赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

戦後70年の歴史認識をめぐって(3)  日本は韓国とどう向き合うのか

2015-03-15 00:00:00 | 政治見解
赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』(9)

日本は韓国とどう向き合うのか






リッパート駐韓アメリカ大使の姿勢

マーク・リッパート駐韓アメリカ大使への襲撃事件が発生しました。米韓同盟が微妙な中で、取り返しのつかない問題に発展する可能性も報じられていました。ところが、当のリッパート大使は「今回の事件で、韓国への愛情が深まり、米韓の絆は切り離すことができないという確信をさらに強めた」また、「米韓同盟をより強固なものにするべきだ」と語ったと言われています。韓国側からは「気丈にふるまうリッパート大使の姿に感動」「米韓同盟は一番大切なもの、みんなで守らないと…」という世論が沸き立ってきたようです。

このリッパート大使の言動に膠着している日韓関係を改善するヒントがあると思います。殺害されかねなかった大使自身が自分のことよりも「米韓関係を優先させた」という高い精神性は、韓国民の心を寛容にさせる力を持っていたようです。

かつて、日本でもライシャワー駐日大使に対する襲撃事件がありました。ライシャワー大使は日米間に大きな亀裂を残した安保闘争直後の1961年(昭和36年)4月、ジョン・F・ケネディ大統領からの就任要請で特命全権大使として着任し、日本人の妻とともに日本国民から親しまれた人物です。1964年(昭和39年)3月、暴漢によってナイフで大腿を刺され重傷を負いましたが、この時に輸血を受け「これで私の体の中に日本人の血が流れることになりました」と発言し多くの日本人に感動を与えました。当時のアメリカからすると国威に関わる重大事件でしたが、ライシャワー大使の言動は逆に日米間の友好関係を深める結果となりました。

時代は違えど、二人の大使の行動は、人びとの心に大いなる感動を与え、両国の対立や排斥し合う関係を和らげ、国家間の友好の礎石と変えたのです。


韓国を理解する手掛かり

ところで、韓国の特有の反日感情はどこに由来するのかを考えてみたいと思います。

地政学上、半島国家は常に大陸国家によって干渉され続け、属国化されるという悲劇が繰り返されます。朝鮮半島も例外ではなく、歴代中国王朝の簒奪と陵辱の歴史があります。そのため朝鮮半島の諸国家は、中国王朝に対する恐怖心が深く刻まれたようです。

女性や献上品を朝貢し、中国王朝から冊封(さくほう)を受けて、従属国家として存在してきた歴史が続きます。このような屈辱感が深い怨みや、負い目、劣等意識になり、その裏返しとして極度のプライドの高さにつながったのではないかと思われます。

また、拓殖大学教授の呉善花氏によれば、「韓国には歴史的『侮日観』があり、それを改竄・捏造した歴史教育の中で説いている(※1)」と指摘しています。
※1 「生来の野蛮で侵略的な資質を持つ日本民族」に、「古代のわれわれの祖先たちは儒教・仏教・技術をはじめとする高度な文化を教え伝えてあげた。にもかかわらず、日本はその恩を忘れ・・・」。

これらの感情を統合させ、繰り返す事で、度をこえた反日民族主義、愛国主義へと変質していったのが韓国の現状ではないかと思います。


韓国を不幸な歴史に戻らせてはならない

韓国の首脳たちは挙国一致の国民国家を形成するために「反日政策」を前面に打ち出してきました。この手法は効果をもたらした面もあったようですが、国民の中に「犯罪行為であっても反日を唱えれば罪に問われない」という行きすぎた風潮が出てきました。こうした内部矛盾は社会規範の崩壊につながる可能性さえあります。

一方で、韓国が世界に誇ってきた企業の衰退による経済危機、脆弱な国家体制の露呈、さらには昨年(2014)の旅客船「セウォル号」沈没事故をきっかけとして国内では政治不信など混迷の度合いを深めていると言えます。

この状況に、韓国の国民は行き場の無い屈辱感、膨らむ劣等意識を身をもって感じていると思われます。

こんな中、韓国政府は、米韓の同盟関係があるにもかかわらず中国に依存し従属する道を選択しようとしています。

国家や国民の存続を他国に委ねようとする姿は、まさに朝鮮半島の歴史の繰り返しに過ぎず、国民の屈辱感を増幅させるだけで、国民の幸せには程遠いことになります。


正常な日韓関係を築くために

そこのような韓国の置かれている現状を見たとき、傍観するだけではなく、その苦しみを理解することからはじめたいと思います。彼らの苦しみに寄り添い深く理解することが日韓の正常な関係が築かれる第一歩だと思います。

条件をつけたり、駆け引きなどは無用です。

このままでは、韓国は、苦悩の歴史を繰り返し、屈辱的な隷属の道を選択せざるを得ないのです。それを冷淡に見過ごすわけにはいきません。

聖徳太子の時代、大化の改新の時代もそうでした。また、日韓併合の時代もそうでした。貧しかった日本であっても、朝鮮半島の人びとの苦しみを救おうとして立ち上がった先人たちの歴史を思い出したいと思います。その先人たちの行動の歴史を知ることこそ、日本人にとっての「正しい歴史認識」と言えるのではないでしょうか。


国際貢献への試金石

日本は、戦後の70年近くを通して、隣国の韓国と距離は近いが、大きく異なる価値観に直面してきました。しかし、これからは「違う」ということを認識した上で、双方が尊重し合うという方向に進まねばならないと思います。

日本が国際社会に積極的に貢献しようとする際、韓国以上に「違う」国が、国の数だけあるということを知らなければなりません。違う相手を尊重することが国際社会に調和をもたらす原理になるはずです。

これまでの日本の国際援助の仕方は、「金で解決する」という姿勢だったように思われます。しかし、これからの国際支援のあり方には、「その国の発展と国民の幸福」という価値を付与しなければ、意味がないのです。国際貢献のあり方の中にも「日本の精神性」が試されているのです。

隣国である韓国との関係を改善した時、日本は「真の国際貢献への道」が開かれてくるのではないでしょうか。




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