あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

曼荼羅Ⅱでシカラムータを見て来た④

2004年12月28日 | 生活
深夜11時45分。

私は吉祥寺駅のホームで呆然と佇んでいた。
実に3時間以上・・・・。凄いものを見た。

「エクスプレッソ・ゴング」に続き、シカラムータもアンコールで「ピーチェズ・エン・レガリア」を演奏したのだ。

これでイタリアのプログレバンド「アルティ・エ・メスティエリ」が来日してアンコールで「ピーチェズ・・・」やったら、オレの中で”ロイヤルストレートフラッシュ”完成だぞ。死ぬぞ。

なんか点が線に繋がった。
篠田さんも大原さんもシカラムータの中で生きているが(←ベタな表現で申し訳ない)。
フランク・ザッパも世界中の音楽家の中で生きているのだなぁ・・・と泣きそうになった。

まぁ、篠田さんも大原さんも数ヶ月の内に知っただけだが。
我々ボクシングファンが「日本王者も世間は知らない、嘆かわしい!」と怒りを覚えているのと同様に、大熊さんシンパも「世間は篠田も大原もサイツも渋さも知らない!!」と怒りを心に秘めているのかも知れませんね。

すんません、もっと勉強します。

勉強するもんじゃないが。
勉強するのも怖いが。若い頃、政治活動とかと無縁だったからなぁ・・・。そのクセ妙に左翼的なトコロあるからなぁ、オレ。

いっそドップリ嵌り込んで挫折して絶望しといた方が良かったかも。変な「残り火」抱えてる感じするもんなぁ・・・。
いっそ若い頃、左翼活動して権力争いに嫌気さして右翼に転向して新聞記者になってオヤジを転がして出世して総理の懐刀的な存在になって野球チームのオーナーにもなって「たかが選手が!」とか言って顰蹙かって裏金問題で辞するとかしてたが良かったかなぁ・・・・・って、
そりゃ“ナベツネ”じゃねぇかっ!!!!!!!!!!!!!

ほどほど勉強しよ。音楽を中心に勉強しよ。社会常識の範囲で勉強しよ(←音楽だけで充分凄いシカラムータに、そんなコト言ってる時点で不見識ってか?)。

世の中、まだまだ優れた表現者がいらっしゃるんですよね。
これからも、探求、探求ですな。

曼荼羅Ⅱでシカラムータを見て来た③

2004年12月28日 | 生活
篠田昌已さんと大原裕さん。

大熊さんの、亡くなった盟友達。もちろん、私は殆ど知らない。

篠田さんは、製作者が惨殺された「山谷~」の音楽を担当されていた方。
大原さんは、渋さ知らズにも参加されていたトロンボーン奏者。

いずれも「いい曲を書いた」と大熊さんが言う音楽家だったそうな。
病死に焼死、悲惨な最期ながら、曲を残し。残った曲を大熊さんが受け継いで行く・・・。

E・クラプトンも談志家元もそうだが。
才能あるライバル達を先に見送ったアーティストは、「生き残った」と言うより「取り残された」感覚のほうが大きいのではないか?

「ジミヘンは先に神の元へ逝った」「志ん朝は先に逝った」「オレは生き残ってしまった。夭逝できなかった」・・・・。

大熊さん達の演奏にも「取り残された者の悲しみ」が感じられた気がした。

「吹きっぱなし」だけに、途中で主旨変えもあって。
アコーディオン(フイゴとも呼んでいたな)と2人での演奏もあり。小クラリネットを取り出して、大熊さん「2本同時吹き」もあり。

後半、再びメンバーを呼び戻して「シカムラータ番外地オーケストラ」の演奏が始まる。
トロンボーンとチンドンは若い女性だが、素敵にコスチュームチェンジされておる。

しかし曼荼羅は凄いね、静かな曲調になったら客席続きの厨房から「ジュ~ッ」って焼き物する音が聴こえて来るもんね(笑)。
――で、時計見た大熊さんが「業務連絡、業務連絡~。あの~、押してますけど、あと何曲かイイですか?」と厨房のマスターに尋ねる。

