスケジュールを見ると、金・土・日の週末の上映になっていて、5月16日にはマット・デイモン主演の「グリーン・ゾーン」が上映されていた。



 辺野古崎の海岸から平島、長島方向を眺める。あいにくの天気だったが、5月28日に2プラス2の日米共同声明が発表され、鳩山政権は普天間基地を辺野古周辺に「移設」するという政府方針を閣議決定した。現行計画への「回帰」が言われているが、そうなればこの海岸は埋め立てられて滑走路の下になる。

 この一週間、日米共同声明に続いて福島社民党党首の罷免、鳩山首相の退陣、そして、今日の菅新首相の指名と政局は目まぐるしく動いた。辺野古「移設」を決め、跡を濁して逃げ去った鳩山元首相の無責任さは愚劣の極みだが、鳩山首相が辞めたから何かが変わるわけではない。菅新首相のもとでこれから日米共同声明や政府方針が実行されていくだろう。
 二日間の祭りが終われば、キャンプ・シュワブ演習場から射撃音やヘリの爆音、廃弾処理の爆発音が響き渡る。そこで行われている訓練はイラクやアフガニスタンなどで戦う兵士を作り上げるためであり、米軍に侵略され、殺される側からすれば、沖縄は米兵を鍛え、送り出す「悪魔の島」なのだ。この汚名を沖縄人は一日も早く雪(すす)がなければならない。

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1 コメント

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海外移設を主張要求し続ける (奥設楽棲息人)
2010-06-08 13:49:36
 映画≪アメリカ≫ー戦争する国の人びとーを観た。藤本幸久監督、8時間のドキュメント、3年に渡る200日の取材の旅の記録である。
 この映画で気付かされた事はアメリカにも政府、軍部の政策に疑問反対する帰還兵、アメリカ市民、移民たちが居る事、草の根活動をしている人々がいることである。
 アメリカ政府が一番恐れている事は何か?それはこれらの戦争政策に反対する民衆、市民、住民が増える事、繋がる事、共同行動する事である。米政府にとって日本政府を押さえ込む事はたやすいが、自覚した市民、住民、国民を押さえ込む事は容易でない。実力暴力装置を使う以外には。
 故に政府権力側は様々な手を使い国民、県民、市民の目を覆い隠蔽工作、分断工作をおこない自覚を阻み連帯を阻み諦めさせようとする。両国民の頭越しに日米政府共同声明を勝手に結びそれを強引に履行しようとする。
 政権交代を求めた我々国民は対米追従、隷属、植民地状態からの脱脚を新政府に求めたのである。辺野古への現行案に戻る事は国民、県民への裏切り行為であり、断じて許す事は出来ないことです。もしこれを許したら私たちは未来永劫アメリカ政府の属国、従属を強いられ続け、自立、独立、平和、自由な生活を奪われることになります。普天間基地問題は日本の独立の問題でもあるのです。
 日米両政府が一番恐れている事、沖縄県民、日本国民、そしてアメリカ市民が手を繋ぎ戦争軍事政策に反対し軍事基地撤去を要求し一歩も引かないことだと思います。国民の独立、自立への意思を示す事だと思います。
 海外移設が国民の総意であることを日米両政府に突きつけ続けよう!
 
 
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