ようやく明日で首都圏の緊急事態宣言が終わろうとしています
しかし、まだ新型コロナウイルスの新規感染者状況がよくなったようには見えません
まだまだコロナ前の生活に戻ることは想像できませんが、自分で出来ることをしっかりとやることだけだと思っています
さて、今回は久々の当ブログの原点である家造りについてのテーマです
皆さん、現国会議員で気になる方はいますか?
私は河野太郎さんに並々ならぬ期待をいだいています
その河野さん、今はワクチン担当大臣として表に出てくることが多いですが、今の現職を調べてみると・・
「行政改革担当大臣」「国家公務員制度担当大臣」「新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣」「内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)(規制改革)」・・と、こんなに兼務されてるんですね
そして、先日とあるサイトで知って、以下のYoutubeを見ました
第5回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース 2021.2.24

これから家を建てようと思っている方はもちろん、本当の高気密高断熱住宅や省エネについて知りたい方にぜひ見ていただきたい内容です
全部見ると2時間を超えますが、時間をかけるだけのことはあります
本当におススメですので、その中の一部について紹介したいと思います
このYoutubeの冒頭と最後に、河野太郎規制改革内閣府特命担当大臣の発言があります
これが建築業界の一部で話題になっている?そうですが、あらためてファンになりました!
<河野太郎大臣の会議冒頭あいさつ>
今日のテーマは、カーボンニュートラルの実現に向け、再エネの導入と同じくらいの効果を有するであろう「省エネ」について取り上げていきたいと思います。具体的には、住宅のエネルギー性能向上に向けた規制、あるいは制度のあり方について議論をしていただきます。
以前、外務大臣をやっていた時に、欧州の関係者が主だったんですけれども、日本の住宅とか建築物の省エネへの取り組みがずいぶん遅れているという話を聞かされておりました。世界全体がこの気候変動・カーボンニュートラルにむけて舵を切っていく中で、各国の住宅部門の省エネの取り組みも、様々な義務化あるいは表示といった方向で進んでいるという話を聞いております。そういった世界的な潮流の中で、例によって日本だけがガラパゴス化して大幅に遅れをとるということがあってはならないと思っております。
昔から、日本の冬(の家)は寒い!というのをよく聞いておりましたけれども、そういうことが当たり前になってしまってはいけないんだろうと思います。今日は国交省からも出席していただいておりますけれども、従来の制度の延長線上で考えるのではなく、従来の前提が180度変わるということもあり得るということで、どうしてできないのかではなく、どうしたらできるのかという視点で対応していただきたいと思いますし、この問題もスピード感を持ってやっていただきたいと思います。
今日も活発なご審議をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
このあと、司会からこれまでの検討状況についての報告があり、その後今回のテーマについての討議が始まります
テーマは「住宅建築物におけるエネルギー性能向上に向けた規制制度のあり方について」
この中で、海外から見た日本の住宅建築物の省エネに対する意見ということでフランスの総合建材メーカー「サンゴバン Saint-Gobain」からプレゼンテーションがありました(21:51頃~)

サンゴバン社は350年前にベルサイユ宮殿の「鏡の間」の鏡を製造するために設立された企業だそうです
エルワン・マオさんが日本に初めて来たのは30年前ということですが、非常に流ちょうな日本語を話されます
トヨタのカイゼン、カンバン方式が世界的に有名になり、それにあこがれて日本に留学したそうです
そしてはじめての冬を迎え、大ショックを受けたことは
朝(おそらくアパートなどの集合住宅で)起きたときのこと
「なんてこの家は寒いんだ!」
「窓から冷たい空気が流れてくるではないか!」
「しかも結露してるではないか!」
そんなまさか・・ここはトヨタの国ではないのか?
という大ショックなのだそうです
これは、トヨタをはじめとする高度な自動車産業、エレクトロニクス産業が発達した工業国である日本において、物理学で考えて単純に原理がわかる程度の住宅性能向上がなぜできないのか理解ができないということを表現されているのでしょう
サンゴバン社のプレゼンでは、住宅市場における日本とヨーロッパの状況を比較し説明しています

