敷地境界線の確認(4)からの続きです。
今日(5月14日)のお昼前に東側の地権者の家を訪問した。
久しぶりに晴れ間が広がり農家は田圃の準備に忙しい時期だろう。案の定その家の主人は庭先で草刈機のチップソーを研磨していた。これからは草との勝負、うかうかしていると草が勝ってしまう。
「お忙しいのに申し訳ありません。先日の話の続きをさせてください」
ということで話を切り出し、日陰になる門長屋の下に裏返しにしたビール箱(よく街頭で選挙人が上がっているプラスティックの箱)を椅子代わりにして境界線の話し合いを始めた。もちろん最初は天気の話から始めて、やがて本論。
最初に南側の後退線について、もう一人の地権者と話し合いしたことを交えて、私は通行に供する道路として4mの巾を確保し、その線より内側に住宅の建設を考えることに納得し、異存はないことを伝える。また昨年の測量時に相手が言うところの境界杭があったこと、そこを基点に私が測量したこと。そして、そのポイントを西側と線で結ぶと4m巾の道路か確保されることも説明する。
ただし登記上の敷地境界線は4m巾の中央にあり、所有権は私にあることを念のために伝える。
どうもこのへんが一番勘違いし易いところで、
「4m後退します。その線から内側が私の敷地です」
などと言おうものなら、相手は自分の土地になったと勘違いしてしまうのだ。やはり相手の地権者は一回の説明では怪訝な顔をしていた。
2m巾で長さ26~7m程の土地は私の所有ではあるが、私専用の土地として使用することはできず、お互いの通行の目的を主として使う。これは反対側の2mも同様の考えで、それぞれの地権者の所有である。という説明を何度か繰り返してようやく納得したようだ。
「で、東側も4m下がってくれるかぇ」
と切り出したので
「そこでお互いの話し合いが必要になるのです」と前置きして
登記簿の面積や、その裏づけの公図(このようないい加減な図面が公図といえるかどうかは疑問だが)、そこには滅失した長屋から東側へ2mと記載があること。北東にはさらに2mほどの出っ張りがあり、昔は玉葱小屋が建っていたこと、境界杭があるとは私は聞いておらず、不明なので地権者と確認する必要があると伝達されていたことなどを説明し、不明確ではあるが私のほうにもそれなりの主張があることを伝える。
もちろんそんなことで相手が引き下がる訳ではない。すでに亡くなってしまった人と境界杭を打ったとか、畑に勝手に玉葱小屋を建てたのだろうが「あの畑は私が買ったもので私のものだ」とか遠い昔話を始める。
「私は、この登記簿や公図を元に話をしています。もし貴方が亡くなった方と立会いで境界杭を打ったのであれば、それを裏付けるものを私に示してください」
(そんなものは無いという)
「もともと田圃から始まった宅地の、このような民民の境界線は曖昧です。お互いの話合いで決めるしかありません。ですから貴方が下がれと言うなら下がりますが4mの後退は納得できません。もともと農作業のために通路を確保していたわけですから、田圃の際までが私の地面とは言いません。いくらかの巾をもった道があったのでしょう。その先に大きな畑を貴方が耕作しているわけでは無いし、仮に道幅1.5mや2mでも現在の状況では農作業に支障があるとは思えません」
と、私の主張は主張としてきちんと伝えた。すると相手はまた昔話を始める。
「昔の地主との話で4m巾で使えるようになっていた」
(さて、ここで彼は使える・・つまり使用権を持っているという。土地の所有権ではないことに注目)
が、しかしそれを証明することができるか?
