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れっちゃん一家の日常、ときどきデンマーク住宅

音楽と猫が大好きなれっちゃん一家。デンマーク住宅(odinhome)での家族5人とChipieたんの日常生活記録です

No.372 ■日本の住宅燃費について考える その3

2013-11-01 18:08:40 | 住宅について思うこと
住宅燃費=エネルギーパスというものがあります。

これは車の燃費性能と同じように、家の燃費性能を表したものです。そして、EUでは「家の燃費」を表示する証明書として、家を取引する際(売買はもちろん賃貸も)に表示しなければならないとされています。
床面積1m2あたり○○kW時必要という形で数値化され、誰でも簡単に家の燃費を確認する事ができるということです。


一方、日本で省エネを表現する場合はどうでしょう。
月々の光熱費はいくらくらいですよ。だからお得ですよ!という言い方しか私は聞いたことがないような気がするんですが・・

カーテンなどを利用することによって冷暖房効果をアップできます
リフォームで内窓を付けるといいです
こういうのはOKです。各人が自分で取りかかれるエネルギー節約方法としてこれらは正しいと思います。

でも、内容があまりに寂し過ぎると思うのです。

そして、それらの表現に共通なのは
全て金額に換算した表現しかされていないということ!

一ヶ月トータル¥¥¥ですよ。
いままでよりも安いでしょう → 省エネでっせ!


こう言っているに過ぎません。

トータルで電気を○○kw使用しました。
それは、導入以前とこれだけ使用量が少なくなったんです → 省エネです。

こういう視点で説明しているものを見たことがありません。


日本エネルギーパス協会というところがあります。

少し長いですが、こちらのサイトに書いてあることを引用させていただきます。

エネルギーパスとは、EU全土で義務化されている
「家の燃費」を表示する証明書


エネルギーパス証明書
EUでは一年間を通して快適な室内温度を保つため為に必要なエネルギー量が明示されています。
床面積1m2あたり○○kW時必要という形で数値化されており、誰でも簡単に家の燃費を確認する事ができます。

例えば、30kW時/m2の燃費性能をもつ床面積100m2の家の場合、一年間で必要な冷暖房エネルギーは3000kW時です。この家のエネルギーを全て灯油で賄う場合は一年間で300Lの灯油が必要です。(10kW時の電気は1Lの灯油と同じエネルギー)※1

※1
10kW時の電気エネルギーは概算でおよそ1Lの灯油エネルギーと同等。30kW時/m2の燃費の建物は3L/m2とおよそ同等。このレベルの燃費性能の家のことを、3リッターハウス、あるいは30kW時ハウスなどと呼びます。

エネルギーパスの登場以前は、全ての建物で省エネルギーに関する共通の「ものさし」が無かった為、住宅購入者はおろか工務店やハウスメーカーなどの造り手ですら分かりませんでした。「省エネ住宅」とか、「超省エネ住宅」「外断熱住宅」「無暖房住宅」「3リッターハウス」「パッシブハウス」「ソーラーハウス」などの様々な省エネ住宅がありますが、名前だけではどれが低燃費なのか、さっぱり分かりませんでした。

そこで消費者保護や地球温暖化対策として、家の省エネ性能が一体どれくらいなのかを、一般の住民にも分かり易く表示する「燃費のものさし」としてエネルギーパスが開発されました。エネルギーパスは、住宅のエネルギー消費量の削減に関心を持ってもらうと共に、実際の賃貸契約や売買契約の主要な条件の1つとして、エネルギー性能を考慮する為に開発されています。このエネルギーパスによって、居住者はより快適で光熱費のかからない家を求めるようになり、ヨーロッパ全土で省エネ住宅が爆発的に普及するようになりました。

ところで、あなたは「ご自宅の燃費」を把握しておりますか? エネルギーパスの普及しているヨーロッパでは、「うちは○○kW時/m2だよ!」とすぐに答えが返ってきますが、残念ながら今の日本ではこの質問にはっきりと答えられる方はいらっしゃいません。
「電気代は月に1万円、ガス代は・・・」と実際の光熱費をこたえられる方はいらっしゃいますが、これは燃費性能ではなく、実際に支払ったエネルギー価格。車でいうと月のガソリン代を答えているようなものであり、○○km/Lという「燃費性能」とはちょっと違います。

ガソリン代は走り方や運転する環境やガソリン価格によって大きく変動するものです。極端な例では、同じガソリン代が月5,000円でも、一ヶ月に200km走っている場合と、800km走っているのかで燃費は何倍も違います。ガソリン代だけを聞いても、車自体の燃費性能を把握することはできません。同じ理由で月々の光熱費を聞いても家の燃費を正確に知る事は出来ません。住人が暑さ寒さを我慢するほど、省エネ性能の高い家という事になってしまいます。
我慢しなくても省エネ性能の高い家こそが、本物の低燃費住宅です。