まず、欧州では高い断熱・気密基準が義務となっていること
断熱・気密基準を高めて、それから付帯設備による創エネ、省エネを行う順番になっている
対して日本は、決して高くない断熱・気密基準がそもそも義務ではない
そしてこの低い断熱・気密基準のまま、付帯設備に焦点が当たりがちになっている現状がある





日本の基準はまだまだ甘い、それをスピーディに変えていくことが大切である
その国によって事情が違うことは理解するが、それを逃げているのは政治だと言わざるを得ない
政治が結論を出すことが大切だと述べてプレゼンを締めくくりました
次は、省エネ住宅に興味を持っている方にとってはとても有名な、東京大学大学院の前真之准教授
有識者代表として非常に聞きごたえのあるプレゼンを行っています
前准教授の資料は80ページもあるようですが、ぜひ実際にYoutubeを見てください(37:28頃~)
テーマは「健康快適な暮らし」を「限りなく少ないエネルギーコスト」で「全ての人に届ける」
これを実現するために必要な住宅政策についてのプレゼンです

前准教授のスライドから要旨の一部を抜き出すと以下の様になります
・住宅は最も有望な投資先である
・良質な住宅ストックを形成する「最後のチャンス」として最優先で投資すべき
・住宅の省エネは民間丸投げでは進まない → 速やかな適合義務化が必要
・2020年省エネ義務化のはずが、無期限先延ばしと説明義務化へのトーンダウンはなぜおこったか
・ZEHは経産省主導で国交省との縄張り争いの中、不十分である
・ZEHを超える真の「エネルギー自立住宅」の開発・普及を促進すべき
・経産省ZEHは究極のエコハウスではぜんぜんない
・「できることだけやる」フォワードキャスティングでは失敗する
・脱炭素と健康快適な生活の実現という「目標からの逆算」バックキャスティングが必要だ
・建築行政の主要テーマに省エネ、ゼロエネをしっかりと組み込むべき
・必要なのは「やる気」「スピード感」「高いレベルの目標」「タイムリミットの厳守」
・国交省が中心となって、住宅の脱炭素化、健康で快適な暮らしの実現に責任を持つ
・勉強しない「キリの生産者保護」をやめて、勉強熱心な「ピンの生産者」のサポートに政策を転換すべき

以下、前准教授が用意された資料のキャプチャーを抜粋します





















前准教授の説明は、エビデンスに基づいたぐうの音も出ないほどの説得力があると誰もが思えるものだと思います
ぜひ実際に見てください!
その後質疑応答に移り、国交省の担当者から回答がありました
しかし、残念ながらきわめて官僚的な回答とでもいうべき内容で、満足できるものではありませんでした
特に2020年の適合義務化を見送った経緯の理由について述べている中で、自分には見過ごせないものがありました
「例えば、開放性の高い和風建築に住みたいという方に対して、どこまで義務をかけるのか、高断熱の住宅として義務をかけるのが適切なのか、住まい方に対する個人の選択というものもあるのではないかという議論があった。このため、どこまで規制をかけていくのかということに対し、国民全体としての共通認識が必要ではないかと考えている」
これには、正直言ってがっかりを通り越して呆れてしまいました
そんな気の抜けた的外れの回答の質疑応答について、参加者のみなさんにも、怒りと半ばあきらめがにじんでいるようにも感じます
しか~~~し、最後の河野大臣のコメントが私を救ってくれたのです!

