あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

レシピ本のなかの、ひそやかな闇。

2010-03-16 23:24:19 | 本(料理の本)

LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。 (ほぼ日ブックス #) LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。 (ほぼ日ブックス #)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-03-12

帯に、“「かもめ食堂」のフードスタイリスト飯島奈美がつくる、ほんとうにおいしい22のレシピ”とありますが、私も『かもめ食堂』の映画を観て、料理がとても美味しそうだったので、飯島奈美さんのレシピ本に興味を持ってこの本を買いました。

アマゾンのレビューでは、本が小型でハードカバーなので、キッチンで見ながら作るのに不都合、とありましたが、本の内容が良かったので私としてはかなり満足でした。

いちばん嬉しかったのは、作り方の手順が、細かに写真付きで説明されていたこと。

わかりやすいのはもちろんのこと、眠れない夜などに何気なく眺めるのもいい。

レシピの内容も、ナポリタンやハンバーグ、カレーやロールキャベツなどの基本の洋食や、かもめ食堂にも出てきたしょうが焼きやおむすびなど、依然料理初心者の私にはありがたいメニューばかりでした。

そうして、合間にエッセイも入っていて、それもかなり嬉しかったのです。

最初にぱらぱらと内容を見て、谷川俊太郎さんの“ホットケーキと私”のエッセイなど読んで、さりげないけどさすがの名文、などと思っていました。

ところが、です。そのつぎに、さりげなく挟み込まれていたのです。怖いエッセイが。

よしもとばなな氏の、“カレーライスとカルマ”というエッセイでした。

ネタを割るべきではないと思うので内容は書きませんが、とても怖い話でした。これは本当の出来事かしら、掌編小説ではないの?とも思いました。

もちろん、エッセイとしては面白いのです。というか、名文で迫力があるからこそ、怖いともいえる。でも、レシピ本のなかのエッセイなのだからハートフルな内容だろうと勝手に思い込んでいた私にとっては、かなりの衝撃作でした。(しかも、書き出しはいかにも平和に始まるし)

けれど、本を読みとおしてもう一度見てみると、真ん中に挟み込まれたこのエッセイは、この本の味を引き締める、ピリリとしたスパイス、という気もします。

コメント
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