赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

大国主義に立ち向かう日本外交――安倍外交の未来図――

2015-10-12 00:00:00 | 政治見解



大国主義に立ち向かう日本外交 ――安倍外交の未来図―― 

力の行使が紛争を増大させる

ロシアによるシリア爆撃【※1】、アメリカによる国境なき医師団の医療施設誤爆【※2】、中国の軍事基地を目的とした南シナ海埋め立てなど、いまだに大国が軍事力をもって自国の利益を得るという前世紀の考えに取り憑かれています。

【※1】イスラム教スンニ派過激組織IS=「イスラム国」掃討を名目に、ロシアの支援する現アサド政権の支援のため、欧米が支援する反アサド派組織に対する攻撃も行ったといわれている。

【※2】10月3日、アメリカ軍はアフガニスタン北部でNGO「国境なき医師団」の病院を誤爆し、患者やスタッフなど22人を死亡させた。反政府武装勢力タリバンの拠点と間違えた事件。


近年では、軍事的な制圧のみならず経済制裁という形で敵対する相手を窮地に立たせようとしました。しかし、いずれの力の行使をもってしても問題が解決した試しはありません。憎しみの連鎖を生み出し、それが再び紛争の原因となってきたのです。国際社会はもはやこのやり方が通用しないということを認識すべきです。


無力な国連

暴力を暴力で壊滅させることは憎しみを増幅させるだけでなく、問題解決の先延ばしでしかありません。とくに、シリア問題では難民の発生原因となっている内戦の収拾とIS対策に国際社会が協力して対応しなければならないことは言うまでもありません。しかし、現実は軍事大国のロシアとアメリカの思惑で、対立する双方を別々に支援しているため、問題を複雑化させています。

また、今日の状況を悪化させた要因に国連の無力さもあります。国内紛争の収拾どころか、その内紛を軍事大国の代理戦争化させた責任は極めて大きいものがあります。とくに、ロシアや中国の「力による横暴」を追認するかのように中露の軍事式典に参加した潘基文事務総長の責任は重大です。


国際社会に新秩序の構築を

国連は第二次世界大戦の戦勝国により形成されたものですが、初期の段階から米ソの対立で国際平和への調整機能を果たせなくなりました。現在では、常任理事国であるロシアと中国が国連への挑戦者となり「力による現状変更」を試みています。このような状態を続けていてはいつまで経っても世界が平和になるはずがありません。今こそ国連の有り方を見直す時期が来たのではないでしょうか。

安倍総理は戦後70年談話【※3】と第70回国連総会における一般討論演説【※4】の中で、日本は過去の反省の上に立脚し国際社会に安定と秩序をもたらすと宣言しているように、これからの日本の役割は非常に大きくなると思います。

【※3】戦後70年談話:「私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります」。

【※4】第70回国連総会における一般討論演説:「第一に,日本には,戦後70年,平和を愛する国として自らを持し,世界の平和と繁栄のため努力を積んだ実績があります。(中略) 第二に,「オーナーシップ」と「パートナーシップ」を重んじるのが日本です。(中略)第三に日本は,当事者の声に,いつも耳を傾ける国であろうと努めます。(中略)以上三つは,これまで刻んだ足跡から,みなさまに頷いていただける日本の強みです。この強みをもって,私たちは,国連を強くしたいと思っています。」



実際、安倍総理は軍事大国であるロシアと中国に対して、「力による現状変更は決して容認できず、これは一地域の問題ではなく、国際社会にとっての問題である」とことあるごとに論及しています。


安倍外交の未来図

安倍総理が示した日本の決意が混迷する国際社会のあり方を変えるものとなると信じています。

70年談話には「いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」と力の行使の不当性を訴えて「すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」との普遍的原則を訴えています。

さらには「寛容の心」、「感謝の気持ち」が国際社会の相互の理解と和解への道筋であることを述べ、「繁栄こそ平和の礎」として、「暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、医療と教育、自立の機会を提供することの重要性」を提起しています。


70年談話は日本外交の教科書となるものです。この指針に基づいて日本が世界外交を展開し、有史以来続く人類の争いに終止符を打つことを時代は待ち望んでいると確信しています。



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