あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

憧れの会話。

2010-10-30 00:01:55 | 本(ミステリ・社会派)

今現在ブログのテンプレートのデザインをハロウィンにしているので(来月になったら変えますが)ハロウィンに関係する本の話をひとつ。

ハロウィンといえばレイ・ブラッドベリ、あるいはピーナッツの登場人物ライナスの“かぼちゃ大王”かな、と思いますが。

でも、私が一番に思い出すのはこれ。

魔術 (ハヤカワ ポケット ミステリ―87分署シリーズ)
価格:¥ 968(税込)
発売日:1989-02

原題はたしか『トリック』ですよね。“トリック・オア・トリート”。ごちそうしないと、いたずらするぞ。

普通は微笑ましい子どものための行事ですが、これはそこを逆手に取った犯罪の話です。

この87分署シリーズ、エド・マクベイン原作の警察小説で、池波正太郎の『鬼平犯科帳』に影響を与えたとも言われる作品。

その中の1作『キングの身代金』は、黒澤映画の『天国と地獄』の原作としても有名です。

私は20代の頃このシリーズにハマりまして、ことに魅力的だと思ったのはその会話でした。

小説の中の会話って、話の本筋に関係ない部分は省かれるじゃないですか。小説家志望者の未熟な文章への批判に“「何にする」「俺コーヒー」「俺も」なんて会話に3行も費やさないでほしい”というようなのを読んだことがあってその点は共感しますが、かといって、あまりにも無駄がない台詞だと、なんだかリアルじゃない気もしますよね。

その点、エド・マクベインって人は巧いんですよ。会話が行きつ戻りつしたりする。

「そのとき〇〇がこう言って――あ、前に話したっけ、〇〇っていうのは、俺の高校時代の友達なんだけど……」なんて会話文があったりする。

だいたいそういう無駄話をするのは主人公キャレラとマイヤー・マイヤーなんですけどその会話を読むのが心地よかった。

けど、これって安易に真似られないんですよね。エド・マクベインって人はもともと脚本家で(私の記憶では『暴力教室』やヒッチコックの『鳥』が彼のシナリオではなかったかと)会話のプロなんです。どの程度無駄をそぎ落とすか、遊びを入れるか、その塩梅が身についている。

でも、その手際の鮮やかさに、憧れたものでした。こんな会話を書いてみたい!

余談ですが、この87分署シリーズ、何度か日本でもテレビドラマ化されていて、以前渡辺謙氏が主人公のキャレラにあたる刑事を演じていたことがありました。

私はイメージあってる、と思っていたのですが、原作者のエド・マクベイン氏もそうだったのではないかと思えるエピソードがありました。

『ラストサムライ』がアメリカで公開されたとき、マクベイン氏がシリーズの翻訳者の方に電話してきたそうです。「あの映画に出ているケン・ワタナベという人は、以前キャレラを演じてくれた俳優ではないか?」と。

印象強かったんだな、と嬉しくなりました。

そのマクベイン氏も、数年前に亡くなりました。新作がもう読めないと思うと、淋しいです。

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猫のいる風景。

2010-10-29 23:19:27 | 本(写真集・ビジュアルブック)

今日、同僚からチュニジアで撮った猫の写真をもらいました。

同僚はこの10月、中東経由で北アフリカに入り、スペインに移り、また北アフリカにもどる、という長めの旅行に行ってきたのですが、モロッコがメインと思っていたのが、旅の終わりに立ち寄ったチュニジアが思いのほか良かったそうです。

