あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

名前の、ニュアンス。

2011-02-15 00:31:13 | 本(ミステリ・本格、パズラー)

スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) スタイルズ荘の怪事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
価格:¥ 777(税込)
発売日:2003-10
もう昨日になってしまいましたが、バレンタインデーでした。

昨日私は仕事がお休みでしたので、一昨日同僚にメリーのストロベリーチョコを持って行きました。

それでふと、思い出したのですけれど、メリーカンパニーのメリーの綴りはMaryですよね。

以前先輩が「マリー」と言って、一緒にいた相手に「メリー」と言い直されて恥ずかしがっていましたが、私その時ふと、でも、Maryはメリーと読んでも、マリーでも、あるいはメアリーでも、間違いではないよな、と思ったのです。

(どっちが実際の発音に近い、というのはあるでしょうが、英語の発音をカタカナ表記するのは限界がありますから)

そしてそれで、連想したのがこの本です。印象的な女性登場人物に、Maryという人がいたから。

今は翻訳が変わっているようですが、私が読んだときは、田村隆一氏の訳でした。Maryは、メリィ、と表記していたように思います。

この作品、数人女性が登場するのですが、私の記憶だと、シシィ、とか、やたら小さいイがつく名前が多かったように思います。

最初は紛らわしくて、なぜ、この人だけでもマリーかメアリーにしなかったのかと思ったものです。

でも、考えてみれば詩人である田村氏が一文でもおろそかにするはずはなく、まして名前の表記は、そうでなくてはならない理由があるはずだと思いなおしました。

そうして、本が手元にないのであいまいですが、その女性は富豪夫人で、一見淑やかな美女なのですが、“その瞳には野生のきらめきがあった。”というような表現があったと思います。

私のイメージではメアリーは平凡な女性、マリー、はちょっとお嬢様を連想させます。そしてメリーは、ジョン・フォードの西部劇に出てくる酒場の女性のような、ちょっと伝法な感じ。

それが、メリィ、と小さなイがつくと、すこしセクシーなニュアンスというか、仄かな色っぽさを感じさせるように思います。

名前を口ずさんでいるうち、楚々として控え目でありながら、その目の中に野生のきらめきを持つ女は、やはりメリィでなければならない、という気がしました。

小さな違いですが、不思議です。そのことでその時の鮮烈な印象は、いまも胸にあるのです。

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勝負のこころ。

2010-12-03 01:06:47 | 本(ミステリ・本格、パズラー)

利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18)) 利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18))
価格:¥ 756(税込)
発売日:1985-08
今日、なにげなく『アメトーーク』にチャンネルを合わせたら、競馬大好き芸人さんたちが熱く語っていました。

ギャンブルには興味のない私ですが、馬の美しさには魅かれるので、競馬だけはちょっぴり気になります。

ところで『アメトーーク』は、ゲストにたいていそのテーマにはそれほど関心のない(あるいは知識のない)女性タレントが出てますが、今回は千秋でした。

その彼女が、「馬も、レースに勝ちたいと思うの?」と素朴な質問をしていて、競馬芸人さんたちは「思う、思う」と口々に答えていました。

それで思い出したのが、ディック・フランシスのミステリーです。

このシリーズはエンターテインメントとしてすぐれて面白いのですが、作者はミステリ作家になる前は、有名な競馬のジョッキーでした。(障害走だったと思う)

ジョッキーとして超有名かつ強かったので、引退後作家に転身した当初はゴーストライターがいる、と思われたほど。

で、このシリーズの主人公は作者と同じ障害走の元ジョッキーで、引退後探偵になったシッド・ハーレーという男ですが、その彼が事件の調査の過程で、障害馬にのってみるシーンがあるのです。

手元に本がないので曖昧ですが、こんなシーンだったと思う。

軽く流して走った後、いよいよ障害を飛ぶ、となったとき、

“馬はもうその気になっていたから、仮に止めようとしても止められなかったと思う”

と、シッドのモノローグがあったと思うんですよね。それで、“へえ~、馬の方も、勝負する気持ちというか、自主的に戦ってる部分あるんだな”とその時思いました。

その一途さがちょっといじらしかったりして。

そのシーンがどの本に入っていたか、ちょっと思い出せないのですが、(スイマセン)シリーズの中でまずおススメするのはこの『利腕』です。

シッドは、身長が同じ(5フィート6インチ)だったので勝手に親近感もってました。

でもその身長は高校生時のもので、大人になって計ったら170センチだったので、5フィート7インチの方が近かった

でも、『アメトーーク』をきっかけに、またシリーズを読み返したくなりました。

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イメージ崩壊!

