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勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

原盤は「幻の名盤」 ・・・・・ BLISS!/ CHICK COREA

2024-01-21 | ジャズ・p

 

長らく何処かに紛れ込んでいた一枚。原盤はピート ・ラロカ(ds)がリーダーの”TURKISH WOMAN AT THE BATHS ”(Douglas SD-782)で、ジャズ・レコードとは思えぬ入浴中の裸婦達の絵がカヴァに使われている。この絵はルーヴル美術館蔵の絵画、ドミニク・アングル作「トルコ風呂」でD・エリスの作品、「エレクトリック・バス」にも使用されている。録音は1967年5月25日。リアルタイムでオリジナル盤を入手したけれど針飛びするほどレコード盤が湾曲しており、処分してしまった。ところが、1974年に発刊されたSJ誌「幻の名盤読本」に原盤がアップされ、文末に「現在はMuseから再発」と紹介されていたので直ぐ入手したけれど、後の祭りですね。

俊敏なA&Rマンとしてその筋では著名なアラン・ダグラスがプロデュースするDouglasレコードには、他にドルフィーの「アイアン・マン」が良く知られ、エヴァンスの”UNDERCURRENT”(UNITED ARTISTS盤)も彼の手で制作されている。

 

とにかく、メンバー構成が異色で、コリアはその頃、まだ新進気鋭のピアニスト、ギルモアは当時、コルトレーンに靡くテナー・マンが多い中、数少ないロリンズ派で、あのサン・ラのオーケストラ出身、そしてロリンズのバンドに所属し作品も残しているラロカ、ブッカーもロリンズの”ON IMPULSE!”に参加したばかりで意外にそれなりの繋がりはあったようです。

初めて聴いた時は、曲により一人一人が大きくフィーチュアされ、中近東を思わせるメロディや中には実験色を感じさせるナンバー等々が組み込まれていて、誰がリーダーなのか分裂気味に受け取ったけれど、今の耳で改めて聴くと、その無国籍的な演奏はなかなか面白く聴き通せます。やはり、ダグラスの感性は異質だったのだろう。

とは言うものの、野暮を承知の上でラロカのもう一つのリーダー作”BASRA”(BLUE NOTE)と比較するとどうだろう。”BASRA”の方がラロカを軸に演奏に幅、厚みがありLP1枚の出来としては間違いなく上でしょう。与太者風ダーティーなギルモアのテナーは聴き物に違いなけれど、やはりB級の域を脱していないなぁ。また、面白いことに”MARJOUN”のコリアのpは、知らずに聴かされたら70年代のマッコイと間違えそうですね。ま、センスが違いますけど・・・・・、聴く耳に因るけれど捉え方が難しく「幻の名盤」が一番、美味しい落し所ですね。

なお、このMuse盤、原盤についてライナー・ノーツで何も触れていなく、最後の最後に”Produced by ALAN DOUGLAS”とだけ記載している。Museはコリア名義にしてラロカに無断でリリースしたため、ラロカが訴え、勝訴したそうです。SJ誌「幻の名盤読本」のCMページにMuse盤が載せられ、キャッチ・コピーは「トップ・ピアニスト、チック・コリアの’67年録音の記念碑と言うべき名作」と、そら、ラロカでなくても怒りますよ(笑)。



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