カルタゴの遺跡などの観光地もあり、白い壁に青い扉の美しい街並みなど、印象に残るところが色々あったとか。

そうしてふと、彼女に聞かれました。

「チュニジアにはたくさん猫がいたんですけど、以前“チュニジアには猫が多い”って教えてくれたの〇〇(私の名前)さんでしたっけ?」

え、私だったっけ?と、まったく記憶がなかったのですが確かにこの本は図書館で借りたことがありました。

地中海の猫 地中海の猫
価格:¥ 2,310(税込)
発売日:2000-11

手元に本がないのですが、この中にあったのかなぁ、チュニジアの猫……

猫がいっぱい、というとどうしても『猫の泉』という哀感のある怪奇短編を思い出してしまう私ですが

でも同僚がくれた写真には、若い男女(画学生?)が猫をスケッチする様子と、悠々としてモデルになっている猫とが写った、微笑ましいものがありました。

海外旅行には縁のない私ですが、猫のいる白い街の風景は、見てみたくなりました。

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福袋ドキドキ!手ごわく深いチーズの世界。

2010-10-28 11:06:50 | インポート
福袋ドキドキ!手ごわく深いチーズの世界。
またまた買ってしまいました。

オーダーチーズ・ドットコムのチーズの福袋。

高級チーズは確かに美味しい!しかし高価だ。 贈答用ならいざ知らず、自分で日常食べるには贅沢過ぎる……。

と思いつつ、今回創立20周年記念メモリアル福袋、という名前に惹かれて、ついつい購入。

チーズ好きの友達の誕生日も近いし、良さそうなチーズあったら差し上げられるし、って気持ちもありました。

で、届いたのがこれ。

まずは、まあまあ満足。欲を言えば私はハード、セミハード系のチーズが好きなので、もうひとつふたつ入っていれば大満足だったのですが。

でも、ハード、フレッシュ、熟成士チーズ、変わり種と、バランス良く入っていて楽しかったです。

奥のブレンドミックスチーズは料理に使いやすくありがたいし、大好きなパルミジャーノ・レジャーノも入ってました。

他ブリー、青カビチーズの王ロックフォール、デザートチーズのアロマチゼやクリームチーズ・フルーツラムなど。

嬉しかったのは、前からちょっと興味あったくるくる模様のホワールがあったこと。ガーリックやハーブが練り込まれているそう。

逆にちょっと恐いのは、ハート型の可愛い形なのに、味は強めだというヌーシャテル。

ゴーダチーズに生姜が乗った、アフィネ・オールド・ジンジャーは、面白いので友達にあげようと思っています。

他、クラッカーなども入ってました。

初めてのチーズって、うわっと思うこともありますが、好奇心旺盛なのでちょっと楽しいです。

でも、使いやすいのはスタンダードなタイプですけどね~。

しばらくはやはり贅沢なので自重しますが、待つ時のワクワク感と初めてのチーズの驚きが楽しいので、またいつか買ってしまうかも?と思いました。

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少し羨ましかった話。

2010-10-26 23:46:06 | 日記・エッセイ・コラム

先日、田舎から母の兄夫婦、私には伯父と伯母にあたるふたりが遊びに来ました。

若い頃に親を亡くした母は、実家を守ってきた伯父と、祖母を看取ってくれた伯母とを、親に孝行する代わりに一度温泉にでも招待したいとずっと思っていたそうです。

それが今回実現して、叔父たちを呼び寄せ、伊香保温泉に泊ってきたのでした。

ところで、母の兄弟たちは、母と同じようにみんな猫好き。もちろん叔父の家でも猫を飼っています。

けれど話を聞いて驚いたのですが、叔父の家の雄猫は、なんと今年で22歳だというのです!

この猛暑で少し弱っていたけれど、秋になったら持ち直したそう。

でもその夏うっかり伯母が言った言葉で、娘(私にとっては従姉妹)を怒らせた話を聞きました。

「〇〇(従姉の名前)は、その猫がめごくてしかたねぇもんだから、“はあ、そろそろだな”と言ったらごしゃかれてごしゃかれて。“母ちゃも、年取ったからそろそろだなんて言われて面白いだか!”って言われてよ」

あ、両親の実家は岩手県です……分かりにくいですね、つまり、従姉はその老猫を溺愛していて、伯母が高齢だしそろそろ危ないかも、と言ったら激怒し、お母さんも、としとったからそろそろ(逝く)だろうなんて言われたら面白くないでしょ!と言ったというんですね

従姉はなかなかの美人でして、私は“あの美女がそんなことを?”と少しびっくりしましたが、気持ちはわかりますね~

でも、夏を乗り越えたら猫はまた元気になったそうで、あとで母と“羨ましいね、羨ましいね”と言い合いました。

さて、話は戻りますが、温泉につかってお喋りした今回の小旅行を、伯父夫婦は本当に喜んでくれたそうです。

伯父は、「〇〇(私の名)も、北上に来たらよかべっちゃ。伯父さんもいつまで生きるかわからねぇんだからス」と言ってましたが、母も、「夏祭りがいいから来(こ)、来、って言ってたよ。神楽や鬼剣舞(おにけんばい)もするからって」と後で教えてくれました。

いつか行きたいねぇ、と母と言っているところです。

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猫とストーブ。

2010-10-24 23:51:25 | 日記・エッセイ・コラム

寒くなったので、石油ストーブを出しました。

ストーブを出すと、この5月に逝ったうちの老猫のことが思い出されてなりません。

ストーブがとても好きな猫でした。

毎年、秋にストーブを出すとそれが何なのかちゃんと覚えていて、“あっ、これこれ!”って顔になりました。

そうして、スイッチを入れる(音楽が鳴るタイプ)と、嬉しそうに手に頬ずりしてきて、ストーブの前にころりと寝そべりました。

寝そべっているうちに気持ちよさそうにのびをして、その伸ばした足の裏の肉球を私がふにっと指で押すと、目を細めて、“ああ、幸せ”って顔をするのを見るのが好きでした。

だから、ストーブの前にあやがいないのが、しみじみ淋しいのです。

折しも、猫を飼っている先輩から悲しい知らせが届きました。

うちの老猫は18歳でしたが、それでも逝ったときは後悔がありました。

まして、先輩のところの子は、まだ1歳だったのです。どんなにか悲しまれているだろうと思うと、こちらの胸もつまりました。

長い時間がたてば少しずつ受け入れられるだろうと思っても、ふとした瞬間に思い出すこともあります。

先輩が少しずつ元気になること、それからその猫ちゃんが安らかであることを祈りたいと思います。

それから、うちの老猫あやのことも。

ストーブつけたよ、戻っておいで。

つい、そうつぶやいてしまう日々です。

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