以下、文字起こしをしてみました
<河野太郎大臣の会議後寸評> 1:56:15~
ありがとうございます。
さきほどのエルヴァンさんと前先生の話を聞いておりました時に、新潟の浦佐に真冬に行った時のことを思い出しました。
浦佐は非常に雪深いところだったんですけども、私の知り合いの家に行って、玄関のドアを閉めたら、セーター脱げるくらい家の中があったかいんです。それで、私ちょっとびっくりしたら、あの・・カナダの設計図でカナダから建材を全部コンテナで輸入して、カナダから大工さんまで来て建てた家だというんで、あの・・日本の家は寒いというイメージから・・いやいやこういうのもできるんだなという、ほんとにそれを実感しました。
ほんとに冬寒くて夏暑い家が多くて、ヒートショックでこれだけ多くの方が亡くなっているにも関わらず、この住環境が全く改善される兆しがないというのは、やはり大きな問題なんだと思います。
それで、菅総理がカーボンニュートラル2050年という発言をされ、世の中・・根本的に前提が変わったということを、やっぱり国交省がまだ認識をされてないのではないかと思います。カーボンニュートラルを実現するためには、徹底的に再エネを増やして行く事も大事ですけども、それ以上に省エネも徹底的にやらなければカーボンニュートラルなんていうのはできないわけで、今日の国交省のご発言を聞いていると、ちょっと・・世の中ゲームチェンジしたんだよというところに気付いてないのかなという気がしてます。最大限の省エネを最大限速いスピードでやるというのが必須条件で、そのための規制が国交省で出来ないなら、規制のところは環境省にやってもらうと・・その規制に基づいて業界の指導を国交省がやる・・ぐらいのゲームチェンジしないとダメなんじゃないのかなと。今頃になって適合義務化どうしようなんて言っている役所にカーボンニュートラルに向けてのリーダーシップが取れるとはちょっと思えません。
あの・・国交省、そういうことができるのかどうか、それもスピード感を持ってできるのかどうかということを、速やかにご返事いただきたいと思います。それで、ダメならできるところにやってもらうということをやらないとですね、2050年のためには、ほんとにこれ・・住宅は(その寿命が)長いわけですから、あっという間に期限が来てしまうという事にもなりかねないと思っております。
それで、今日いろいろとご議論をいただいた内容をしっかりとバックキャスティングして、こんどの住生活基本計画にしっかりと盛り込んでいただきたいと思います。この住生活基本計画は、もし閣議決定するのであれば、内閣府と内容をきちんと擦り合わせをしていただいて・・おそらくこの件は小泉環境大臣も非常に強く関心を持たれていると思いますから、内閣府や環境省としっかり中身を擦り合わせしていただきたいと思っております。
住まいは個人の選択・・みたいな話が国交省から出ましたけれども、カーボンニュートラルを達成し気候変動をなんとか防ごうという時に、そりゃあ住まいはルールに基づいて家を建てていただいて、それをまあ・・夏は全面開放して住むかどうかは個人の選択なんでしょうけど、良質の住宅ストックを次の世代に残そうと言っている時に、いい加減な家を建てることを認めますということでは、良質な住宅ストックを残すなんて言うこともできませんから。ちょっと、国交省・・ほんとに住宅政策まかせて大丈夫なのかなと、今日私は非常に疑問に思いました。
それで、前先生からも情報公開のご指示がございましたし、委員の皆さんから計算の根拠やデータの公開のご要請がありましたので、この情報公開・データ計算根拠の公開を速やかにやっていただきたいと思います。どうもこの間からエネルギーの議論をしていると、なかなか情報公開がないとか根拠がよくわからんということがいろいろあるんですけども、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
それから、家の建材の件・・今日は経産省からもわざわざお越しをいただいていますが、なんとなく「なんちゃってトップランナー」方式ではなくて、やはり建材もしっかりルール決めてやるというのが、住宅には非常に大事だと思いますので、経産省も建材を今後どうしていくのかというところを、しっかりと方針を出していただきたいと思います。一生懸命再エネを入れても、省エネがおろそかになってしまったんではカーボンニュートラルも達成できませんし、気候変動にもつながりかねないということで、この省エネは非常に2050年に向けて大きな柱ですので・・前提が全て変わったんだというもとでしっかりやっていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
どうでしょうか!
かなりのストレートなパンチが放たれたことは間違いありません
そして、この言葉が国交省に響いたのか、先日会社で業界紙を読んでいて、以下の記事を見つけました
住宅の省エネ義務化、2050へ工程表 ― 赤羽国交相表明、業者配慮から脱す決断<2021年3月12日>
赤羽一嘉・国土交通大臣は10日、菅政権が掲げる2050カーボンニュートラル実現に向けて、住宅建築物の省エネ基準適合義務付けを含めた「ロードマップ」を新たに作成すると表明した。住宅の省エネ推進で、いつまでに何に取り組むかを工程表にして明確化する。地域工務店への配慮から、住宅の省エネ基準適合義務化はこれまで見送られてきた経緯がある。赤羽大臣は「大きな決断」として、義務化に踏み切る。
10日に開かれた衆議院国土交通委員会で、岡本三成議員(公明党)からの質疑に対する答弁で明らかにした。日本の戸建て住宅は、約8割を地域の工務店が手掛ける。省エネ基準適合を義務化すると、負担増に対応できない工務店が出るのではという配慮から、19年の建築物省エネ法の改正でも義務化は見送られた。赤羽大臣は「ついてこれない業者が出てきてしまうという配慮のなかで、なかなか(義務化が)進まないもどかしさがあった」と振り返った。同時に、「一定の業者がついてこれないとなったら所管官庁としては問題。そこのケアも含めてしっかりと取り組んでいきたい」と意気込む。
赤羽大臣は、住宅建築物の省エネ基準への適合義務付けを含めた2050年までの対策強化ロードマップを作成する検討会の立ち上げを指示。国交省、経済産業省、環境省の3省合同で、検討会は4月からスタートする。義務化のスタート時期や、詳細な内容は今後の検討会で詰める。
住宅の省エネ基準適合義務化は、高齢者が増えるなかで、断熱性能の向上によりヒートショック対策にもつながる。「健康という観点でも大切な政策だ」(赤羽大臣)(日刊不動産経済通信)
https://fk-online.jp/archives/3042
河野大臣、やはり現在ピカイチの存在だと思います
思えば、河野大臣がこういった省エネの家について関心を持っているということを知ったのは、下のサイトで紹介された記事を読んだ時でした(2012年のことです)
ちょうどmazzy家を建てている真っ最中で、自分もこういった一年中快適な温熱環境こそが大切なことだと信じて様々な情報を漁っていた時です
日本の家にはマジックドアが有る
↓
http://imagawa-k.jp/2012/04/post_183.html
河野大臣の今後に期待します!
しかし、まだ新型コロナウイルスの新規感染者状況がよくなったようには見えません
まだまだコロナ前の生活に戻ることは想像できませんが、自分で出来ることをしっかりとやることだけだと思っています
さて、今回は久々の当ブログの原点である家造りについてのテーマです
皆さん、現国会議員で気になる方はいますか?
私は河野太郎さんに並々ならぬ期待をいだいています
その河野さん、今はワクチン担当大臣として表に出てくることが多いですが、今の現職を調べてみると・・
「行政改革担当大臣」「国家公務員制度担当大臣」「新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣」「内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)(規制改革)」・・と、こんなに兼務されてるんですね
そして、先日とあるサイトで知って、以下のYoutubeを見ました
第5回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース 2021.2.24

