あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

不安だけれど、素敵な言葉 『おりおりのおりょうり』

2009-12-31 18:45:54 | 本(料理の本)

おりおりのおりょうり―おいしい毎日と愉快なお話し (集英社be文庫) おりおりのおりょうり―おいしい毎日と愉快なお話し (集英社be文庫)
価格:¥ 750(税込)
発売日:2004-10
料理文庫が好き、という話を以前しました。

その中でも一番好きな一冊、というと、たぶんこの本になります。

枝元なほみさんの、『おりおりのおりょうり』。

私にとっての実用性の点では、『100文字レシピ』の方が上ですが。

(私にはエスニック料理の引き出しがまったくないので)

でも、なぜこの本が一番かというと、それは枝元なほみさんの、エッセイによるものなのです。

元々、私はエッセイのたくさん入った料理本が好き。料理人の方の気持ちに触れると、その料理もぐっと身近になってくる気がします。

そうして、枝元さんのエッセイは、赤裸々度というか、心をさらけ出す感じが強くて、こっちの共感度も深くなる気がするのです。

たとえば、こんな文章。

“働きすぎてる。わかってる。

私は仕事にひきこもっているんだ、おそらく。大雨にうたれたみたいにずぶぬれに疲れてる。目を閉じるとふるえるほどだ。

時間を使い果たしている。破産宣言をしてもいいほどだ。具体的にいろんなところで時間が足りないのだ。料理の素材が足りないようにだ”

現代人の大人なら(もしかすると子どもも?)多くの人がこういう気持ちを味わったことがあるはず。こっちの胸もキュッとなる。

けれどこの文章はこう結ばれる。

“それでも、朝起きると、空は晴れていて清々しくて、はちみつしょうがなんか飲んでみて、仕事の試作で作ったカレーピラフなんかも試食がてらに朝ご飯で食べたりしてたら、「あら、けっこうだいじょぶだ、私」

「ごはん、ありがと」って思ったんです”

ああよかった、そうだね、ご飯ってありがたいよね、って気持ちになりました。

こんな文章にも、ひかれた。

“私、つい最近、海のものとも山のものとも知れないというフレーズが気に入っています。すごいことだと思うのです。今でこそ、私は、料理の人です。でも、あの頃はまさかこんなふうにこんな仕事をするなんて思ってもみなかったのですから。

 なんか、そういう頃ってよいな”

すごく不安定だけど、不安定ゆえのパワーがある、というのですが、思えば私は、この歳になっても海のものとも山のものとも知れないのだな、と苦笑もしました。

妻でも、母でもなく、何物でもない。

すごく不安になることもあるけど、でもこの本を読んでみると、それでもご飯食べて、生きていくしかないよね、っていう気分にもなる。海のものとも山のものとも知れないって、不安だけれど、素敵な言葉だ。

新しい一年が、また巡ってきます。

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冬休みにおススメの一冊 『精霊の守り人』

2009-12-30 22:38:58 | 本(児童書・絵本)

精霊の守り人 (新潮文庫) 精霊の守り人 (新潮文庫)
価格:¥ 580(税込)
発売日:2007-03
古典になっていない児童文学の中で、私が最も素晴らしい、と思ったのがこの本です。

もっとも、シリーズが始まったのは10年以上も前のことですが、寡聞にして存知あげなくて、私がこの本を読んだのは最近のことです。(2年前くらい)

でも、図書館の子ども室でこの本を見たとき、きっと面白いはずだと思いました。

それはなぜかというと、本がボロボロだったからです。

たくさんの子どもたちに愛された本なのだと思いました。そして読んでみると、期待を裏切らない内容でした。

“バルサが鳥影橋を渡っていたとき、皇族の行列が、ちょうど一本上流の、山影橋にさしかかっていたことが、バルサの運命を変えた”

という、ドラマチックかつ切れの良い書き出しに、まずやられてしまった。

背景世界の緻密さや、骨太のストーリーにももちろん惹かれ、子ども騙しでない、子どもを馬鹿にしていない児童文学であることも感動したし、こんな児童文学があったのか、と思いました。

キャラクターが生き生きしているのは、いうまでもないことですし、『バルサの食卓』の記事でも書きましたが、出てくる食べ物がおいしそうなのも、世界の実感が響いてきて嬉しいのです。