「いいですよ~」と快くOK出すマスターの偉い事よ。

「じゃ」と、ますますエネルギッシュな演奏が始まる。
・・・もう22時30分じゃん。遠くから来たのか、終電を気にしてかソワソワしはじめる女の子もあり(笑)。

盟友の曲も演りながら、決して悲壮感溢れるステージでは無い。
「次、○×」と大熊さんが紹介すると、「えっ!!」とばかりに「譜面」を探すメンバーの姿もあり(笑)。
「あれ?オレが間違えた」と焦る大熊さん、粗忽者ですなぁ。

「こっち、譜面ないんですけど・・・」とベースの仙人みたいな松永孝義さんが手を上げる。
自分の譜面台をあさって譜面を手渡す大熊さん・・・。
このテのグループで譜面があるってのも凄いが、行き渡ってないんだから、几帳面なんだか大雑把なんだか・・・(笑)。

そして、いよいよ最後の曲。「ピロウ・ウォークが未だだから、ラストに決めてくれるかな?」と思ったら「アルバート・アイラー・メドレー」。

「渾沌としたインタープレイの渦から俗謡的で簡素なメロディーを浮かび上がらす」と言われるテナーサックス奏者、アイラー。ジャズの人だが、ZAPPAの「ホット・ラッツ」だって「ローランド・カークのようでもある」と言われてるんだから出自は問題では無い。どう自分流に昇華しているか・・だ。

そしてシカラムータは昇華している。
そして大団円。

気のせいか大熊さん、目の下にクマ出来てる(笑)。オレも疲れたが、「ピロウ・ウォークを聴いてない!アンコールで、あのポップでいながら変拍子なジャズ・チンドン・ロック演ってくれるに違いない!」と拍手を続ける。

アンコールの拍手は続いた。閉演時間は過ぎているのに(笑)。

メンバーが出て来た。「なに演るの?」ってな相談だ。
ボソボソと大熊さんが呟くも、ドラムの人が「どんなんだっけ?」。
大熊さん「ズンズンタン・タ・スタタンタだよ」とか説明し。

いよいよラストの曲が始まった。「ピロウ・ウォークか?」期待する私の耳にジャズロックのリズムが飛び込んで来た。

・・・「ピロウ・ウォーク」じゃない。

・・・つ~か、こりゃ「ピーチェズ・エン・レガリア」じゃね~か!
ZAPPAじゃね~か!!!!!オリジナルの方じゃね~か!!!!!


やった――――――――――――――!!!!(涙)

曼荼羅Ⅱでシカラムータを見て来た②

2004年12月28日 | 生活
大熊ワタルさんは長髪のオッサンだった。
いや、格好良いオッサンでしたがね、帽子の似合う。

「どうも、今日は『大熊ワタルの吹きっぱなし』って事で・・・」などと御挨拶されてから演奏は始まった。

主に「ゴースト・サーカス」からの選曲が多かった気もするが、それもチリ伝承歌とか盛り込まれてるから、「トルコのトラッド」「東ティモールの曲」とか言われても、そこに入ってた錯覚を覚えてしまうのよね。しかも、みなシカラムータ風に昇華されてるし。

編成は、大熊さんがクラリネット、アヒルの口みたいなホイッスル、パフパフラッパ、小鉄琴など。
他にシンプルなトーンのエレクトリック・ギター、ドラムス、チューバ、トロンボーンの皆さん。
曲により、アコーディオンやチンドン、大太鼓、リコーダー、ベース、トランペットが参加。
リコーダーとチューバは兼任。チンドンと大太鼓も同様。ベースレスの曲もあり。
通りを歩く大道楽団にエレクトリック・ベースなんて元々ありワケないもんねぇ・・・。

ドラムが自由自在にリズムを操ってます。ジャズっぽく、レゲエっぽく、ロックっぽく・・・。

東ティモールの曲やった後、大熊さんは「独立の催しで演奏に行ったけど、向こうでも伝承曲は若い者に流行ってないね。みなヒップホップやロックを演ってた。でも、ロックバンドで凄いギタリスト居てね、まるで“村八分か“裸のラリーズ”かって感じで・・・」と語って一部の笑いを誘う。