これから家を建てようと思っている方はもちろん、本当の高気密高断熱住宅や省エネについて知りたい方にぜひ見ていただきたい内容です
全部見ると2時間を超えますが、時間をかけるだけのことはあります
本当におススメですので、その中の一部について紹介したいと思います
このYoutubeの冒頭と最後に、河野太郎規制改革内閣府特命担当大臣の発言があります
これが建築業界の一部で話題になっている?そうですが、あらためてファンになりました!
<河野太郎大臣の会議冒頭あいさつ>
今日のテーマは、カーボンニュートラルの実現に向け、再エネの導入と同じくらいの効果を有するであろう「省エネ」について取り上げていきたいと思います。具体的には、住宅のエネルギー性能向上に向けた規制、あるいは制度のあり方について議論をしていただきます。
以前、外務大臣をやっていた時に、欧州の関係者が主だったんですけれども、日本の住宅とか建築物の省エネへの取り組みがずいぶん遅れているという話を聞かされておりました。世界全体がこの気候変動・カーボンニュートラルにむけて舵を切っていく中で、各国の住宅部門の省エネの取り組みも、様々な義務化あるいは表示といった方向で進んでいるという話を聞いております。そういった世界的な潮流の中で、例によって日本だけがガラパゴス化して大幅に遅れをとるということがあってはならないと思っております。
昔から、日本の冬(の家)は寒い!というのをよく聞いておりましたけれども、そういうことが当たり前になってしまってはいけないんだろうと思います。今日は国交省からも出席していただいておりますけれども、従来の制度の延長線上で考えるのではなく、従来の前提が180度変わるということもあり得るということで、どうしてできないのかではなく、どうしたらできるのかという視点で対応していただきたいと思いますし、この問題もスピード感を持ってやっていただきたいと思います。
今日も活発なご審議をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
このあと、司会からこれまでの検討状況についての報告があり、その後今回のテーマについての討議が始まります
テーマは「住宅建築物におけるエネルギー性能向上に向けた規制制度のあり方について」
この中で、海外から見た日本の住宅建築物の省エネに対する意見ということでフランスの総合建材メーカー「サンゴバン Saint-Gobain」からプレゼンテーションがありました(21:51頃~)

