「マラ9事件」の影響か開演に先立ち、携帯・スマホの切り忘れの徹底が係員4人が会場を回り呼びかけられた(2幕開始前に補聴器?からの発信音で開始が遅れる18日)。
会場入り口近くに「沈黙」には中劇場こそが上演にふさわしいとのコメントが小さく掲示されていたが、さして巨大な編成でもないと思われるオケは劇場のピットに収まりきらず、指揮台の脇には、別室の副指揮を写すモニターが設置され、音はスピーカーから返されていたようだ。両日とも1階中程だったが違和感は残った。また、原作者や原作の舞台の地の展示がなされていたが、展示量に比べロビースペースが少なすぎたようだ。
初日組は、声、演技とも安定感があったが、日本語が聞き取れないことしばし。字幕もあり、はじめてのオペラではなし、初日組は個人的には2日目なので耳もなれたと思っていたのだが。
B組キャストでは、ロドリーゴとオハル。小原はもう少し軽い声だった記憶たったのだが。
宮田演出は終始巨大な十字架が舞台にある重い舞台に整列した群集が田舎っぽく処理されてしまい閉塞感がのしかかる。内容の重さと長崎の海と空の対比という発想はなかったらしい。各キャスト舞台の去り際もさっさとはけていく一様なもので忙しい感が残る。
楽日は残念なお客さんがいた。どうやら贔屓の引き倒しという言葉を知らないらしい。
日本を代表するオペラの一つであるとは思うが、長崎のご当地オペラとして「沈黙」が定着する日はいつになるのだろう。