客席から「そりゃ、山口富士夫じゃん!」と声が飛ぶと、「そう!山口富士夫みたいな・・・。いや~、ラリーズの魂は生きてるね!」と独り言のように肯く大熊さん。

そこでまた客席から「笑い」。笑ってるのはオヤジばかりだが(笑)。オレもそうだったが、村八分のライヴCDしか聴いてないのに良く共感したみたいに笑うよな。

やっぱり大熊さん、ルーツはロックだね。しかも“村八分”と“ラリーズ”とはね。
クリムゾンとかのプログレや、ZAPPAみたいなジャズロックも原点にあるだろうが、そこから始まって、より自らの日本人的ルーツに歩み出して「ジンタ」や「チンドン」に辿り着いたか・・・。

それらを昇華して、ロックともジャズともチンドンとも言えない音楽を創造・・・、長い道程だね。

「逝ってしまった篠田昌已の曲を演ります」「逝ってしまった大原裕の曲も・・・」
・・・そう言いながら大熊さんは、盟友の曲を演奏し始めた。

――続く

曼荼羅Ⅱでシカラムータを見て来た

2004年12月28日 | 生活
昨日の話ですが。

吉祥寺まで足を伸ばして。ハイパー・チンドン・プログレッシヴ・ジャズ・ユニット「シカラムータ」のライヴに行って参りました。

タイトルが「大熊ワタル吹きっぱなし」。

リーダーでクラリネット奏者の大熊ワタルさんが、「シカラムータ番外地オーケストラ」を率いて吹きまくるってんで、最新版「ゴースト・サーカス」で知ったばかりの初心者ファンの私は、初体験せねばとばかりに吉祥寺に向かったのですよね。

昔は良く足を伸ばしてた吉祥寺だが、職を変えてからは、すっかり御無沙汰。
駅から南東に地下道が出来てるのも初めて知ったし、そこに大型書店があるのも驚きでしたな。

曼荼羅Ⅱは、そこから数分の筈だったが。
・・・迷った(笑)。

大通りを探してどうすんだよ!コンビニが乱立する路地の方だったじゃん。
あ~良かった、今回は住所メモしといて。まぁ、目的と時間がハッキリしておったらメモするのを忘れないんだよワタクシは(笑)。

開演時間の10分前、狭い場内は9割の入り。それでも100人未満かな。

トイレが込んでいる。入り口前のコーナーに戻ってライヴCDとTシャツを購入。
ビール飲んでヒマを潰しながら客層をチェック。

若いな~、みんな。大学生みたいな女の子2人組とかも多い。あとは男子1人組とか(笑)。オヤジは・・・少数だなぁ。
さすがカレッジチャートの上位にランクされたユニット。美大系の若者に人気なのかねぇ・・・。

――で、シカラムータについてだが。
‘94年、クラリネット奏者の大熊亘さんが始めた「大熊亘ユニット」が発展、‘97年に「シカラムータ」となり。
ジャズ、プログレ、チンドン・サウンドを消化し、ジンタと呼ばれるサーカスの呼び込み音楽みたいな土着的要素も飲み込み、クラリネットやギターやフィドルやチェロやチューバやドラムなどの生演奏を主とするユニットなのでして。

その時々で編成は変わるらしいが、ジャンルと国境を越えた大道音楽と言って良かろうか・・・と。

数ヶ月前に新宿のタワレコ「Now On Pley」で聴いて館内を走り回って探した「ゴースト・サーカス」。
流れていた「ピロウ・ウォーク」ってジャズロック風の曲、ザッパがチンドン・テイスト取り入れたかのような印象で。一発で惚れたワケなんですけど・・・。

シカラムータHPで見て、用語をGoogleで検索したりして「山谷、やられたらやりかえせ!」とか出て来て「げげげげげげげげげげっ!ヤバイぞ!!!」とか思った記憶も古くない出来事で。

HPに綴ってある大熊さんの日記も、押さえながらも政治色ありで、「ライヴ会場ってどんな雰囲気なんだろう?」なんて怖がっていたら、可愛い女の子が結構いて「ホッ」みたいな感じなんですがね(笑)。

19時42分、予定より10分押しで客電が消えた。
いよいよシカラムータ初体験だ。

――続く