サンゴバン社は350年前にベルサイユ宮殿の「鏡の間」の鏡を製造するために設立された企業だそうです
エルワン・マオさんが日本に初めて来たのは30年前ということですが、非常に流ちょうな日本語を話されます
トヨタのカイゼン、カンバン方式が世界的に有名になり、それにあこがれて日本に留学したそうです
そしてはじめての冬を迎え、大ショックを受けたことは
朝(おそらくアパートなどの集合住宅で)起きたときのこと
「なんてこの家は寒いんだ!」
「窓から冷たい空気が流れてくるではないか!」
「しかも結露してるではないか!」
そんなまさか・・ここはトヨタの国ではないのか?
という大ショックなのだそうです
これは、トヨタをはじめとする高度な自動車産業、エレクトロニクス産業が発達した工業国である日本において、物理学で考えて単純に原理がわかる程度の住宅性能向上がなぜできないのか理解ができないということを表現されているのでしょう
サンゴバン社のプレゼンでは、住宅市場における日本とヨーロッパの状況を比較し説明しています

まず、欧州では高い断熱・気密基準が義務となっていること
断熱・気密基準を高めて、それから付帯設備による創エネ、省エネを行う順番になっている
対して日本は、決して高くない断熱・気密基準がそもそも義務ではない
そしてこの低い断熱・気密基準のまま、付帯設備に焦点が当たりがちになっている現状がある





日本の基準はまだまだ甘い、それをスピーディに変えていくことが大切である
その国によって事情が違うことは理解するが、それを逃げているのは政治だと言わざるを得ない
政治が結論を出すことが大切だと述べてプレゼンを締めくくりました
次は、省エネ住宅に興味を持っている方にとってはとても有名な、東京大学大学院の前真之准教授
有識者代表として非常に聞きごたえのあるプレゼンを行っています
前准教授の資料は80ページもあるようですが、ぜひ実際にYoutubeを見てください(37:28頃~)
テーマは「健康快適な暮らし」を「限りなく少ないエネルギーコスト」で「全ての人に届ける」
これを実現するために必要な住宅政策についてのプレゼンです

前准教授のスライドから要旨の一部を抜き出すと以下の様になります
・住宅は最も有望な投資先である
・良質な住宅ストックを形成する「最後のチャンス」として最優先で投資すべき
・住宅の省エネは民間丸投げでは進まない → 速やかな適合義務化が必要
・2020年省エネ義務化のはずが、無期限先延ばしと説明義務化へのトーンダウンはなぜおこったか
・ZEHは経産省主導で国交省との縄張り争いの中、不十分である
・ZEHを超える真の「エネルギー自立住宅」の開発・普及を促進すべき
・経産省ZEHは究極のエコハウスではぜんぜんない
・「できることだけやる」フォワードキャスティングでは失敗する
・脱炭素と健康快適な生活の実現という「目標からの逆算」バックキャスティングが必要だ
・建築行政の主要テーマに省エネ、ゼロエネをしっかりと組み込むべき
・必要なのは「やる気」「スピード感」「高いレベルの目標」「タイムリミットの厳守」
・国交省が中心となって、住宅の脱炭素化、健康で快適な暮らしの実現に責任を持つ
・勉強しない「キリの生産者保護」をやめて、勉強熱心な「ピンの生産者」のサポートに政策を転換すべき

