東京・ウサギSATELLITES

兎についてきた人だけが迷い込む不思議な衛星

下北沢で時を越える

2013-03-31 | 日記
10年ほど前【ホーリーランド】というドラマの影響で下北沢に初上陸しました。


喧嘩のシーンなど過激な描写のあるドラマですが、登場人物たちの心の機微やそれを演じる俳優さんたちが素晴らしくて、またそれらを包み込む街並みの雰囲気が良くて踏み込んだのでした(←詳しくは、いつか大阪ウサギにて)



訪れるまでは‘若者の街’というイメージが強かったけれど、実際に行ってみると老若男女がのんびりと歩いていて繁華街を30分ほどで一周できる小さな素敵な街でした:-)


そこで、私は思い出深い体験をしたのです。





現在もあるか分からないけれど、店内に常設された本を読みながらお茶を飲めるカフェがありました。そこで手にしたのは池波正太郎さんの『旅は青空』(新潮文庫)という旅行記。食べ物や風景の描写、共に旅する仲間への眼差し、すべてが温かくて夢中になって読んでいました。


…実は私はそれまで池波さんが書かれたものを読んだことがなくて勝手なイメージでお堅い人と決め付けていたのですけど、本の中の温かくユーモラスな人柄に瞬く間にファンになっていました。


さらなる興味でプロフィールをネットで調べてみると・・・ドラマ化もされた著書の名が次々と登場し、旅行記や料理に関する本もあり、ワクワクしながら現在に至った時……池波正太郎さんがすでに旅立たれていたことを知りました。。。


本が発行されたのが昭和62年。時を経て今私の心の中に鮮やかに現れた方はもう、いない。本の中で生き生きと行動している方はもう………


一気に時を越えてしまったようで、私はなんとも言えない気持ちで窓の向こうの風景をじっと見つめたのでした。。。



その後、同じ本がほしくて探してみたのですけどなかなか見つからず(ちなみに私はネットで買い物しない派)きっといつか手に入るだろうと心の奥に想いは沈んでゆきました。


そうしてしばらく経ったある日、、、古本屋さんで偶然に再会∞本を手にしてじっと見つめたのはいうまでもありません。。。





最近ニュースにて下北沢の駅が地下化したと知りました。


そういえばだいぶ行ってないな~と考えつつ、あの日の出来事を思い出し、また切ない気持ちが芽生えた春なのでした...
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