読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

「IT日報で営業チームを強くする」(長尾一洋著/実務教育出版刊)

2006-05-18 19:58:55 | 本;ビジネス
*長尾一洋;NIコンサルティング
~全社員で担当者をバックアップするシステムづくりへ~
1)IT化された日報は最強の教育ツールだ
2)お客様を全社の財産にする日報システム
3)営業スタイル別日報システム構築のポイント
4)部下を育てる日報コメントの書き方
5)システム運用前に研修で社員の意識改革を
6)営業チームを強くするために評価の仕組みをどう変えるか
7)ナレッジ・コラボレーション営業へ
*営業日報マネジメントは孫子の教え

営業ノウハウ、ハウツーものは毎年、新たな切り口が提供され、経営書と同じく多くの書籍が出回る。かつ、コンサルタント会社の経営者がその手のビジネス書を書き、その解決策としてその会社のソリューション商品を紹介するという販促用の意味合いが強い書籍も多い。本書もそういった性格のものだと思って読む進めると、少し違った。

「何をもって『財産にする』とか、『囲い込む』と言っているのかというと、顧客の情報なのです。いかに顧客の情報を入手し、また顧客から教えていただき、その内容を蓄積保存して、再利用させていただくということが、顧客を財産にしたり、囲い込んだりするということに他なりません」。ここで少し、なるほどと頷く。

「『御用聞き営業から脱却して、ソリューション営業にシフトしなければならない』などとよく言われますが、御用聞きもソリューションも、顧客が考えていることや、抱えているニーズや問題が前提になっています。ほしいものは何かを聞き、どういう問題を抱えているのかを聞くことで、顧客のニーズをつかみ、それに対して商品を提供するなり、何らかの提案をするなりして、そのニーズを満たすわけです」。また、頷く。

「しかし、すでに顧客がほしいと思っていたり、困っていたり悩んでいたり、問題だと感じているようなことは、インターネットの検索サイトなどで簡単に情報を得ることができる時代が到来しています」。あっ、と目から鱗が落ちかける。

「ソリューション営業とナレッジ・コラボレーション営業との違いは、顧客が問題を意識しているかどうかというところにあります。その問題とは、現状とあるべき姿(目標像)とのギャップのことを指します」。ナレッジ・コラボレーショ?

「顧客が現状を認識し、こうありたいという目標像をイメージしてくれていればそこにギャップがありますから、営業担当者の話を聞いてくれたり、提案を要請してくれたりするわけです。そのギャップを埋める提案が問題を解決するソリューションです」。確かにそうだ。

「顧客とのナレッジ・コラボレーションによって新しい価値を生み出すということは、ここでは新たな目標像が出てくるということであり、その目標像が共有できると考えることができるのです。あくまでも顧客に考えさせることが必要であって、こちらが考えた像を押し付けるだけではダメなのです」。それで、それで?

「新しい目標像が共有されると元々の現状(目標像)との間にギャップが生まれることになりますから、問題が生じることになります。問題はなくても、新しく問題をつくればよいわけです。これができれば、顧客ニーズは無限にあると考えることができます。なければつくればよいわけです」。再び、なるほどと思う。

「この点からも、単なる顧客ニーズに聞き取りである御用聞き営業は、成長や進化のない仕事であるといえます。顧客ニーズを無視しては商売は成り立ちませんが、とにかく顧客に聞いてみないと何も考えられないという姿勢は早めに捨て去るべきなのです」。ここで完全に目から鱗が落ちた。

「顧客との間で、目標像を共有するということは、言い換えると顧客の利益を共有するということでもあり、このことによって、顧客はその営業担当者に価値を感じるわけです。新しい目標像を設定できる営業担当者は、いくらでも顧客ニーズを生み出し、それを顧客の利益に転換させていくことができるわけですから、非常に高い価値を持った人材であるということができるでしょう」。この論理に感服。

「ナレッジ・コラボレーション営業は、顧客との相互理解を勝ち取り、相手に怒られるギリギリの線で対話し、相手が考えていなかったことを考えさせ、それを共有して、共にその達成に取り組むことで、同志として共に利益を享受するパートナーシップを完成させるという活動です」。自分でも実行しなければいけないと痛感。

「日報を進化させる」
報告書(行動管理日報)→連絡書(指導育成日報)→計画書(顧客創造日報)→情報共有ツール(CRM日報)

報告書;単なる営業担当者の結果報告に終始し、上司のコメントが入らないことが多い。コメントが入っても業務上の指示が大半で、一方的なコミュニケーションが継続的に行われているに過ぎない。

連絡書;上司の激励コメント・感謝コメントが毎日が入り、上下の双方向コミにケーションが図られる。現場の状況や部下本人の考えが把握されることで、上司の指導も的を射たものになる。

計画書;営業担当者の翌日の行動・課題が具体的に記入されるようになり、それがタイムリーに上司から返却されることで、事前のアドバイスとなる。事前であるが故に成果に結びつくアドバイスとなり、日報の位置づけが大きく変化する。

情報共有ツール;組織内の日報が公開され、各人がそれの情報を活用し、自分の疑似体験量を飛躍的に高めることで、組織全体の相乗効果を生む。ある組織構成員の考えが、また別の構成員の考えを生むコラボレーションを創り出す。

*CRM(Customer Relationship Management);
「情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。詳細な顧客データベースを元に、商品の売買から保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りを一貫して管理することにより実現する。顧客のニーズにきめ細かく対応することで、顧客の利便性と満足度を高め、顧客を常連客として囲い込んで収益率の極大化をはかることを目的としている。


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