以下、前准教授が用意された資料のキャプチャーを抜粋します





















前准教授の説明は、エビデンスに基づいたぐうの音も出ないほどの説得力があると誰もが思えるものだと思います
ぜひ実際に見てください!
その後質疑応答に移り、国交省の担当者から回答がありました
しかし、残念ながらきわめて官僚的な回答とでもいうべき内容で、満足できるものではありませんでした
特に2020年の適合義務化を見送った経緯の理由について述べている中で、自分には見過ごせないものがありました
「例えば、開放性の高い和風建築に住みたいという方に対して、どこまで義務をかけるのか、高断熱の住宅として義務をかけるのが適切なのか、住まい方に対する個人の選択というものもあるのではないかという議論があった。このため、どこまで規制をかけていくのかということに対し、国民全体としての共通認識が必要ではないかと考えている」
これには、正直言ってがっかりを通り越して呆れてしまいました
そんな気の抜けた的外れの回答の質疑応答について、参加者のみなさんにも、怒りと半ばあきらめがにじんでいるようにも感じます
しか~~~し、最後の河野大臣のコメントが私を救ってくれたのです!

以下、文字起こしをしてみました
<河野太郎大臣の会議後寸評> 1:56:15~
ありがとうございます。
さきほどのエルヴァンさんと前先生の話を聞いておりました時に、新潟の浦佐に真冬に行った時のことを思い出しました。
浦佐は非常に雪深いところだったんですけども、私の知り合いの家に行って、玄関のドアを閉めたら、セーター脱げるくらい家の中があったかいんです。それで、私ちょっとびっくりしたら、あの・・カナダの設計図でカナダから建材を全部コンテナで輸入して、カナダから大工さんまで来て建てた家だというんで、あの・・日本の家は寒いというイメージから・・いやいやこういうのもできるんだなという、ほんとにそれを実感しました。
ほんとに冬寒くて夏暑い家が多くて、ヒートショックでこれだけ多くの方が亡くなっているにも関わらず、この住環境が全く改善される兆しがないというのは、やはり大きな問題なんだと思います。
それで、菅総理がカーボンニュートラル2050年という発言をされ、世の中・・根本的に前提が変わったということを、やっぱり国交省がまだ認識をされてないのではないかと思います。カーボンニュートラルを実現するためには、徹底的に再エネを増やして行く事も大事ですけども、それ以上に省エネも徹底的にやらなければカーボンニュートラルなんていうのはできないわけで、今日の国交省のご発言を聞いていると、ちょっと・・世の中ゲームチェンジしたんだよというところに気付いてないのかなという気がしてます。最大限の省エネを最大限速いスピードでやるというのが必須条件で、そのための規制が国交省で出来ないなら、規制のところは環境省にやってもらうと・・その規制に基づいて業界の指導を国交省がやる・・ぐらいのゲームチェンジしないとダメなんじゃないのかなと。今頃になって適合義務化どうしようなんて言っている役所にカーボンニュートラルに向けてのリーダーシップが取れるとはちょっと思えません。
あの・・国交省、そういうことができるのかどうか、それもスピード感を持ってできるのかどうかということを、速やかにご返事いただきたいと思います。それで、ダメならできるところにやってもらうということをやらないとですね、2050年のためには、ほんとにこれ・・住宅は(その寿命が)長いわけですから、あっという間に期限が来てしまうという事にもなりかねないと思っております。
それで、今日いろいろとご議論をいただいた内容をしっかりとバックキャスティングして、こんどの住生活基本計画にしっかりと盛り込んでいただきたいと思います。この住生活基本計画は、もし閣議決定するのであれば、内閣府と内容をきちんと擦り合わせをしていただいて・・おそらくこの件は小泉環境大臣も非常に強く関心を持たれていると思いますから、内閣府や環境省としっかり中身を擦り合わせしていただきたいと思っております。
