赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

イスラエルvsイラン戦争は避けられるか?

2024-04-16 00:00:00 | 政治見解



イスラエルvsイラン戦争は避けられるか? :240416情報


14日、イランは在シリア大使館空爆に対する報復としてのイスラエルを攻撃しました。これを「成功」と大々的に宣伝しています。一方、イスラエル軍は、発射されたミサイルや無人機の「99%」を迎撃し、大きな被害は出なかったと強調しています。

イスラエルとイランの対立、中東における大紛争から第三次世界大戦に向かうのでしょうか。国際政治学者の見解を伺いました。ただし。14日以降の最新の情報はまだ入手できていませんので、4月6日時点での見解をお届けします。(最新の見解は入手次第お伝えします。)


(概況)

イスラエルとイラン戦争の危機が迫っています。4月1日にイスラエルがシリアのダマスカスにあるイランの外交施設と言われるものを攻撃しました。これは、外交施設と言うよりは軍事拠点だったのですけど、この攻撃によってイスラエルとイランがやっていた水面下の戦争が表面化して、明らかに紛争のレベルがエスカレーションしているのです。

今後どうなるのかと言うと、最悪の場合は米ロを対立軸とする第3世界大戦ということも考えられるので、非常に危険な状態にきています。「イスラエルvsイラン戦争は避けられるか?」と書いたのですが、今すでに低レベルでは紛争戦争が起きていると言えます。しかし、それが大戦争に発展する可能性は非常に低いでしょう。これでイラン側は報復するでしょうが、決定的な大戦争にエスカレートするような報復はしないと私は予測します。


イスラエルとイラン 対立の背景——4月6日時点での見解

4月1日から中東が大変なことになっています。4月1日にイスラエルがイランを攻撃したのではなく、シリアの首都ダマスカスにあるイランの外交施設を攻撃したそうです。ニュースの書き方を見ると「外交施設のそばの建物を爆撃した」と言われていて、そこで私が調べた限りでは13人の人が殺害されていました。

イラン側からすると「ここは大使館の領事部であった。外交施設を爆撃するとはけしからん。国際法違反である」と言って、シリア含めて熱り立っています。

一方でイスラエル側からすると「そこは大使館の領事部という看板を掲げてあったかもしれないが、そこは革命防衛隊の中でも精鋭部隊で突出している過激派部隊と言われているコッズ部隊の中心地(軍事拠点)だった」と言っていました。そこに兵器が置いてあったかどうかはわかりませんけど「そこには幹部がいて、いろいろな指令を発しているコッズ部隊と言われる軍事組織がいる軍事基地を我々は攻撃した」ということをイスラエル側は言っています。おそらく、イスラエルの言い分の方が正しいと思うのです。

このコッズ部隊というのが、全中東で反イスラエル闘争を行なう各国の民間テロ組織であります。こういう部隊に対して指令を発したり支援したり、そこに武器を密輸したりしていた中心部であり、イスラエルからすれば当然それは許されないということです。

ここでイスラエルが殺害を狙った中心人物はコッズ部隊のモハンマド・レザ・ザヘディ准将という軍幹部でした。英語記事をそのまま訳すと「対象者は准将であった」と書かれていて、とりあえず4月2日時点で判明している死者は13人と報道されています。このコッズ部隊のザヘディ准将の副官1人と、その他5人のイランの軍事が殺されました。合計7人のイラン軍人爆撃によって殺害されたと言われています。

これは当然のことながら、イランからすれば「反撃する」と言っているのですが、その翌日にはイランの宗教の最高指導者のハメネイ師とライシ大統領が「報復措置を断固やる」と公言しています。

コッズ部隊のザヘディ准将は、レバノン・シリア方面の作戦の指揮者・責任者であって、ハマスやヒズボラへの武器供与・武器密輸の責任者でもあったということで、イスラエルとすれば消したい人物であったのでしょう。これは今までも実はイスラエルとイランの戦いは水面下で行なわれてきました。Low intensity conflict(LIC)またはLow Intensity Warfare(LIW)と言われている低強度紛争という現象です。

