あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

初めてのスクリーンに感激!『隠し砦の三悪人』

2018-01-30 22:34:19 | 映画
黒澤明 DVDコレクション 1号 [分冊百科] 創刊号『用心棒』
クリエーター情報なし
朝日新聞出版



県内にある小さな上映館で、懐かしの名画のフィルム上映会があると知ったのが数日前。
プログラムのなかに、『隠し砦の三悪人』があるのを見て、あ、幸い仕事の休みとも合うし、スクリーンでぜひ観たい!と思ってしまいました。

あまり若くはない私ですが、上映された1958年には、さすがに生まれていなかったので。
(私がスクリーンで観た黒澤映画は、残念ながら『夢』のみ)

グーグル先生に訊いて場所をたしかめましたが、想像以上に昭和な路地裏にあり、思わず、「マジか!」と呟いたくらい。
でも、上映館は昭和感が逆にレトロで素敵で、当時のポスターなどがかざられているのにもドキドキ!

そして、実際上映が始まると、テレビやDVDでは観ているはずなのに、想像以上に新鮮で
ことに、誰もがあげる名シーンで、ショーン・コネリーの『風とライオン』でもリスペクトをこめてコピーされている場面ですが、全力疾走する馬上で両手を手綱から離し、鮮やかに敵を斬る迫力には、まさに手に汗握る、という感じでした。
一秒も目がはなせず、身動きもできない。カメラワークのすごさにも、震えました。私は黒澤映画の主役俳優では三船敏郎より仲代達矢派なのですが(笑)このシーンには本当にほれぼれしました。

それに、雪姫の美しさ!(やっぱりレーア姫より雪姫)クライマックスシーンのすがすがしさ。
狂言回しの、欲の皮が突っ張った百姓二人ももちろんいいし、敵軍の将、田所兵衛はキャラクターも、セリフも好き。
大満足で、ああ、面白かった!と、劇場を出ることができました。

フィルム上映会は一日のみの上映も多く、いつも観られるとは限りませんが、またいい映画がかかったらぜひ観に行きたい、と思いました。

余談ですが、『黒澤明DVDコレクション』が創刊されて、「あっ!これで『乱』が観られる?!」と喜んでいる私。
7号めくらいに入っているらしいので、ゲットして鑑賞したら、また、記事を書きたいと思います。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

悪女の陰影

2010-09-09 23:25:45 | 映画

今日、嵐の番組を観ていたら、吉瀬美智子さんが、『死刑台のエレベーター』のリメイク映画に主演する、ということを話していました。

死刑台のエレベーター【HDニューマスター版】 [DVD] 死刑台のエレベーター【HDニューマスター版】 [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2009-09-26

オリジナルを観たのは遥か昔の二十歳前後の頃で、深夜のテレビ放映でした。

主演はたしかジャンヌ・モローだったかと思うのですけれど、良かったなぁ、綺麗だった。

私、実を言いますと悪女ものって大好きで、もう、悪女というとすぐ喰いつくんですね。

自分とあまりにもかけ離れているせいかなぁ、平凡、というかヘタレだから、魅力的な悪女に憧れるのかも。

ことにこの映画のヒロインが印象的だったのは、哀しみがあって、憎めなかったから、というのがありますけれど。

リメイクされることですし、あまりネタは割れませんが、殺人計画がアクシデントによってほころびが生じるんですね。

で、連絡の取れない恋人のことを思いながら、ヒロインが独白しつつ夜の街をさまようシーンが好きでした。

『失敗したの?怖気づいたの?……でも、いいのよ。早く帰ってきて』

そんな台詞だったように記憶しているのですが、やがてたどり着くことになる皮肉な結末と共に、印象に残っています。

吉瀬美智子さんはかのヒロインとは少しイメージが違いますけれど、予告映像ではなかなかに美しく、どんな映画になるのかちょっと楽しみです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界がひらけた。

2010-08-15 00:32:55 | 映画

もしかするとこのブログのなかでも以前触れたのかもしれませんが、私は高校生の頃、美術部と漫研を掛持ちしておりました。

そしてその高校の3年間と、専門学校の2年間は、自分でも漫画を描いたのです。

けれどそれは私にとって、最初は非常に困難なことでした。

もともと、漫研の活動紹介(新入生勧誘)には、中学からの同級生に強引に引っ張られていったのです。最初はそれほど興味がなかった。

けれど、その紹介の場で初代の部長である3年生の先輩と、2代目の部長になる2年生の先輩が掛け合い漫才、もといユニークなトークをしていたので、つい、面白そう、と思ってしまった。(まさか自分が3代目部長になるとは思わなかった)

けれどもちろん、漫研と言ってもとくに漫画を研究するわけではないわけです。日本のマンガの源流は鳥獣戯画や北斎漫画だとか、二次元的だった漫画に映画的手法をもちこんだのは手塚治虫氏の『新宝島』だとか女子高生が語りあったりするのではもちろんない。

たいていの子が、自分で漫画を描くわけです。私も描けと言われた。でも、どうしていいか分からないのです。

漫画を、描く、という視点から見たことがなかったし、コマの割り方も分からない。自然、私のコマ割りは四角いばかりの単調なもので、バストアップと呼ばれる胸から上の構図ばかり。たまに思いついたようにアップになったり、ロングになったりしますが、そこに自分なりの考えはなかった。適当にやっていただけなのです。

これではダメだということは自分で分かりました。けれど、どうすればよくなるのかは分からない。そんなとき、気まぐれで買ったのがこの本でした。

映画に学ぶビデオ術〈1 基本カメラ・ワーク編〉
価格:¥ 1,529(税込)
発売日:1991-12

役立てよう、という気持ちではありませんでした。だいたい、これはビデオの作り方の本であり、漫画の描き方の本じゃないわけですから。なんとなく、買ったのです。

でも、この本で様々な映画監督のカメラワークを見ているうちに、気づいたのです。いままで、私は漫画を、小説に挿絵がついたもののようにとらえていた。でも本当は、漫画は小説より映画に近い。コマ割りは、カメラワークなんだ!

