京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

ヤドリギ(宿り木)の実の不思議

2013年01月29日 | ミニ里山記録

 京都大学の構内で見つけたケヤキに寄生するヤドリギ(Viscum album subsp. coloratum)。手で触れる場所に生えているのはめずらしい。これは実がならないので雄木のようである。

ヨーロッパでは郊外の灌木の梢のいたる所にヤドリギが着いているのが観察される。むこうでは、古くから言い伝えがあり、この木の常緑にちなんで縁起の良い物とされて、クリスマスで切枝がテーブルに飾られたりする。

 ヤドリギの花は早春に咲き、直径は8mmほどの果実が秋に熟す。透明な液果で緑色から次第に黄色に熟す。冬場は小鳥の重要な食物の1つで、鳥に食べられた後、排泄されたものが木に付着する。

  種子を包むゼリー状の物質は粘性がきわめて高く、樹の幹や枝に付着しやすい。これが乾いた後も、種子は強い力で木に着いて離れない。一体どんな生体ポリマー?で出来ているのだろうか。研究価値がありそうだ。発芽する時に樹皮を溶かす酵素を根から出すと物の本にある。我が家でクリスマスの時に飾ったヤドリギに緑色の実がなっていたので、何個かを庭木に着けた。定着するかどうかは、これからのお楽しみといったところ (N2P2)。

 

冬木立宿り木だけの青さかな  大月健


 

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南天と京都の鬼門

2013年01月07日 | ミニ里山記録
 
 


この季節、近所の庭や玄関で南天の赤い実がやけに眼につく。

もともとは庭木として中国原産で渡来し、種が鳥に運ばれて野生化したものもある。


「難を転ずる」として縁起のよい木とされ、家の鬼門に植える風習がある。京都の鬼門は比叡山の見える北東なので、その方角の庭の隅に植える家が多い。葉っぱを病気全快祝いの赤飯にのせ、悪夢を良夢に転じてと枕の下に敷き、安産を願って床の下に枝葉を置いたりする

ちなみに、南天の花言葉は「機知に富む」「福をなす」「良い家庭」「愛は増す」など、いい事づくめだが、初夏の頃に咲く白い小さな花は地味なものだ 。

    口切や南天の実の赤き頃  漱石





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楽蜂庵日記事始め

2013年01月06日 | ミニ里山記録
 


                   真如堂の塔

 

 京都左京区の吉田山と紫雲山の一帯は東双ケ丘と称される緑の多い地域である。白川通りで分断されてはいるが、大文字の如意ヶ嶽を頂点とする東山連峰に接するようにして南北に延びている。あたりは古い神社やお寺が並び、散策するにもほど良い。

 楽蜂庵はこの一郭にあり、周りでは多様な動物や植物を観察できる。春先には、どこからともなくニホンミツバチの分蜂群が庭にやってきて巣箱に住み着き、蜜や花粉を集め始める。家の裏山を開墾し、ビオトープ、養蜂園、キノコ栽培場、野草園を作りミニ里山にして楽しんでいる。

 本ブログでは、家からニホンミツバチの飛ぶ半径約2km以内で、このような都市と自然の交点において観察される動物や植物の多様性の記録を始める。さらに、自然の有り様は社会の動向と深く関わっているので、現代社会や文明についての評論も行うつもりでいる (庵主敬白)。

 

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             (本ブログの記事や写真の無断使用を禁じます)。

 

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