今日2014.11.8(土)の日経新聞は、「米雇用21.4万人増 10月失業率5.8%に低下」と伝えている。
これが本当に米国景気の好調を意味しているのか。
別の新聞によると、給料は0.1%しか増えていない。
かりに10万円の給料だとすると、100円の増加である。こんなもの増加のうちにはいるのだろうか。
アメリカで起こっていることは、正規労働者が首を切られ、その分を非正規労働者で埋め合わせているだけだ。例えば、10万人の正規労働者が首を切られ、31万人の非正規労働者(パートやアルバイト、派遣社員や契約社員など)が雇われれば、統計上は21万人の雇用者増になる。
米国労働省の雇用統計にはこのようなトリックがある。
また失業率とは「働きたいけど、働き口がない」人の数である。そこには働くことを諦めてしまった人の数は含まれない。実際には正規雇用の就職口を求めながら、それがかなわず働くこと自体を諦めてしまった人がかなりの数に上る。そういう人は雇用統計からは除外されてしまう。つまりドロップアウトした人がかなりいるわけだが、そのことが米国雇用統計からは見えなくなっている。
米国雇用統計は数字づくりである。一部の人間だけが暴利をむさぼり、中間層がやせ細っている。そして低賃金で働く人だけが増えている。
そういう社会では購買意欲は高まらない。消費は伸びない。
これが景気回復といえるのだろうか。
そんな中で米国株式市場が史上最高値を更新し続けている。おかしなことだ。
昨日(今朝)は下落し続けていた米国の金相場が、急騰した。ドル高・米国株高が続けば、その対極にある金相場は下落するはずだが、昨日は1オンスあたり27ドルも急騰した。
この急騰の裏には米国経済への不信感が隠されていると見るべきではなかろうか。
米国の景気は、日本で報道されるほど、決して明るくはない。