赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

自民党新総裁に期待するもの

2024-09-08 00:37:02 | 政治見解

自民党新総裁に期待するもの


メディア報道の軽薄さ

8月14日午前11時半。岸田自民党総裁は、「政治家としての意地」ということばを繰り返し、総裁選に出ない考えを明らかにしまた。自民党内に衝撃が走り、党内の構図は一気に流動化、12名もの立候補者、立候補希望者が乱立する展開となっています。

自民党の総裁選挙は9月12日に告示され、選挙期間は15日間。選挙期間中は、候補者が全国各地で街頭演説を行ったり、討論会を行ったりして、政策や主張を訴えます。「党員票」の投票は、開票日前日の26日に締め切られ、投開票日の27日に、新しい総裁が誕生します。

メディアやSNSなどでは、自民党総裁選をあれやこれやと面白おかしく論じられているのですが、その論評は所詮「政局」の動向と、個人評ばかりで、本質的なことは高名な評論家でさえ何も語っていません。どの視点が欠けているといえば、「この国と国民をどうするのか」という最大の問題点を取り上げず、あえて些末なことばかり取り上げている点です。

しかも、メディアの世論調査は、投票権のない人の候補者に対する人気を聞くだけで全く意味がありません。唯一、読売新聞とNNNが発表した自民党員に近い自民党支持層の支持率がそれなりに信用できるデーターの可能性がありますが、それでも、全幅の信頼をおけるはずもありません。



安倍長期政権の背景は保守岩盤層の心をつかんだこと

民主党政権から政権奪還を果たした安倍晋三元総理は、2012年12月26日の第2次内閣発足以降、連続在任日数は2822日、第1次政権を含む通算在任日数は3188日でいずれも憲政史上最長の総理大臣となりました。その間の選挙は、連戦連勝で盤石な政権を運営を行っていました。

なぜ、安倍元総理は圧倒的な人気があったのでしょうか。それは三つの要素から成り立っています。第一は利権がすべての自民党支持者、第二に自民党プリンスの登場に期待した潜在的保守層を加えた上に、第三に「日本を守る」というスローガンを掲げることによって保守岩盤層の心を虜にしたからです。

国会議員の8割方は利権のみに心動かす集団なので本来の自民党人気は低迷するはずだったのですが、安倍元総理の「国家と国民を守る」という覚悟は、自民党から心が離れていた保守岩盤層を取り戻したがゆえに、安倍政権時代の選挙が強かったのです。

これを理解すれば、自民党の新総裁が就任後に「国家」の将来展望と「国民」にどれだけ寄り添っていくかを示していけるかがカギとなります。保守の岩盤層の数はそれほど多くなく、国民の1割にも満たないかもしれませんが、信念が強い人が多く、選挙に与える力は相当なものになります。


再選されるトランプ政権誕生との兼ね合い

もし岸田政権が続行していたとしても、今回の米大統領選挙はトランプ氏が再選しますので、岸田政権はもたないことは明らかでした。なぜなら、岸田総理は、バイデンーカマラ・ハリス副大統領と同じグローバリストに与(くみ)せられているからです。

米メディアが蛇蝎のごとく嫌うトランプ氏は愛国主義です。日本でも安倍元総理は「愛国主義」のため、グロ―バリストとその手先である財務省とメディアから嫌われました。

今回、どなたが自民党総裁になるのかは全く予測ができませんが、小泉進次郎氏、高市早苗氏の両氏はトランプ氏とうまくやっていけると思いますが、その他の人ではトランプ氏との関係で総理総裁は短命に終わりそうです。

メディアは自分が興味ある事ばかりを質問する癖があり、憲法問題よりは選択的夫婦別姓、防衛強化よりは政治資金の問題と枝葉末節な方向に総裁立候補者の言質を取ろうとしていますので、候補者の本音がなかなかわからないものですが、愛国主義は前述の2名以外にはいないようです。


立憲民主党も代表選び

自民党に対抗する形で立憲民主党代表選が9月7日に告示されました。届け出順に、元総理の野田佳彦衆院議員、元代表の枝野幸男衆院議員、現代表の泉健太衆院議員、1期生の吉田晴美衆院議員の4人が立候補しました。選挙期間は17日間で、9月23日の臨時党大会で新代表が選出されます。

立憲民主党の4人の候補者の基本政策は、共通して「自民党からの政権奪還」にあります。いつものように、自民党批判が中心で、明確な国家観、国家戦略、が見えません。どなたが、代表になっても、自民党からの政権奪取は不可能です。

結局、「愛国主義」の自民党岩盤支持層と自民党総裁選で拡散された「自民党は変わるかもしれない」というイメージの前に屈するかたちとなります。また何よりも、かつての民主党政権時の負のイメージがまとわりついている人たちの「昔の名前で出ています」では、50代以下の票は取れないと思います。

余談です。立憲民主党の野田元総理が、あり得ない話ですが自民党総裁選にでて、自民党の石破茂もと幹事長が立憲民主党の代表選にでたら面白いかも。それだけ、野田さんは保守に近く、石破さんはリベラルに近いので、こんな冗談がX(旧ツイッター)にでているのです。

要は、自民党の総裁選に立候補している人は、右側の人、左側の人に加えて、中国従属派もいて、ある意味、多士済々。結局は、自民党内で政権交代をしている構造になっているので、立憲民主党は粋がっていても出る幕はありません。


9月27日に自民党総裁が決まると新しい総理大臣が誕生し、その人の意思次第で明日の日本の命運が大きく左右されます。

国家国民のために全力を尽くし、対米協調と対中政策に筋を通す新総裁の登場を待ち望んでいます。
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