晴耕雨読で住まいを造ろう

都会を離れ農的暮らしをしながら、日々住まいについて考え、家造りを家族と共にDIYで実現させた日記・・その後

”小さな家”をバーチャル体験

2006年05月17日 |  設計の仕事
 SketchUp はお絵かきのように自由な大きさで家を作ることができるけど、技術屋はそうはできない。やはり寸法がきちんと納まっていないと納得できないのだ。そこで、この小さな家を SketchUp で入力するにあたって感じたことを追記しておこう。前のページとあわせて読んでもらうとバーチャル体験ができるかもしれない(笑)。




 まず、全体の大きさは(内法で考える)短辺4mx長辺16mで64平米になるが著書では60平米で納まったとあるから、どうやら内法計算のようだ。これは日本なら登記床面積に値するだろう。外回りの豊かさは別として室内が60平米程度といえば20坪にも満たないのだから、確かに小さな家だ。

 ところで、フランス人だっけ? 日本の家をウサギ小屋って言ったのは

家族構成は彼の両親が棲む目的で、現実にはお父さんが1年ほどで亡くなったので”母の家”などとも呼ぶ人がいるようだ。横長の長辺がレマン湖に向いていて、その南側に長さ11mの窓がある。その窓に沿ってリビングルーム、メイン寝室+バスルームが並ぶ。東側の小さな区画は窓がなく東へ出られる硝子扉がついているだけだ。ここはリビング兼ゲスト用の寝室にも使うらしい。

そこでスケッチを採寸してみると、メインの寝室は窓に平行に2.8m、奥行き3.0mで大き目の4.5畳くらいだ。多分北側玄関との区画壁が枕元であろう。と考えると玄関(というか廊下というか)は巾8~90cmの巾しか無さそうだ。下駄箱など必要のない生活だが我々の感覚では玄関がちょっと狭い・・かと思いきや、外壁が相当に厚いこともあり、たぶんコンクリートブロックに断熱など考えていると思うし、北側の波板コロニアルも施工代をみるとだいたい4~50cmはあるようだ。であれば玄関の扉を内側(欧米は玄関扉を外開きにしない)に開いても余裕がある。なお玄関の外には金属製の庇が取り付いている。

 さて、ゲスト寝室として使われる部屋はというと、長手が4mだが区画の短辺は2.2mくらいしかない。東へ出入する開口部までの壁の長さも同じくらいだから、たぶんこのコーナーに折り畳みベットかソファーベットが置いてあるのだろう。

リビングは4mx5.6mだから、日本なら14畳あるいは京間の12畳くらいだろう。南面は連続した11mの窓。ただし腰のある窓でありテラスタイプではない。つまりリビングからは直接庭には降りることはできない。このへんも日本人の感覚とちょっと違うところ・・かな? あえて風景を切り取るためにしたと著書で説明があるが・・。北側には風通しのためだけの小さな窓が一ヶ所設けられているだけ。やはり壁のない日本家屋と壁の建築の西洋建築の根本的な違いだろう。

 写真によるとリビングとメイン寝室の区画は半分ほど壁で残り半分はオープン。カーテンがぶら下がっているだけ。多分バスルームもそうだろう。寝室にバスルームが隣り合わせになるのはお馴染みのスタイル。これは家族構成を考えるとすべてオープンでも納得できるが。。しかし日本人にはどうだろう? 夜中のトイレが近くなる老人にはベストなんだが、私個人としてはあまり好きではない。小さな家には不要かもしれないが、客用のバスルームは無い。やはり基本は二人だけということなのかな?

 キッチンやランドリーは玄関を入って右側、つまり北西側にあり6畳を少し細くしたぐらいの部屋だ。ここらがすごく気になるところだが、奥方はここで家事をするのに抵抗はないのだろうか? 日本なら多分奥方に猛反対を受けそうな配置なんだが・・。出来たものをワゴンでコロコロ・・でも

「私は貴方のワイフであってもメイドではありません」

って言われそう。巷ではメイドさんが大持てらしいけどネ。

 キッチンへ入る前に北側に半円で出っ張った部分があるが、これは暖房設備とのことだ。確かに外から見ると煙突もある。もしかして炊事のためのオーブンなども兼用しているのかもしれない。・・燃料が何かは知らないけど。

キッチン・ランドリーの反対側、南西にはリネン、つまり納戸がある。あとクラックの原因になった地下貯蔵庫もある。たぶんワインがずらりと並んでいるのだろう。

 天井は最低2.5m確保してあるらしいが、高窓などがあるので吹抜のような部分もありそうで、けっこう豊かな内部空間と思われる。もしかして小屋裏収納などもあるのかもしれない(笑)。床高さは東側の出入に3ステップほど要しているので60cmほどだろうか。さらに外に廻って西側には屋上へ上がる階段があり、写真を見てもその幅員は70cmくらいと思われる。この階段をあがって屋上庭園(?)にいける。断熱目的であって今言うところのグリーン対策ではない。

そうそう、南側はクラックのため最終的にはアルミのスパンドレルで覆ったらしい。それと西側に直交して建つ建物が何かはわからない。北側は道路だが、特にガレージを設けたようでもない。そもそも300平米の敷地は背の高い塀で覆われていて、南側の一部だけがレマン湖を眺めるために切り取られているようだ。

 建築されたのが1923年、第一次大戦(1924~1918)が終わってほっとしている時期だろう。さほど住環境を取り巻くテクノロジーが今と比べて発達していたわけではないが、発展途上であったことは確か。そのような大きな変化が始まっている時代に作られ80年を経過した今日まで存在価値を失わないこと。

これが何よりもすばらしいことではないか。 ビバ、ルコル!




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