京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

ルリクチブトカメムシ(瑠璃口太亀虫)の幼虫とクモの幼体

2019年05月31日 | ミニ里山記録




 ユキヤナギの葉に集合するルリクチブトカメムシの幼虫にクモ(ササグモ?)の幼体が乗っかっている。ルリクチブトカメムシの成虫は瑠璃色の光沢が美しいカメムシ。多くは草地に見られ、イチゴ類やヤナギ類につくカミナリハムシ類を好んで捕食するとされる。京都府では少なくなり「要注意種」となっている。

 

        八方へ走りにげたり放屁虫   阿波野青畝

 

 

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ヴァイバー•クリーガン-リード『サピエンス異変』を読む。

2019年05月31日 | 評論

ヴァイバー•クリーガン-リード『サピエンス異変』ー新たな時代「人新世」の衝撃 (水谷淳、鍛原多恵子訳)飛鳥新社 2018年

 

   この書は、人類がその歴史において行動、生活を変化させて来た過程で、身体の構造や機能にどのような影響があったか、さらに未来において文明諸国でそれがいかなる形で表われるかについて述べている。二足歩行による移動を生活の中心にしていた人類は農耕革命、産業革命、情報革命を経て歩く事が少なくなり、様々な身体の不具合を訴えるようになった。腰痛、近視、糖尿病、高血圧、心臓疾患やある精神疾患は、歩かなくなった人類が自ら生み出した人新世における新疾病である。この著者の意見では、ひたすら歩くという事によって、これらの予防や治療ができるということである。

  筆者は現代人に日常的な早歩きかランニングを進めている。さらにスクワット(しゃがみこみ運動)も身体によいとしている。また身体のなかの生態系のためにも、緑地や自然環境に、できるだけ触れ続けることを進めている。そこで何種類もの果物や野菜を含む食事をして、腸内生物の多様性を高めて健康を保つように努める必要がある。

  「ウオーキングは魔法の特効薬である」と著者のリードは言う(そういえば徘徊老人はなんだか健康そうだ)。このように、この書はいわば常識を展開した凡書のようであるが、「余談」で述べられているいくつかの挿話が結構面白い。たとえば「ニンジンがニンジンでなくなった」の一節では、生産の効率ばかりを考えて促成栽培されるニンジンが、昔のような優れた栄養価を持たないニンジンだと述べている。また口内の唾液のpHは本来中性だが、食事をすると酸性になるので、食後すぐに歯を磨くとそのエナメル質が溶けて、かえって逆効果であると書いてある。pHがもとにもどる寝る前の歯磨きが、やはり有効のようである。

  今後、人類におこる身体的あるいは精神的な不具合は、スマフォやパソコンなどの情報器機を使うことによって生ずると予測される。いまでも「メール指」や「スマホ指」が問題になっている。1980年代には「任天堂指」をめぐる同様の懸念があったが、症状としてでなかったので(ほんとうか?)、当時は問題にならなかったそうだ。しかし通勤電車内でスマホを操作する若者の姿をみていると、このような反復運動過多損傷(RSI)は今後の社会的な健康問題になりそうである。そのような事を考える人には好適な参考書であると思う。

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