(たぶんできないだろう)
そこで私は
「玉葱小屋の出っ張りは仮に譲って、現状にある水路の延長線上に東側の境界線があるというのではどうですか? その場合でも農作業の通路には1.5mほどあります。もし農作業にどうしても巾が必要なら私の庭先を花畑にせず現況のままにしてお貸しします。でもそれは境界線ではないですよ」
と少し譲歩すると相手はすかさず 「なら 4m必要だから後退してくれ」 と言い出す。
「4mはダメです。私はここへ来て田舎暮らしを始めたいのですよ。庭先を少しでも畑にしたいし草花も植えたいのです」 と拒否する。
「それと、4mであろうとなかろうと話し合いで”貸す”というのが数十年後には”ずーっと使っていたから俺の土地”だと勘違いしないとも限らないでしょう」
田舎では地主から借りた畑で何年か小作を続けていると、やがては自分の土地になるという、大昔の慣習が根強い。たぶんこの交渉相手のご老人もその感覚が染み付いているのだろう。もちろん今はそんな慣習は無くなり所有権は登記でしか確立できない。でもその登記簿がアバウトなんだよね。
さいわい相手が「お互い も一度考えてみようかぇ」と切り出したのでこれ以上押すことはやめにした。
「そうです。今日のうちに結論を出そうというわけでもありません。今日は私の主張と説明をさせてもらったのでじっくり考えてみてくれませんか。それと次回は正式な地権者(話では娘さんの名義)とも交えて話し合いをしませんか。将来のために事情を聞いておくことも大切でしょう。それで結論が出れば公正証書や登記などと余計な費用をかけずに、この測量図やお互い納得できる書面をもって”覚書”か何かにしましょう。それをお互い地権者が持っていれば将来に遺恨も残らないでしょう」
私たちはこの地に農的生活を求めて土地を購入したのであり、アパート経営のためとか工場を作って一儲けしようと考えているのではないこと。畑の真ん中だから農薬散布の飛散が無いとは限らないし堆肥の臭いもするだろう(ただし堆肥の山積み放置は遠慮願う)。それらを承知でここに移り住むつもりであり、境界線のことで敵対するのは本意ではないことを再度説明して話を終えた。
さて来週には解決するだろうか。相手は新しい作戦を考えてくるだろうか。
←押してくれると励みになります
←こちらもよろしく
今日(5月14日)のお昼前に東側の地権者の家を訪問した。
久しぶりに晴れ間が広がり農家は田圃の準備に忙しい時期だろう。案の定その家の主人は庭先で草刈機のチップソーを研磨していた。これからは草との勝負、うかうかしていると草が勝ってしまう。
「お忙しいのに申し訳ありません。先日の話の続きをさせてください」
ということで話を切り出し、日陰になる門長屋の下に裏返しにしたビール箱(よく街頭で選挙人が上がっているプラスティックの箱)を椅子代わりにして境界線の話し合いを始めた。もちろん最初は天気の話から始めて、やがて本論。
最初に南側の後退線について、もう一人の地権者と話し合いしたことを交えて、私は通行に供する道路として4mの巾を確保し、その線より内側に住宅の建設を考えることに納得し、異存はないことを伝える。また昨年の測量時に相手が言うところの境界杭があったこと、そこを基点に私が測量したこと。そして、そのポイントを西側と線で結ぶと4m巾の道路か確保されることも説明する。
ただし登記上の敷地境界線は4m巾の中央にあり、所有権は私にあることを念のために伝える。
どうもこのへんが一番勘違いし易いところで、
「4m後退します。その線から内側が私の敷地です」
などと言おうものなら、相手は自分の土地になったと勘違いしてしまうのだ。やはり相手の地権者は一回の説明では怪訝な顔をしていた。
2m巾で長さ26~7m程の土地は私の所有ではあるが、私専用の土地として使用することはできず、お互いの通行の目的を主として使う。これは反対側の2mも同様の考えで、それぞれの地権者の所有である。という説明を何度か繰り返してようやく納得したようだ。
「で、東側も4m下がってくれるかぇ」
と切り出したので