それが分かったときは、まさに、目からうろこが落ちたような気がしました。今まで構図をどうしていいか分からなかったのが、ふいに腑に落ちたのです。

主人公の内面に迫りたいなら、カメラは下だ。けれど、突き放したいのなら、カメラは上、神の視点だ。

目の前がひらけたような気がしました。そうして、それから自分が少しづつ上達していくのが、心から嬉しかったのを覚えています。

思えば、私は上達していくその上り坂の気分が、何より好きなのでした。今、ちょっと料理に凝っていますが、それもそう。少しずつだけど、上手くなっていくのが楽しい。

そうして趣味程度ですが、今は物語を書いたりしています。かつては、同じように少しずつ上達していくのに、高揚したものでした。

でも今、ちょっと壁に突き当たっているのです。でも思えば、私は壁を破るまでは、打ち込んだことはなかった。

今、少女の頃のあの世界がひらけた幸福感を追想しつつ、壁を破りたい、と思っているところなのです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人生はブルース。

2010-06-10 23:32:24 | 映画
セックス・アンド・ザ・シティ・ザ・ムービー[SEX AND THE CITY THE MOVIE]<¥1,500廉価版> [DVD] セックス・アンド・ザ・シティ・ザ・ムービー[SEX AND THE CITY THE MOVIE]<¥1,500廉価版> [DVD]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2010-05-21

ずうっと昔に読んだ片岡義男氏の短編に、こういうタイトルがあったように思います。

その頃はインパクトの強いストーリーが印象に残ったのでしたが、最近は年齢でしょうか、このタイトル自体が、“わかるなぁ”と、しみじみ沁みる感じになってきたのです。

先日、同年代の同僚に、「《セックス・アンド・ザ・シティ》観てた?」と言われて、「いや、観ていない」と答えたら、「そうなの……」とちょっとがっかりされたみたいでした。

確かにアラフォー必見、って感じだけど、タイトルの大胆さにちょっと引きましたし、なんとなく、キラキラ、華やかってイメージで、私には合わないと思ってました。

アメリカと日本では国民性も違うし、その点でも、積極的すぎる彼女たちに共感できないのではないかとも。

けれど、最近パート2の映画のために出演者が来日したり、それに伴ってTV番組で名場面集が放送されたりして、ちょっと印象が変わりました。

私は、お洒落と、恋愛と、キャリアと、そして友情の話だと思っていました。キラキラして強い、自立した女性たちのストーリー。

たぶん、それは間違いではないのだと思います。でもそれだけじゃなく、病気や、心の行き違いや、突然の死など、どうしようもない人生の不幸も、描かれているんだな、って。

そう、女の人生は、ブルース。それはたぶん、国が違っていても変わりはない。

パート2の映画は観に行ってみようかな、と思ったりしています。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちょっと奇妙なテイスト 『ゴールデンスランバー』

2010-02-13 00:40:48 | 映画

先日、『ゴールデンスランバー』を観に行ってきました。

伊坂幸太郎作品は、『アヒルと鴨のコインロッカー』と『重力ピエロ』は、原作は読んだけれど映像化作品は観ていなくて、この『ゴールデンスランバー』は逆に、原作は未読のまま、映画を観たかたちでした。

ゴールデンスランバー ゴールデンスランバー
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2007-11-29

で、あらかじめこんな話かなぁ、と想像していたイメージがあったのですが、ちょっと違っていました。

なんとなく、もっと爽やかな話かと思っていたのです。青春小説の名残みたいな味わいの。

ところが、“首相暗殺犯に仕立て上げられ、警察から追われる男”が主人公なわけですから当然といえば当然なのですが、まあ、人の死ぬシーンの多いこと!

しかもどこか黒いユーモアが根底にある気がして、ちょっとイメージと違うな、と思ってしまいまた。

キャラが強いのは、キルオこと通り魔の青年と、永島敏行氏演じるクレイジーな刑事。

とくに小鳩沢刑事というのかな、彼の不気味さは、観終わっていっしょに行った母と、“気持ち悪すぎる!”と言いあったほど。

一方、通り魔キルオくんは、ちょっと不思議なキャラクターでした。“突然無差別に他人に切りつける”という許せぬ犯罪者ですが、何となく憎めないムードもあって、人間離れしている感じだった。

ちょっと、西洋の悪さをする妖精みたい。パックやロビン・グッドフェローみたいな悪戯好きなタイプと、レッドキャップなどの不吉な妖精の間みたいな感じかな……。とにかく、この世のものじゃない雰囲気でした。

主人公も、堺雅人さんが演じてることもあって、絵に描いたような優男って感じなんだけど、驚くほどハートが強くて、ちょっと圧倒されました。私が警察側だったら少し不気味かも……。

観終わって母が“面白かったけど内容ナイね”といっていましたが、あんまり深く考えないでサラっと観た方がいい映画なのかもしれません。

(面白くはあったのですが……。なんか、オレンジジュースと思って飲んだものが、知らない果物のジュースだったみたいなテイストだった)

原作を読んでみると、また味わいが変わるのかもしれません。

余談ですが、そのあと母とお茶して、母が初めてワッフルを食べて喜んだのは良かったです

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする