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映画、読書などのメモ

ミルク

2018-01-23 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ミルク
監督:ガス・ヴァン・サント
キャスト:ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、他
2008/アメリカ

ハーヴィー・ミルクは、アメリカ史上初めて、ゲイであることを公言し、公職に就いた人物である。そのミルクの精神が、いまだに伝承され、守られている現実を、ボクはこの映画で初めて知った。マイノリティーとは何か、マジョリティーとは何かと考える上では意味深い映画であった 。監督は、あのガス・ヴァン・サント。


50年代、60年代は「豊かな社会を創る」という大きな幻想に向かって、社会全体が動いていった。その過程で、個人の尊厳は、時に無視され、時に切り捨てられ見捨てられ、時に多数派は社会秩序を守るという大義名分の名の下少数派を疎外、そして排除した。「魔女狩り」をする事に何の躊躇もなかった時代であり、その事によってドロップアウトを余儀なくされた人は多かったと思う。しかし一方、変革を求める動きは、反戦運動とも連動して、しだいに大きなうねりとなって行き、70年代はその運動がいくつかの成果を生み出した時代と言える。

この映画の主人公ミルクは、ドロップアウトし、しばらくヒッピー生活を送っている。どこかのプロセスで、人間性の根幹を見つめるような体験をしたにちがいない。そこで、人間の多様性を許容する力を持ち、単にゲイの問題だけでなくあらゆる差別の問題を告発し、仲間を組織する力を獲得していったのだろう。自由への渇望を素直に表現することによって、多くの人々の共感を勝ち取り、今なお、影響力を持つ人物として存在し続けている。

映画は過去の映像を取り入れ、ドキュメント風にミルクの活動を描いている。

 

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