住まいは個人の選択・・みたいな話が国交省から出ましたけれども、カーボンニュートラルを達成し気候変動をなんとか防ごうという時に、そりゃあ住まいはルールに基づいて家を建てていただいて、それをまあ・・夏は全面開放して住むかどうかは個人の選択なんでしょうけど、良質の住宅ストックを次の世代に残そうと言っている時に、いい加減な家を建てることを認めますということでは、良質な住宅ストックを残すなんて言うこともできませんから。ちょっと、国交省・・ほんとに住宅政策まかせて大丈夫なのかなと、今日私は非常に疑問に思いました。
それで、前先生からも情報公開のご指示がございましたし、委員の皆さんから計算の根拠やデータの公開のご要請がありましたので、この情報公開・データ計算根拠の公開を速やかにやっていただきたいと思います。どうもこの間からエネルギーの議論をしていると、なかなか情報公開がないとか根拠がよくわからんということがいろいろあるんですけども、そこはしっかりやっていただきたいと思います。
それから、家の建材の件・・今日は経産省からもわざわざお越しをいただいていますが、なんとなく「なんちゃってトップランナー」方式ではなくて、やはり建材もしっかりルール決めてやるというのが、住宅には非常に大事だと思いますので、経産省も建材を今後どうしていくのかというところを、しっかりと方針を出していただきたいと思います。一生懸命再エネを入れても、省エネがおろそかになってしまったんではカーボンニュートラルも達成できませんし、気候変動にもつながりかねないということで、この省エネは非常に2050年に向けて大きな柱ですので・・前提が全て変わったんだというもとでしっかりやっていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
どうでしょうか!
かなりのストレートなパンチが放たれたことは間違いありません
そして、この言葉が国交省に響いたのか、先日会社で業界紙を読んでいて、以下の記事を見つけました
住宅の省エネ義務化、2050へ工程表 ― 赤羽国交相表明、業者配慮から脱す決断<2021年3月12日>
赤羽一嘉・国土交通大臣は10日、菅政権が掲げる2050カーボンニュートラル実現に向けて、住宅建築物の省エネ基準適合義務付けを含めた「ロードマップ」を新たに作成すると表明した。住宅の省エネ推進で、いつまでに何に取り組むかを工程表にして明確化する。地域工務店への配慮から、住宅の省エネ基準適合義務化はこれまで見送られてきた経緯がある。赤羽大臣は「大きな決断」として、義務化に踏み切る。
10日に開かれた衆議院国土交通委員会で、岡本三成議員(公明党)からの質疑に対する答弁で明らかにした。日本の戸建て住宅は、約8割を地域の工務店が手掛ける。省エネ基準適合を義務化すると、負担増に対応できない工務店が出るのではという配慮から、19年の建築物省エネ法の改正でも義務化は見送られた。赤羽大臣は「ついてこれない業者が出てきてしまうという配慮のなかで、なかなか(義務化が)進まないもどかしさがあった」と振り返った。同時に、「一定の業者がついてこれないとなったら所管官庁としては問題。そこのケアも含めてしっかりと取り組んでいきたい」と意気込む。
赤羽大臣は、住宅建築物の省エネ基準への適合義務付けを含めた2050年までの対策強化ロードマップを作成する検討会の立ち上げを指示。国交省、経済産業省、環境省の3省合同で、検討会は4月からスタートする。義務化のスタート時期や、詳細な内容は今後の検討会で詰める。
住宅の省エネ基準適合義務化は、高齢者が増えるなかで、断熱性能の向上によりヒートショック対策にもつながる。「健康という観点でも大切な政策だ」(赤羽大臣)(日刊不動産経済通信)
https://fk-online.jp/archives/3042
河野大臣、やはり現在ピカイチの存在だと思います
思えば、河野大臣がこういった省エネの家について関心を持っているということを知ったのは、下のサイトで紹介された記事を読んだ時でした(2012年のことです)
ちょうどmazzy家を建てている真っ最中で、自分もこういった一年中快適な温熱環境こそが大切なことだと信じて様々な情報を漁っていた時です
日本の家にはマジックドアが有る
↓
http://imagawa-k.jp/2012/04/post_183.html
河野大臣の今後に期待します!

