夏の夜の夢~イリュミナシオン~夏の夜の夢

2020-10-11 | オペラ

記念年ではないはずなのになぜが当たり年のブリテン。
残念ながら公演中止となった「ノアの洪水」や「戦争レクイエム」などあったようですが。。。


NNTT「夏の夜の夢」(10/4,10)。
ブリテンのオペラは編成の小さいものが多く、この「夏の夜の夢」もその一つ。偶然とは言えこの時期にもってこいの演目。
2公演を充分楽しんだのだが、平板な印象が拭えない。
主に演出に起因すると思うのだが、妖精、アテネ、職人の3つの層をあえて平坦化しているようだ。
音楽が怪しさを醸し出すがどこかドン・ジョヴァンニとレポレッロを思わせるオーベロンとパック、舞台上でほぼ横一線の上品な職人たち、透明感のある歌声もどこか浮浪児を思わせる児童合唱…。
オベロン、タイターニアの第一声はヴェルディの「オテロ」なみの力強さが欲しところだが少々パワー不足…演出・音楽共にメリハリのないものしてしまったようだ。
パックの河野は出色だったがいろんな意味でもったいないと思う歌手が多かったかと。
いつの日かニュー・ノーマルでないかたちでの上演を!


「夏の夜の夢」真っ只中の7日は森谷真理で「イリュミナシオン」(王子ホール)。
ブリテンのオケ伴の歌曲集としては「セレナード」、「ノクターン」とともに親しまれていると思うのだが、
実演となるとより簡素な「イリュミナシオン」の演奏機会が少ないのかもしれない(何れにしろどれも頻繁に演奏される曲ではないが)。
これらはブリテン/ピアーズの録音のせいだろうかテノールのための作品と思われがちだが、ソプラノまたはテノールのための曲。

薄味と感じてしまった「夏の夜の夢」に対して、森谷はピアノの山田武彦とともに非常にパワフルな演奏で「英国音楽」に確固たる信念を持っている方々(そんなもんいるんか)からは拒絶されかねないのでは?
ブリテンは多くの自作を録音しているが、プレーヤーとしても優れていたため録音は自作自演以外には少なかったための弊害だろう。
これまでのブリテン感を見直さなければならないかもしれない森谷の歌唱は大変興味深い。

来週はこちら。