赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

橋下徹氏の復活を切に望む

2015-05-19 00:00:00 | 政治見解
赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』(22)

橋下徹氏の復活を切に望む





大阪都構想の住民投票結果

大阪市を廃止し5特別区に分割する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が5月17日に行われ、即日開票の結果、約0.8ポイントの僅差で反対が賛成を上回り、大阪市の存続が決まりました【※1】。

【※1】当日有権者数は2,104,076人、投票率は66.83%。賛成694,844票、反対705,585票、10,741票差。
ちなみに2011年の大阪市長選挙では当日有権者数:2,104,977人 最終投票率:60.92%、橋下徹(新)750,813票(58.96%)、平松邦夫(現)522,641票。


橋下徹大阪市長(地域政党・大阪維新の会代表)が提唱した「都構想」の議論はこれで終結し、「(12月の)市長任期【※2】まではやるが、それ以降、政治家はやらない」と述べました。記者会見に臨んだ橋下氏の姿には、清々しさと潔さを感じさせるものがありました。

【※2】2015年12月18日(任期満了日)自らの辞職に伴う、2014年3月23日執行の出直し選挙に当選したため任期は1期分

また、維新の党の江田代表も18日未明に代表を辞任する意向を表明し、現在の執行部は全員退陣する方向で調整、党代表選が行われる見通しとなっています。「橋下氏の政界引退表明とあわせて、維新の党の求心力は低下しそうだ」との観測が流れています。


「改革への期待」か「既得権の確保」か

今回の住民投票は「改革への期待」対「既得権の確保」という構図でした。

メディア各社が共同して行った出口調査は「60代超の過半数が反対、自民支持層4割超が賛成、公明党支持層は87.3%、共産党支持層は89.6%、民主党支持層は77.7%がそれぞれ反対、無党派層は賛否がほぼ拮抗した」と報じています。

なお、反対票を投じた人が最も重視した項目は「大阪都構想のメリットが明らかかどうか」で、次いで「住民サービスが良くなるか悪くなるか」だったようです。大阪独自の優待乗車証「敬老パス」などが切られてしまう可能性を高齢者が不安視した可能性も否定できないでしょう。

実際に、期間中の動きをみても「既得権益」を守りたい人びとが呉越同舟さながらに反対を唱えていたようで、「自民は禁断の共産、民主と共闘【※3】」という報道もなされていました。

【※3】「反対派の自民、共産両党は大阪・梅田で街宣車を並べた。・・・ その後、辻元氏らと共産党の街宣車に乗り換えた自民党の柳本卓治参院議員は『兄弟分のような感じだ』と共産党を持ち上げ、同党の山下芳生書記局長も『120年の歴史を持つ大阪市を廃止するのが都構想の正体だ』と訴えた」。

自民党の市議団は失職を恐れていましたし、民主党の支持母体である大阪市職員労働組合も失業の危機にありました。また、公明党、共産党による福祉の恩恵を受けていた人も同様で、これらの「既得権」を守りたい人びとが積極的に「反対」の意思表示をしたように見受けられます。


維新の党はどうなるのか




さて、この住民投票の結果を受けて中央政界にもさまざまな動きがでてくると予想されます。なぜなら、橋下氏によって成り立っていた維新の党は、氏の引退表明とともに党としての基盤が崩壊するからです。

ちなみに同党の所属国会議員数は51名で、そのうち衆議院議員40名、参議院議員11名となっています。40名の衆議院議員のうち、比例で当選した人が29名もいるので選挙区での地盤の弱い人たちばかりです。このような国会議員は自らの既得権益を守るためなりふり構わぬ行動に出る可能性があります。

維新の党は江田憲司代表のように、旧みんなの党から移ってきた人たち、松野頼久幹事長のような民主党出身者、太田和美氏のような小沢一郎チルドレンなど、自民党出身者も含めてさまざまな政党出身者で成り立っている寄り合い所帯です。

このような状態であれば維新の党は、民主党の草刈場になる可能性は濃厚ですし、代表の辞任を申し出た江田憲司氏が、維新の党をまるごと民主党に鞍替えしてしまう可能性さえあると思います。

江田氏は「みんなの党離脱騒ぎ」を思い出せばわかるように、自分の立場のためなら平気で裏切り行為ができる人物です。また、幹事長の松野頼久氏も民主党の鳩山由紀夫元総理の側近だったにもかかわらず、民主党の人気が低迷した途端、橋下氏のもとに駆け込んだ人物です。

こういう人たちは自らの立場を利する方向で動き回るので、維新の党の存続は極めて危ういと言えます。


橋下氏の復活に期待する

記者会見では橋本氏の潔さが際立っていました。これほどの潔さをみせた政治家は近年に稀なのではないでしょうか。

今の日本の政治は、多くの政治家が保身と自らの権益を守るために活動しているという悲しい現状にあります。立場や名誉や金銭など自己の損得にとらわれている政治を打破するには、橋下氏のような精神に潔さを持つ人物が多数輩出されなければ日本は変わりません。

一旦、引退表明をした方に「政界復帰」をお願いするのは心苦しいのですが、日本の現状と国会議員のあり方を考えるときに、是非とも国政に影響を与え続ける人であってほしいと思わずにはいられません。




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