風のささやき 俳句のblog

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街で 【詩】

2022年02月10日 | 

「街で」

# 1

歩き疲れて
あなたと二人
こうして座って
目を合わせ微笑む。

ささいな仕草からも
読みとれる
僕らの間には黙っていても
通じあえる言葉があって
それがこうまでに
二人を一緒にする。

僕らのテーブルにも
白い珈琲カップが二つ運ばれて
手で触れるとあなたといる時の
温かさと同じだ。

 

# 2

耳に届くのは
壊れて話をやめなくなった
ラジオから流れるような言葉
少し暴力的で疲れてしまう。

僕はあなたと
そんな言葉で
結ばれたものには
なりたくはないんだ。

黙っていても心は華やいでくる
春風に心地良く揺られる
タンポポを真似て
その気分に揺られていたいんだ。


# 3

たとえばあなたと
目を合わせ微笑む。

あどけない少女の
人懐っこさ残す笑顔
優しい瞳に映し出される
あなたの心のさざ波が
僕の心にも押し寄せて
そんなとき僕には
あなたがよく分かるのだ。

そうして寂しげな仕草には
誘われるように背を押す
そんな二人だけの言葉を
大切に思うのだ

# 4

口に出した傍から
本当のことが伝えられなくて
嘘を重ねる言葉は
もうこれ以上
紡ぐのを止めにしたくて。

どんな人込みにでも伝えあえる
二人だけの言葉に
僕の心の調べを
あなたが感じとってくれるといい。

もしかすると僕自身でさえ
気が付いていないかも知れない
心の調べを。