「そこでお互いの話し合いが必要になるのです」と前置きして
登記簿の面積や、その裏づけの公図(このようないい加減な図面が公図といえるかどうかは疑問だが)、そこには滅失した長屋から東側へ2mと記載があること。北東にはさらに2mほどの出っ張りがあり、昔は玉葱小屋が建っていたこと、境界杭があるとは私は聞いておらず、不明なので地権者と確認する必要があると伝達されていたことなどを説明し、不明確ではあるが私のほうにもそれなりの主張があることを伝える。
もちろんそんなことで相手が引き下がる訳ではない。すでに亡くなってしまった人と境界杭を打ったとか、畑に勝手に玉葱小屋を建てたのだろうが「あの畑は私が買ったもので私のものだ」とか遠い昔話を始める。
「私は、この登記簿や公図を元に話をしています。もし貴方が亡くなった方と立会いで境界杭を打ったのであれば、それを裏付けるものを私に示してください」
(そんなものは無いという)
「もともと田圃から始まった宅地の、このような民民の境界線は曖昧です。お互いの話合いで決めるしかありません。ですから貴方が下がれと言うなら下がりますが4mの後退は納得できません。もともと農作業のために通路を確保していたわけですから、田圃の際までが私の地面とは言いません。いくらかの巾をもった道があったのでしょう。その先に大きな畑を貴方が耕作しているわけでは無いし、仮に道幅1.5mや2mでも現在の状況では農作業に支障があるとは思えません」
と、私の主張は主張としてきちんと伝えた。すると相手はまた昔話を始める。
「昔の地主との話で4m巾で使えるようになっていた」
(さて、ここで彼は使える・・つまり使用権を持っているという。土地の所有権ではないことに注目)
が、しかしそれを証明することができるか?
(たぶんできないだろう)
そこで私は
「玉葱小屋の出っ張りは仮に譲って、現状にある水路の延長線上に東側の境界線があるというのではどうですか? その場合でも農作業の通路には1.5mほどあります。もし農作業にどうしても巾が必要なら私の庭先を花畑にせず現況のままにしてお貸しします。でもそれは境界線ではないですよ」
と少し譲歩すると相手はすかさず 「なら 4m必要だから後退してくれ」 と言い出す。
「4mはダメです。私はここへ来て田舎暮らしを始めたいのですよ。庭先を少しでも畑にしたいし草花も植えたいのです」 と拒否する。
「それと、4mであろうとなかろうと話し合いで”貸す”というのが数十年後には”ずーっと使っていたから俺の土地”だと勘違いしないとも限らないでしょう」
田舎では地主から借りた畑で何年か小作を続けていると、やがては自分の土地になるという、大昔の慣習が根強い。たぶんこの交渉相手のご老人もその感覚が染み付いているのだろう。もちろん今はそんな慣習は無くなり所有権は登記でしか確立できない。でもその登記簿がアバウトなんだよね。
さいわい相手が「お互い も一度考えてみようかぇ」と切り出したのでこれ以上押すことはやめにした。
「そうです。今日のうちに結論を出そうというわけでもありません。今日は私の主張と説明をさせてもらったのでじっくり考えてみてくれませんか。それと次回は正式な地権者(話では娘さんの名義)とも交えて話し合いをしませんか。将来のために事情を聞いておくことも大切でしょう。それで結論が出れば公正証書や登記などと余計な費用をかけずに、この測量図やお互い納得できる書面をもって”覚書”か何かにしましょう。それをお互い地権者が持っていれば将来に遺恨も残らないでしょう」
私たちはこの地に農的生活を求めて土地を購入したのであり、アパート経営のためとか工場を作って一儲けしようと考えているのではないこと。畑の真ん中だから農薬散布の飛散が無いとは限らないし堆肥の臭いもするだろう(ただし堆肥の山積み放置は遠慮願う)。それらを承知でここに移り住むつもりであり、境界線のことで敵対するのは本意ではないことを再度説明して話を終えた。
さて来週には解決するだろうか。相手は新しい作戦を考えてくるだろうか。
←押してくれると励みになります
←こちらもよろしく