一冊一冊、大切に読むのもいいのですが、長い休みに一気に読むのもいいのかな、と思って書きました。

大人が読んでももちろん面白いのですが、子どもたちはもっと、異世界にすんなり入っていけるのだろうな、とちょっと羨ましい。

私もシリーズ全部を読み切っていないので、心を研ぎ澄まして、この鮮やかな世界に入っていきたい、と思っています。

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猫の時間

2009-12-30 21:57:25 | ペット

猫を飼っている人ならご存知のことかと思いますが、たとえば完全室内飼いじゃない場合、外で会った自分の飼いネコが、妙によそよそしいことってありますよね。

それは、猫が飼いならされる以前の性質、つまり野生にかえっている時なのだと、何かの本で読んだことがあります。

もちろん室内買いの猫にも、そういう時はあります。そうして、あや子は今までの猫に比べて甘ったれなので、よけいその落差が目立ったものでした。

私が、「なんでそんなにそっけないの!」とちょっと怒ると、母は「怒らないで。今、あやは猫の時間なのだから」と言いました。

「猫の時間?」と尋ねると、母は、「そう、あやは猫の時間と、人間の時間があるの。人間の時間の時は、こっちの言うことがよく分かって、心が通じ合うの。でも、猫の時間も、この子には大切なの。だから、怒らないで」と言いました。

なるほど、猫の時間かぁ……、言われてみればねぇ、と思ったものです。

ところが、最近気づいたのです。あやの、猫の時間が少なくなっていることに。

それは、今年に入ってめっきり弱ってからのような気がします。

一日中こんこんと眠っていることが多いので、その中で猫の時間を処理しているのかもしれませんが、具合が悪くて不安なので始終甘えたいのではないかと、こっちも不安になったりします。

今も、膝の上で時々私を見あげるので、撫でたり、抱きしめたりします。

あや、猫の時間も大切にするから、なるべく長く一緒にいてね。

そう、願ってしまう歳の暮れです。

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絵がわりしないので……。

2009-12-28 23:46:23 | ペット

絵がわりしないので……。

最近友達に、「最近あやちゃんの話題がないね」と言われました

無いわけじゃないのですが、最近あや子は日がな一日寝てばかりいて、写真撮っても絵がわりしないんです

いつも同じような写真になっちゃって、見る人は面白くないかなぁ、と。 ウチの家族にとっては大切な猫でも、ひと様にとってはただの老猫だから……

ちなみに最近は、朝までコタツの中で寝ていて、朝になると母の部屋でお日様に当たろうとします 窓から差し込む日光の位置が移り変わるので、えんつこ(猫用ベッド)を私か母が少しずつ動かします。

日が差し込まなくなると、コタツに戻るか、ストーブの前に寝転びます

あんまり寝てばかりいるので、時々私は揺り起こしたりしますが、最近それでちょっとビミョーなことがありました

あやがコタツで体を半分出して寝てたのですが、ふと見ると頭の近くに大きなカマドウマが! その手の虫が大嫌いな私は、思わずあやが頭を乗せてる座布団を叩きました

当然驚いて起きたあやに、私は「あやちゃん、見て!カマドウマ!」と指差して教えました。

するとあやは何を思ったかその私の手を嬉しそうに舐めて、またコトッと頭を座布団に落として寝てしまいました

思わず「寝直すなっ!」と突っ込みました

よく起こすので、あやはいつものことだと思ったみたい。

「もう!悪戯っ子ねぇ」というような、けっこう嬉しそうな顔が忘れられません

ちなみにカマドウマはなんとか追い払いました

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ドライフルーツとカマンベール、初体験!

2009-12-26 00:52:18 | 食・レシピ

ドライフルーツとカマンベール、初体験!
このドライフルーツも、友達がクリスマスに贈ってくれたものです。 友達は、カマンベールチーズとドライフルーツ、ナッツの組み合わせで食べるのが好きなのだとか。 私は、この組み合わせは初めて試すものでしたが、カマンベールとドライフルーツを一緒に食べてみました。 ミニサイズのカマンベールを四ツ割にし、それぞれ、杏、無花果、レーズン&クランベリー、トマトをのせました。 私が1番合うかも、と思ったのはフィグ、無花果でしたね。 杏も、酸味が塩気のあるチーズと意外にマッチして、大人の味わい、といった感じ。 思ったより甘いトマトはお菓子みたいだったし、レーズンとベリーも違和感なかったです。 自分ではまず、思い付かない食べ方。 知らなかった楽しみ方を教えてくれた、友達に感謝です。

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