2010-10-21 23:28:24 | 本(ミステリ・本格、パズラー)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫) 春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
価格:¥ 609(税込)
発売日:2004-12-18
最近『インシテミル』という映画が公開されて、出演者の方が番宣番組に出演したりしていますね。

それをボーっと観ていて、「ああ、サスペンスかぁ……嫌いじゃないけど、映画は無理だな。怖すぎる感じだし……」と思っていたのですが、原作者を知ってちょっと驚きました。

米澤穂信氏だったんですね~こういうストーリーを書かれる方とは思わなかった!

なにしろ、私の唯一持ってる米澤作品が、上記のこのシリーズなので。

内容は、日常の謎、ってヤツですかね。たとえば、雑な性格の男の子が丁寧に作らなくてはならない“美味しいココア”を作れたのはなぜか?とか。

探偵役は高校生の男の子で、その相棒(?)は同級生の女の子。

2人の共通目標は小市民として生きること……と、生き残り心理サスペンス『インシテミル』とはだいぶイメージが違います。

それにタイトルからうかがえると思いますが、とにかくスイーツがよく出てくる!

とくに続編『夏期限定トロピカルパフェ事件』は、出現率の多さに、読んでいるとなんとなく口の中が甘くなってくるほど。

ただ、ちょっとビターな結末が待っているので、バランスとれてる気もしますが……。

(まだ買ってないけど、『秋期限定……』もあるのです。ということは冬季限定まで行く?)

他にも学園ミステリがあるらしいし、デリケートな青春ものを書くひとだと思ってた……。

でも、興味は湧きました。『インシテミル』映画は無理だけど(私はホラー小説は好きでけっこう読むのですが、映画はダメ。ダイレクトに恐怖が来るので怖すぎる)小説の方は読んでみたくなりました。

今たまっている積読本が減ったら、手に取ってみようかな……

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熱と迷宮。

2010-07-06 22:13:20 | 本(ミステリ・本格、パズラー)

夏風邪をひいてしまいました。

土曜日あたりからちょっと微熱があったのですが、日曜日、高校の時の先輩にメール貰って、先輩も“調子悪くて薬飲んでる”とあったので、あらら大変、お大事になんて返事を送っていたのですが。

その後自分もあれよあれよといううちに熱が上がって38度近くに。

幸い、月、火と仕事が休みだったので寝ていてなんとか持ち直しましたが、夏風邪ってうっとおしいものです。

そうでなくても、若い頃から夏には一度は暑気あたりになり、そうするともう寝てるしかないので、よくそういうときは込み入ったタイプの本格ミステリを寝ながら読んでいました。

熱でぼおっとした頭で読むと、迷宮をさまよう感覚がリアルになって、気分が盛り上がる気もしたので。

そんな迷宮ミステリ(?)として私が一押しだったのはこれでした。

匣の中の失楽 (講談社ノベルス) 匣の中の失楽 (講談社ノベルス)
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:1991-10-30

タイトルにちょっと暗示がありますが、このミステリは、入れ子の箱のような構成になっていて、作中作があるのですね。

そうして、物語の中の虚構と、現実とが溶け合って境目が分からなくなるあたりが、たまらなく好きだった二十歳の頃の愛読書でした。

最近、字の詰まった本が読めない傾向にある私ですが、今の時代の迷宮ミステリには、どんな本があるのでしょう。

以前この本を教えて下さった方が、このタイプのミステリの系譜は、『黒死館殺人事件』→『虚無への供物』→『匣の中の失楽』だと言っていたのですが。

その後を継ぐミステリがあるなら、読んでみたいものです。

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いなくなってしまった。

2009-10-14 23:20:32 | 本(ミステリ・本格、パズラー)

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア) 犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-07-21
いなくなったのです、犬が。

と、いっても本当の犬ではありません。

職場の先輩が作ってくれた、ビーズ細工のダックスフント。ストラップになっていました。

それを、私は名札に下げて2、3年ともに過ごしてきたのですが、最近、ストラップが切れてしまいました。

“あ、落ちた!”と思って、拾ってポケットに確かに入れた、と思ったのです。

ところが、家に帰ってジャケットのポケットを探ったら、犬は忽然と消えていました。

無意識にバッグに入れ直したのかも、と思ってバッグの中身も全部出してみましたが、やっぱりありませんでした。

ちょっと泣きたい気持ち。せっかく作ってくれた先輩にも申し訳ないし、長い間一緒にいたので、ダックスフントにも情が移っていたので。

上記の本のタイトルが頭にちらつきました。

(さ、探してほしい……(p_-))

未読ですが、最後まで読むと、このタイトルの意味が効いてくる、ということなので、そのうち読みたいと思っています。

それにしても私の犬、どこにいってしまったのでせう……(T_T)

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