あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

猫好きが読んではいけない小説

2009-09-18 22:57:22 | 本(短編集、アンソロジー、ショートショー

壁・旅芝居殺人事件―日本推理作家協会賞受賞作全集〈46〉 (双葉文庫) 壁・旅芝居殺人事件―日本推理作家協会賞受賞作全集〈46〉 (双葉文庫)
価格:¥ 420(税込)
発売日:1998-11

皆川博子氏は、大好きな作家です。

大作『死の泉』もいいのですが、私が一番好きな本は、地味ですがこれ。

『薔薇忌』も、思い入れがあります。

が!この方の作品の中には、猫好きにとっては非常に痛い描写がいくつかあるのです。

私は基本的にはフィクションと現実は分けられる方で、猫が虐待されたりするシーンがあっても、もちろん気持ちはよくないですが、全く読めないということはありません。(それに、なぜかそういうシーンを書く作家って、猫好きが多いのだ^_^;)

でも、そんな私でもこの方の、ある作品の描写は、ダメでした。優れている、ということなのでしょうが、衝撃が半端じゃないのです。

例えば、『悦楽園』という短編集の冒頭の作品で、(猫好きの方でそういう描写がNGの場合は、この後2行ほど飛ばして下さい)主人公が狂ったように走る猫を見て不思議に思ってよく目を凝らすと、“耳が切られているのだ”と気づくシーン。

思わず、膝に抱いていた猫の耳を押さえたほどの迫力でした。(猫はのんきに、“何?何かな?”というようにむしろ嬉しそうに私を見上げました)

でも、私が本当にダメだと思ったのは、『愛と髑髏と』という短編集に収められた一編。

“マゾヒストの猫”という表現が出てきたら、猫好きの方は注意した方がいいです。もしかすると、“これのどこが?たいしたことないじゃない”と思う人もいるかも。描写はごくさりげなく、語り口は優しいくらい。でも、私は軽くトラウマになりました。

好きな作品集としてあげた『旅芝居殺人事件』も『薔薇忌』も、よく考えたら哀切かつ残酷な話が多いのですよね……。

でも、どうしても惹きつけられる、不思議な苦い美酒のような作家でもあります。

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たった数百字の不思議世界

2009-08-18 23:53:22 | 本(短編集、アンソロジー、ショートショー

数日前、星新一氏について書いていて、ふと思い出したのですが。

星新一氏は言わずと知れたショートショートの名手ですけれど、たしか星氏が一般の方の投稿をつのって、選ばれた作品を出版した、ショートショートの広場、という文庫がありました。(星氏が亡くなった後は阿刀田高氏が引き継がれたと思いますが、今も続いているのかな……)

その、最初の方の巻だと思うのですが、今は自身が作家&異形コレクションのアンソロジストになっている、井上雅彦氏のショートショートが載っていました。

タイトルはたしか、『よけいなものが』だったとおもうのですが、私はこれが、とても印象的だった。

何しろショートショートなので、詳しく書くとネタを割ってしまうのですが、男女二人の会話だけで進んでいく話が、何とも不思議な感じになっていくのです。

気持ち悪い、といえば気持ちが悪い、けど、ちょっとスマートな感じもして。

井上雅彦氏の短編集のどれか(曖昧ですみません^_^;)にもおさめられていると思うのですが、今でも好きな小品です。

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