自動車のほかにも家電でも年間の消費電力が明示されていますが、24時間つけっぱなしである冷蔵庫などは、10年前と比べて消費電力が半分以下になっていることが分かります。新規に購入する場合や、買い替えの際には、この表示されている年間消費電力は大きな判断基準となっています。このように、自動車や電化製品では必ず表示されている「燃費性能」が、一生で最も大きな買い物のはずの住宅に無いことは、今思えば非常におかしいことだったのではないでしょうか。

2011年7月に、日本でも「家の燃費」を表示する為に、日本エネルギーパス協会が発足し、日本版エネルギーパスの発行が始まりましたので、今後は「家の燃費」が日本においても明確になっていくことでしょう。

ほんの一例をご紹介すると、100m2の戸建住宅があり、エネルギーパスに40kW時/m2と表示があった場合、この家は全室において一定範囲の室温(※2)で24時間、365日の一年間を過ごすと4000kW時のエネルギーが必要な家である事が分かります。この家に最近のエアコンを取り付けた場合、一年間の冷暖房費はたったの24,000円(※3)、小さな部屋用のエアコン一つで、家全部が快適な空間に出来ると言うことを意味しています。かなり低燃費な家ですね。

※2
国交省と経済産業省では、告示で、建物の燃費計算の際は、一年間を通じて室内温度を18度~27度に保つことを想定しています。

※3
COP4=最近のエアコンでは1の電気で4の空調エネルギーを造り出すことが出来ます。4000kW時÷4→1000kW時のエアコン用電気が必要とみなし、電気代24円で計算。

このように住む前に家の燃費が計算できるようになると、燃費の悪い家は、家賃や売買価格が低くなり、逆に燃費の良い家は家賃や資産価値が高くなります。今はまだ日本ではこのような家の燃費を知るすべがありませんが、10年以内にはヨーロッパのように、住む前に家の燃費を知ることが出来る、そんな時代がすぐそこまで近づいています。




同協会が紹介された記事


大きいphoto


もちろん、ことはそう簡単ではありません。
でも、住宅燃費性能が数値化され、それが住宅の価値(評価)を高めることにつながるのは重要です。

日本の住宅寿命が、世界標準でものすごく短いというのはいろんなところで言われていますよね。
もちろん地震リスクがあったり、さまざまな外的要因もあります。

また、不動産取引の評価基準にも問題があります(特に戸建てに関し、いわゆる土地本位制と揶揄されます)
建物の価値を無視した評価基準を改めるべく、業界でもいろいろ試行錯誤をしていますが、一朝一夕には行きません。

大手ハウスメーカーが結束して中古住宅の価値を上げていこうという取り組みもあります(ただし自社が供給した物件)

きちんとメンテナンスされた建物、性能を担保した建物に関して、正当な評価をしてあげることは本来当然なのですが、今の日本では全くそういうことがされていないのが現実です。

同じ場所に建っている建物であれば、上物がどうであろうと築後年数により減価された建物価値+土地価格が中古一戸建ての査定の基礎になってしまうのが現状なのです。
不動産取引は相対で決まるため、市場が価格を形成する側面もあります。それでも、その市場の物差しそのものがゆがんでいることも事実なのです。

この流れを変えるためにも、きちんとした建物価値を評価算定する基準が必要で、その根拠の重要なファクターとして燃費性能は意味を持つと思います。

もっとも、今でも「住宅の品質確保の促進等に関する法律」があり、この中に「住宅性能表示制度(新築住宅・既存住宅)」というのが実際にはあるのですが、取得は任意です。
また、この中の温熱環境(新築のみ)に関しての最高等級は、前回の記事にも書いた次世代省エネ基準になっていればOKというものでしかありません。


なお、住宅の性能そして品質に関してはもちろん燃費だけではありません。
構造面はもとより、耐久性・メンテナンス性もしかりです。品確法では省エネ対策(温熱環境)を含め10分野の規定があります。
燃費のことだけを特別視して、あとはどうでもいいということではもちろんありません。

ただ、普段私たちが生活していてもっともストレートに住み心地として感じるのは間違いなく温熱環境面だと思います。

住宅の燃費性能がこういった取引にもきちんと反映されるようになれば(これも市場が決めるのですが)、日本の住宅寿命も間違いなく伸びてくるはずだと思います。

そのためには、作り手のみならず私たち住んでる当事者にも意識の改革が求めらます。

新築の引き渡し時に、また中古不動産取引時にこの数値を明示するのが義務になれば飛躍的に導入が進むでしょう。

そうすれば、その数値が差別化になりハウスメーカー間の競争も進むはずです。

ただ、ハウスメーカーによってはいやがるかもしれませんね。

わが家もエネルギーパスを計算してみてもらいたいですが、知るのが楽しみなのと不安なのと両方あるのが正直なところです。


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