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この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ) 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2008-12-11 |
この本は、図書館の子ども室で借りてきました。
このあまりにもあからさまなタイトルに思わず足を止めたのでしたが、著者の西原理恵子さんの本は何冊か読んでいたので、いかにも“らしい”表現だとも思いました。
そして、きっとタイトル通りの赤裸々な内容だろうと思いましたが、その反面、子ども向けに書かれた本だということもあり、きっと真摯な内容でもあるだろうとも思いました。
ところがところが。予想通り、なんてとても言えない、凄い内容の本だったのです。
この本を通して書かれているのは、西原さん自身のこと。
ごくごく幼い頃の、宝物のような思い出。そのあとの子ども時代の、お金が無いことを巡る、悲しく凄まじい出来事。自立を決意した大学時代の必死の努力、ちょっと成功したと思ったらギャンブル、それから視点は世界の貧しい地域に向けられ、そして大切な人との出会いと別れ……。
それが、すごく読みやすい文章で書かれています。内容は、とってもシンプル。
でも、伝えてくることはものすごく重くて、ずしんとくるのです。
たとえば、比較的平穏だった幼年時代の終わりに、こんな文章がくる。
“いちばんかなしい記憶は、それからあとのこと。
お金がないことが人をどれほど追い詰めて、ボロボロにするのか。そのあらゆるパターンを、わたしは見たと思う。
かなしいことほど、いつまでも覚えているのはなぜなんだろうね。かなしくても、わたしにとってはぜんぶ、忘れられない、大切な思い出だけど。”
ふだん、私は“子どもだましの子どもの本なんて、いやだ”と思っていました。けれどそう思っていてもたじろぐほど、この本の内容は凄い。
お金のことはもちろん、不幸も、差別も、暴力も、性や死のことさえ、真正面から書いている。
そうしてそれをちゃんと覚悟を持って、真摯に書いている。これはやっぱり子どもにこそ読まれるべき本だし、分かる子もきっといる、と思いました。
その一方で、大人の自分が読んでも、働けることのありがたさとか、ありきたりな表現ですがお金の重さとか、そういうことを本当に考えさせられたし、ショックも受けた本でした。