あるBOX(改)

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優しくなった神<br>大人計画「イケニエの人」を見て

2004年12月04日 | 生活
11/30、大人計画3年半振りの大人計画本公演の「イケニエの人」を観に行ったワケだが。

会場は、三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで。
大人=下北・・・な括りで考えていた私には少し違和感あり。
入ってみたら、まるでグローブ座のような内装で。つ~か、大久保のグローブ座より豪華な雰囲気。

客席は、ほぼ満員。驚いたのが、当日券があった事(それほど多い枚数じゃないだろうが)。

公演日が多いからだろうか。
「大人計画の役者総出演」「久々の客演なしの純大人計画の公演」ってんで、期待も大きかったワケだ。

筋としては。
潰れかけの旅館を、強欲な外食産業が乗っ取り、従業員を再教育するって話で。

支配人候補として登場する阿部サダヲは、連れの「雨利(アメリ)」ことオカッパ頭の宮藤官九郎(女装)と夫婦漫才のような遣り取りを繰り返しながら、借金地獄からの起死回生を狙う。

厨房に務める乙骨(皆川猿時)は、遺跡発掘現場に偽の石器を埋葬し、「神」と言われた教授を失脚させた過去を持ち、現在の旅館でも「枯渇した温泉にバスクリンを撒いてマスコミを騒がせた」ばかり。

この乙骨のトホホ人生を追うアマチュア・カメラマン役に田村たがめ。

仲居役に猫背椿、池津祥子、従業員に顔田顔彦、宮崎吐夢などなど・・・。

これら再教育される従業員の中にスパイ的存在がいる・・・なんて「11人いる!」のような仕掛けもあり。

付近にスペースシャトル基地が建設される事を当て込んで、旅館の再興を目論む女将はノイローゼ。
しかし、そのボーリング工事の影響で温泉が枯渇する皮肉・・・。

その古い旅館の屋根裏には、何やら獣が住み着いている模様で・・・。

そんなエピソードが絡まりながら、物語は最後を迎える。

相変わらず、シュールでエロでグロなシーンありなのだが。
そんな中、阿部サダヲとクドカンの屈託のなさは相変わらずで、ホッとさせられ・・・。

猫背も相変わらずメスの臭いをプンプンさせてるし。薄幸役が相変わらず似合う伊勢志摩、芸達者な宮崎吐夢、テンパラさせたら天下一品の顔田(しかし、手の短い異様な体型だなぁ・・・)などなど。

役者全員の見せ場を作っており、往年の大人計画が甦ったようで、それは大いに嬉しかったのだが。

松尾スズキも「失脚した発掘の名人」役で登場、娘(死亡)婿の乙骨に「新たな嫁」として元売春婦の気子(平岩紙)を与えに現れる。

もちろん、そのクネクネした動きだけで私は大喜びなのだが。

なんか、役者を「自分のストーリーを表現するための道具」としか捉えてなかった臭い以前の作風に比べ。
各段に優しくなった気がするのよね、作・演出家としての松尾スズキが。

「残酷な神が支配する」なんて萩尾望都さんの漫画タイトルあったが。

「神の目」で全体を支配する松尾スズキって人はすばらしく残酷でミモフタも無くって、紙一重の人だったのだが。

その人が優しくなった。

「11人いる」の11人目も、なんか曖昧なまま(つ~か「あれっ?」って感じで)終わった。
最後も「建設途中のスペースシャトルで全員宇宙へ!」「実は、それって核爆弾!」みたいなオチでは無かった。

大人計画を再現しようとして薄味な劇が出来てしまった・・・・・。そんな印象だったのだ。

売れて優しくなってしまったのか。
結構各方面で「いまいち・・・」みたいな論調あるが。
気にしいの松尾さんは「だからネットは嫌いだ!」と吠えておいでだろうが・・・。

ここは、再び残酷な神が降臨する事を願っておこう。

◆10/2(後楽園ホール)の試合結果
○4R
羽田野剛 KO 清水成仁
○6R
森谷淳一 TKO 有木竜大
角田卓穂 判定 後藤 崇
○8R
小口雅之 引分 会田 篤
工藤貴次 TKO 中山義久
大久保純斗 TKO 鈴木国寛
○10R
コウジ有沢 判定 小澤幸治