特にイランは間接的にアメリカやイスラエルを攻撃させるという組織を各地に作って、それをコッズ部隊が応援する形となっていました。そういう仕組みであったことをイスラエルも承知の上で、各地には爆撃や攻撃を今までも仕掛けてきています。シリアのダマスカスに向けてはやらなかったかもしれませんが、シリアの他の地域におけるイランにされているヒズボラなどの軍事拠点に対しては攻撃を仕掛けていました。これは周知の事実でしょう。

イスラエル軍の報道官も「去年の10月7日のテロ以来、我々は50ヶ所ほどの組織施設を空爆攻撃している」と言っており、それは認めています。しかし、イスラエルとイランの軍隊が直接交戦するという事態は両方で避けていました。今、それが1段あるいは2段エスカレートして、イスラエル軍とイラン軍が直接交戦する事


バイデンの目論見――戦時大統領

これが起きると、最終的にはイランの背後にロシアあり、イスラエルの背後にアメリカありということで、アメリカとロシアの中東を舞台にする第3次世界大戦になりかねない非常に危険なところです。

イギリスの守旧派からすれば、この戦争をここで仕掛けたいということでしょう。一方でウクライナの方では、自分たちが仕掛けた戦争が負け戦になっているため、イギリス守旧派によって動いているバイデン政権も同様です。

だから中東で戦争をエスカレートさせて、世界的な規模の戦争になってしまえば、戦時大統領としてバイデンがフランクリン・ルーズベルトのような形で政権をさらに継続できると読んでいるのではないでしょうか。個人的にはその読み自体が甘いと思いますけど、そういう危険な状況にあるということは事実です。今、まさに世界戦争の火薬庫が中東にあると言っても過言ではありません。

結論から言うと、イランがイスラエルとの全面戦争を突入するだろうかと言うと、私はしないと思っています。結局のところ、大戦争をやれば一番今まで中東を仕切ってきて分断統治をやってきたイギリスの守旧派の思いのままになってしまうわけです。

それがわかっているから、イランとサウジアラビアの関係も対立はありつつも、意外にエスカレートしないでやってきているということが言えると思います。

これは未確認情報ですが、トランプなどもこの辺りの戦争しないようにするための外交に関わっているようです。戦争を抑止する側として、トランプも動いているということでしょう。

それらを具体的に考えると、イランが大規模なイスラエル国家に対する攻撃をやったとすると、次にイスラエルが何をやるだろうかということを考えなければいけません。おそらく、次はイランの国内にある核施設に対して直接攻撃を加えて破壊をするということが十分に考えられます。

そういった大きな報復がイスラエルから来ることも予測可能です。この報復行為をやられたらイランの今の体制も崩壊しかねません。イランはイスラエルに対する何らかの報復行為をするのでしょうが、イスラエルとイランの本格戦争が起きるようなレベルのことはやらないと思います。

次の段階のことを考えれば、和平の可能性も探っていかないといけないのです。イスラエルのネタニヤフ首相は強硬派ですが、彼に対する反ネタニヤフの動きも根強いものがあります。彼に対する反ネタニヤフデモは連日のごとく、イスラエル国内で現在も起きているのです。そして、イスラエルとイランも、かつて中東を牛耳っていたイギリスの守旧派にやられないためには、どこかで折り合いをつけなければいけないということは両国の和平派の人たちはわかっています。

なお、革命防衛隊自体がイランの国軍とは別の存在であり、これはイデオロギー的にも非常に過激な存在です。その中でもコッズ部隊という精鋭部隊が突出しています。

だから、コッズ部隊の考えていることがイランの首脳部が考えていることではないと判断して良いでしょう。以前、トランプがコッズ部隊のトップを公然と殺害してしまったが、口頭では非難していたけどイランは直接的に動きませんでした。トランプは「これでイランの首脳部は喜ぶだろう」と発言していましたが、実際そうだったと思います。そういう図式もあるので、ギリギリのところで大きな戦争には発展しない可能性の方が高いと私は判断いたします。しかし、これは予断を許しません。



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